北里コーポレーション(368A)のIPO情報と初値予想

 北里コーポレーション(368A)の東証プライムへの新規上場が承認されました。ここでは、北里コーポレーションのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『不妊治療に関する医療機器などの製造販売』となっています。

会社名北里コーポレーション(368A)
所在地静岡県富士市柳島100番地10
設立日2007年4月3日
従業員数86人
業種精密機器

【企業サイト】
北里コーポレーション公式サイト
https://www.kitazato.co.jp/ja/

事業解説
 不妊治療をサポートする医療機器やMedia(試薬)などの消耗品、及び遺伝子検査などのサービスを提供しています。また、不妊治療における卵子及び精子の採取、洗浄、培養、受精、卵子や胚の凍結保存及び融解に至るすべての工程にかかわる製品を静岡本社工場又は東京オフィスにて総合的に提供可能であることが強みとなっています。

沿革 

北里コーポレーションのトップメッセージ

代表取締役社長 井上 太綬

 私たち北里グループは、不妊治療に関連する製品を開発・製造し、世界中のマーケットに自社製品を供給している日本企業グループです。人工授精、体外受精、細胞凍結保存及び再生医療における生殖工学技術に特化し、市場の期待に応えるべく製品の開発を行っております。

(引用:北里コーポレーションHP
2005年4月
不妊治療の組織培養液の研究開発、製造とそれに付随する消耗品を取り扱うことを目的に、静岡県富士市に㈱北里バイオファルマを設立
2007年4月
不妊治療関連の医療機器を扱う会社として、東京都文京区に㈱北里メディカル(現㈱北里コーポレーション(当社))を設立
2008年11月
将来のグループ経営の方向性として持株会社体制を想定し、静岡県富士市に旧北里コーポレーションを設立
2008年12月
不妊治療に関わる外部からのサービス委託や、外部からの製品製造依頼に対応するため、静岡県富士市に㈱北里サイエンス(現㈱北里バイオサイエンス)を設立
2011年6月
遺伝子事業の開始にあたり東京都文京区に㈱PGD-KS(現㈱北里ヘルスケア)を設立
2012年4月
新機能を備えた「M型(※)ペッサリー」の発売(2013年度グッドデザイン賞受賞)
2013年8月
持株会社によるグループ経営を強化して事業拡大していくことを目的として、旧北里コーポレーションが㈱北里バイオファルマ、㈱北里メディカル、㈱北里サイエンスの株式を取得して子会社化
2013年11月
「卵巣組織の凍結保存キット」を発売
2014年6月
㈱北里メディカルが東京都港区へ本社移転
2016年2月
出生前遺伝学的検査の受託などを行うため、東京都港区に㈱北里検査センターを設立
2016年10月
㈱北里サイエンスが㈱北里バイオサイエンスへ商号変更
2017年2月
㈱北里メディカルが㈱北里バイオファルマを吸収合併し、㈱北里メディカルから㈱北里コーポレーションへ商号変更品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001及びISO13485認証取得、環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001認証取得
2017年3月
当社が旧北里コーポレーションを吸収合併し、㈱北里バイオサイエンスの株式を取得して子会社化 当社が静岡県富士市中島へ本社移転
2020年9月
当社が静岡県富士市柳島へ本社移転
2021年10月
当社が㈱北里検査センターの株式を取得して子会社化 ㈱PGD-KSが㈱北里ヘルスケアへ商号変更
2022年3月
当社が㈱北里ヘルスケアの株式を取得して子会社化 生体細胞の受託管理などを行うため、東京都港区に㈱北里クライオバンクを設立
2022年8月
「乏精子症における微小精子凍結キット」の発売
2023年6月
米国における輸入卸業、製品販売、市場調査・現地での許認可などの取得を行うため、米国デラウェア州にKitazato America, Inc.を設立

財務データ 

 2024年3月期の事業売上は101億円で、構成比は地域別に、日本36.6%欧州30.7%米国9.9%中国8.9%その他13.9%、となっています。

 前々期(24.3)は主にMedia部門や医療機器部門を中心に、欧州や米国等の海外市場向けの販売が伸長し、前期比で売上は9%増最終は40億円で着地しました。

 前期(25.3)は中国においてETカテーテルの認証申請に時間を要し販売が遅れる一方、欧州では新製品展開が進んだことで、売上は2%増最終は38億円を見込んでいます。1株利益は94.72円配当は41円予想としています。

 また今期(26.3)は、売上は2.9%増最終は35億円を見込み、1株利益は87.46円配当は41円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2020/32021/32022/32023/32024/3
売上高74688193101
経常益4336455160
最終益2824303440
純資産8497117141161
総資産96105134155179
※単位は億円、23.3から連結決算

▌地域別の売上内訳(2024.3)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している精密機器49社の中央値と比較すると、収益力は売上高営業利益率が58.7%など、かなり高い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、流動比率が818.6%となっており、かなり良好な状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 179 億円売上高 101 億円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 58.7(μ:-2.5 Me:8.3
総資本営業利益率 = 33.1(μ:4.3 Me:7
自己資本利益率 = 24.8(μ:-332.1 Me:9
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 818.6(μ:363.1 Me:282.6
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 25.8(μ:70.3 Me:58.9
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 89.9(μ:59.2 Me:58.6
成長性指標
売上高成長率 = 8.6(μ:10.2 Me:11.2

※カッコ内の数値は精密機器(49社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は40,000千株で、株式保有割合は、経営陣93.5%その他6.5%となっています。

 株式保有は安定株主が占めているため、初値や上場後の株価形成に際し、大きな懸念はありません。また、主要株主にロックアップが入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
北里商事㈱58.50%180日
井上 太綬(社長)35.00%180日
H&Fパートナーズ㈱4.50%180日
ナレツジイラア㈱2.00%
上記以外
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 40,000千株(2025年5月22日現在)

?

93.56.5
37,400 千株– 千株2,600 千株– 千株
※新株予約権による潜在株式なし。

2IPOの基本情報

公開株数 

 今回のIPOでは募集株式の全てが売出し株式で、主に経営陣の株式放出によるものです。初値形成にはかなりネガティブといえます。

 上場する株式の時価総額は488億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の35.0%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は196.4億円で、IPOとしては中大型以上の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。0 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。0 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。16,100,000 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。14,000,000 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。2,100,000 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。16,100,000 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
488 億円 億円350
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

64.01.035.0
※新株予約権による潜在株式なし。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOでは野村證券が主幹事となっており、割当株数の8%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

 また、幹事証券になるマネックスも割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
野村證券(主幹事)-%-株
SMBC日興証券-%-株
マネックス証券-%-株
静銀ティーエム証券-%-株
合計100%-株

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

8%
個人-本
抽選
裁量
13%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日5月22日(木)
抽選申込期間6月10日(火)~6月13日(金)
当選発表日6月16日(月)
購入申込期間6月17日(火)~6月20日(金)
上場日6月25日(水)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
61626364656667
6869610611612613614
615616617618619620621
622623624625626627628
6296307172737475

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

star_half
Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 不妊治療に関しては、国内で公的保険適用範囲拡大(22年4月~)が進められるなど社会的ニーズが強く、そうした需要を追い風に売上は着実に増加しており、今後の成長余力も十分といえます。また、利益も安定的に確保しており、利益率も高く、収益力はかなり評価できます。

▌需給・価格評価

 IPOとして大型案件で、株主には安定株主しかいないものの、需給は緩くなる可能性があります。また、募集株式の全てが売出しなのもマイナス材料です。今期(26.3)利益予想によるPERは13.9倍と業種平均17.6倍(精密機器・プライム)と比較して割安で、配当利回りは3.4%は魅力的です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 7.0 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は精密機器(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は精密機器(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は精密機器(プライム)の単純PER(25.4末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は精密機器(プライム)の単純PBR(25.4末時点)。
196.4 億円8.624.812.33.0
精密機器11.29.017.61.5
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格1,220円から+180円(+14.8%)高い1,400円と予想します。なお、AI予測値は1,478円となっており、これと同程度の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
1,400円(5/22予想)
+180円 / +14.8%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。1,220円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(5/22計算)

AI予測1,478円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+14.8+21.1+32.8+14.6
(想定価格比)(想定価格比)製造・機械中大型以上

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では24年6月に上場したタウンズ(197A)の初値騰落率は-6.5%でした。

 今回のIPOと同じ製造・機械関連関連に分類されるIPOは2007年以降107件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は62.6%、初値騰落率の平均は+32.8%(中央値+6.6%)となっています。

 また、今回と同じ中大型以上のIPOは2016年以降160件で、勝率は53.1%、初値騰落率の平均は+14.6%(中央値+1.5%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
タウンズ-6.5%106.7-10.2%35.7%

▌製造・機械関連のIPO実績
(機械、電気機器、その他製品など)

製造・機械勝率平均騰落率
107
(2007年以降)
62.6
(67件 / 107件)
+32.8
(Me:+6.6 %)

(2025/5/22 現在)

製造・機械関連の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
7790 バルコス2025/2/3+0.1
285A キオクシアHD2024/12/18-1.0
278A テラドローン2024/11/29-8.0
268A リガク2024/10/25-4.4
218A リベラウェア2024/7/29+46.5

製造・機械のIPO騰落率分布

▌中大型以上のIPO実績
(中大型以上:供給額50億円以上のIPO)

中大型以上勝率平均騰落率
160
(2016年以降)
53.1
(85件 / 160件)
+14.6
(Me:+1.5 %)

(2025/5/22 現在)

中大型以上の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
350A デジタルグリッド2025/4/22+17.5
339A プログレス2025/3/28+1.5
336A ダイナミクマップ2025/3/27+27.5
5016 JX金属2025/3/19+2.8
325A TENTIAL2025/2/28+30.0

中大型以上のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















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