技術承継機構（319A）のIPO情報と初値予想

　技術承継機構（319A）の東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、技術承継機構のIPOに関する基本情報から投資分析、AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します！！

　事業内容は、『製造業の譲受、譲受企業の経営支援』となっています。

　2023年12月期の事業売上は9,327百万円で、構成比はセグメント別に、製造業関連100％となっています。

　前期(23.12)は前年に買収した京和精工の売上が計上され、、前期比で売上は37％増、最終は1,613百万円で着地しました。

　今期(24.12)は前年に買収した３社(キンポーメルテック、エアロクラフトジャパン、天鳥)の売上が計上されたことや、新たにティオックを買収するなど事業拡大を進め、売上は18％増、最終は860百万円を見込んでいます。１株利益は109.08円、配当は0円予想としています。

▌比率分析

　企業の『収益力』や『安全性』を上場している金属製品92社の中央値と比較すると、収益力は自己資本利益率 が51.8％など、かなり高い数値となっています。

　また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、固定比率が228.5％となっており、かなり厳しい状態といえます。

　現在の発行済株式総数は7,883千株で、株式保有割合は、経営陣99.3％、その他0.7％となっています。

　株式保有は安定株主が占めているため、初値や上場後の株価形成に際し、大きな懸念はありません。また、主要株主にロックアップが厳しめに入っているのは安心材料になります。

　IPOの公募比率は51.2％で、公募株式は、主に新規発行になります。初値形成にはニュートラルです。売出し分は、主に経営陣の株式放出によるものです。

　上場する株式の時価総額は170億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の16.9％分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は33.0億円で、IPOとしては中型の案件になります。

　今回のIPOではSBI証券が主幹事となっており、割当株数の36％程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

　また、幹事証券になる松井も割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌注目度・業績評価

　製造業の譲受及び経営支援事業に特段の新規性はなく、注目度は低いです。創業以来、買収により事業規模を順調に拡大しており、利益も安定して出していることから、収益の安定度も比較的高いといえます。

▌需給・価格評価

　IPOとしては中型案件で、株主には安定株主しかおらず、需給に大きな不安はありません。また、PERは18倍と特段の割安感はありません。

▌IPO抽選へのスタンス

　今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

　上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格1,970円から+430円(+21.8%)高い2,400円と予想します。なお、AI予測値は2,501円となっており、これと同程度の予想としています。

　最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では23年7月に上場したテクニスコ(2962)の初値騰落率は+63.2％でした。

　今回のIPOと同じ素材・資材関連関連に分類されるIPOは2007年以降89件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は65.2％、初値騰落率の平均は+26.3％(中央値+7.1％)となっています。

　また、今回と同じ中型のIPOは2016年以降169件で、勝率は76.3％、初値騰落率の平均は+34.0％(中央値+18.0％)となっています。