アストロスケの初値は公開価格を51%上回る、今後の株価展望は?
- 2024/6/5
★ 祝 東証グロース市場上場 ★
アストロスケールHD
初値:1,281 円
きょう東証グロース市場に新規上場したアストロスケールHD<186A>は、公開価格と同じ850円のカイ気配でスタートし、その後気配値を切り上げ、10時35分頃に公開価格を431円(+50.7%)上回る1,281円で初値をつけました。
初値を付けた直後から買いが集まり、一時ストップ高となる1,581円まで買われるも、引けに掛けて売られ、最終的に終値1,375円で上場初日の取引を終えました。また、この日の出来高は4,205万株でした。
アストロスケール( 186A )
▌株価情報(2024/06/05 15:00)
現在値(終値) | 初値比 | 公開価格比 | |||
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始値 | 高値 | 安値 | 出来高 |
---|---|---|---|
1,281 | 1,581 | 1,280 | 4,205 万株 |
View今後の株価展望
本日初値を付け、無事上場を果たしたアストロスケールHDですが、株価が今後上昇していくのか、それとも下落するのか、簡単に予想していきたい思います。
一般的にIPO銘柄は上場後に値下がりすることが多いと言われていますが、実は上場後に株価が大きく上昇していく銘柄も多くあります。ここでは特に、過去に上場した同種のIPO銘柄の値動きから、アストロスケールHDの今後の株価について探っていきます。
類似IPOのセカンダリー状況
▌初値大幅上昇の1年後の株価状況
(初値が公開価格比で50~100%未満の銘柄対象)
初値の水準(初値騰落率)は上場後の株価に大きな影響を与えます。株価は投資家の将来への『期待』に左右されますが、その『期待』の影響を最も受けた状態で付いた株価が初値とするならば、初値が高いほど投資家の『期待』は既に高い状態のため、高値警戒感から上場後は値下がりする可能性が高くなります。
アストロスケールHDの初値は公開価格比で+50.7%になりましたが、2012年以降のIPOで初値が公開価格比で50~100%未満だった149銘柄の1年後の騰落率(初値日終値基準)を見ると、平均(μ)は+16.1%、中央値(Me)で-19.7%となっています。また、1年後に初値日終値より上昇していた銘柄の割合(勝率)は37.6%と、セカンダリーではやや苦戦している状況です。
初値日終値からの1年後騰落率
銘柄数 | 勝率 | 平均騰落率 | |||
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※2012年以降上場した銘柄を集計(上場廃止等の銘柄除く)
★上場1年後に上昇した銘柄TOP5
コード/銘柄 | 上場日 | 1年後騰落率 |
---|---|---|
3668 コロプラ | 2012/12/13 | +820.2 % |
6544 ジャパンエレベー | 2017/3/17 | +396.2 % |
9552 M&A総合研究所 | 2022/6/28 | +373.4 % |
4485 JTOWER | 2019/12/18 | +261.9 % |
6029 アトラ | 2014/12/16 | +252.1 % |
※1年後騰落率は初値日終値を基準とする。
1年後の株価騰落率
▌サービス業(その他)の1年後の株価状況
業種や事業内容も上場後の株価に大きな影響を与えます。IPOでは事業の新規性や話題性、規模が初値の決定に大きな影響を与えますが、上場後は事業が地味でも業績が堅調に拡大していたり、大型株でも配当を出すような安定銘柄であれば株価は緩やかに上昇していきます。
アストロスケールHDと同じサービス業(その他)の銘柄(2012年以降上場の99銘柄)に限定して1年後の騰落率(初値日終値基準)を見ると、平均(μ)は+12.2%、中央値(Me)で-17.6%となっています。また、1年後に初値日終値より上昇していた銘柄の割合(勝率)は35.4%と、セカンダリーではやや苦戦している状況です。1年後に最も上昇したのは19年6月上場のユーピーアール(7065)で+401.3%、最も下落したのは22年11月上場のウェルプレイド・ライゼスト(9565)で-82.1%です。
初値日終値からの1年後騰落率
銘柄数 | 勝率 | 平均騰落率 | |||
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※2012年以降上場した銘柄を集計(上場廃止等の銘柄除く)
★上場1年後に上昇した銘柄TOP5
コード/銘柄 | 上場日 | 1年後騰落率 |
---|---|---|
7065 ユーピーアール | 2019/6/12 | +401.3 % |
6544 ジャパンエレベー | 2017/3/17 | +396.2 % |
7094 NexTone | 2020/3/30 | +371.1 % |
6029 アトラ | 2014/12/16 | +252.1 % |
9560 プログリット | 2022/9/29 | +251.4 % |
※1年後騰落率は初値日終値を基準とする。
1年後の株価騰落率
1年後の株価予想
過去のIPOのセカンダリー状況を見る限り、今後も過度な期待はできないといえます。ただ直近のIPO市場はかなり低調で、同じ宇宙事業の分野で23年4月に上場したispace(9348)の初値が公開価格の4倍だったことを考えると、今回のアストロスケールHDの初値も公開価格の2倍でも驚きはありませんでしたが、流通規模の大きさも影響したのか、公開価格の1.5倍とさほど過熱感は見られません。そうした状況もあってか、実際に初値が付いた直後から買いが集まり、一時ストップ高まで上昇しています。
それでも今後、セカンダリー市場で株価が上昇するには業績の改善が欠かせませんが、収益の大半が国内外の公的機関からの補助金な上、赤字垂れ流しの状況では短期的な改善は考えづらく、株価の上昇も厳しいかもしれません。ちなみにispaceの場合、上場直後は実験機打ち上げへの期待から初値の2倍まで上昇しましたが、直近では初値の2割安程度で推移しています。
以上を踏まえると、短期的な値動きはともかく、向こう1年という期間で考えるなら、初値比2割安の1,000円前後に落ち着いていくものと予想します。
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