D&Mカンパニーの初値は公開価格を31%上回る、今後の株価展望は?

  • 2024/6/11
  •  

★ 祝 東証グロース市場上場 ★
D&Mカンパニー
初値:1,308 円

 きょう東証グロース市場に新規上場したD&Mカンパニー<189a>は、公開価格と同じ1,000円のカイ気配でスタートし、その後気配値を切り上げ、9時50分頃に公開価格を308円(+30.8%)上回る1,308円で初値をつけました。

 初値を付けた直後は売り買い拮抗し、一時1,362円まで買われるも、その後は換金売りに押され、最終的に終値1,186円で上場初日の取引を終えました。また、この日の出来高は357万株でした。

D&Mカンパニ( 189A )

▌株価情報(2024/06/11 15:00)

現在値(終値)初値比公開価格比
1,186
-9.3
-122
+18.6
+186
始値高値安値出来高
1,3081,3621,150357 万株
?

sunny_snowing
View
今後の株価展望

 本日初値を付け、無事上場を果たしたD&Mカンパニーですが、株価が今後上昇していくのか、それとも下落するのか、簡単に予想していきたい思います。

 一般的にIPO銘柄は上場後に値下がりすることが多いと言われていますが、実は上場後に株価が大きく上昇していく銘柄も多くあります。ここでは特に、過去に上場した同種のIPO銘柄の値動きから、D&Mカンパニーの今後の株価について探っていきます。

類似IPOのセカンダリー状況 

▌初値上昇の1年後の株価状況
(初値が公開価格比で10~50%未満の銘柄対象)

 初値の水準(初値騰落率)は上場後の株価に大きな影響を与えます。株価は投資家の将来への『期待』に左右されますが、その『期待』の影響を最も受けた状態で付いた株価が初値とするならば、初値が高いほど投資家の『期待』は既に高い状態のため、高値警戒感から上場後は値下がりする可能性が高くなります。

 D&Mカンパニーの初値は公開価格比で+30.8%になりましたが、2012年以降のIPOで初値が公開価格比で10~50%未満だった231銘柄の1年後の騰落率(初値日終値基準)を見ると、平均(μ)は+11.4%、中央値(Me)で-10.1%となっています。また、1年後に初値日終値より上昇していた銘柄の割合(勝率)は40.7%と、セカンダリーではやや苦戦している状況です。

candlestick_chart初値日終値からの1年後騰落率

銘柄数勝率平均騰落率
231
(2012年以降)
40.7
(94件 / 231件)
+11.4
(Me:-10.1 %)

※2012年以降上場した銘柄を集計(上場廃止等の銘柄除く)

★上場1年後に上昇した銘柄TOP5

コード/銘柄上場日1年後騰落率
7065 ユーピーアール2019/6/12+401.3
4447 ピー・ビーシステ2019/9/12+377.5
3457 ハウスドゥ2015/3/25+343.0
4475 HENNGE2019/10/8+302.3
5254 Arent2023/3/28+299.9

※1年後騰落率は初値日終値を基準とする。

IPO1年後の株価騰落率


▌サービス業(その他)の1年後の株価状況

 業種や事業内容も上場後の株価に大きな影響を与えます。IPOでは事業の新規性や話題性、規模が初値の決定に大きな影響を与えますが、上場後は事業が地味でも業績が堅調に拡大していたり、大型株でも配当を出すような安定銘柄であれば株価は緩やかに上昇していきます。

 D&Mカンパニーと同じサービス業(その他)の銘柄(2012年以降上場の99銘柄)に限定して1年後の騰落率(初値日終値基準)を見ると、平均(μ)は+12.2%、中央値(Me)で-17.6%となっています。また、1年後に初値日終値より上昇していた銘柄の割合(勝率)は35.4%と、セカンダリーではやや苦戦している状況です。1年後に最も上昇したのは19年6月上場のユーピーアール(7065)+401.3%、最も下落したのは22年11月上場のウェルプレイド・ライゼスト(9565)-82.1%です。

candlestick_chart初値日終値からの1年後騰落率

銘柄数勝率平均騰落率
99
(2012年以降)
35.4
(35件 / 99件)
+12.2
(Me:-17.6 %)

※2012年以降上場した銘柄を集計(上場廃止等の銘柄除く)

★上場1年後に上昇した銘柄TOP5

コード/銘柄上場日1年後騰落率
7065 ユーピーアール2019/6/12+401.3
6544 ジャパンエレベー2017/3/17+396.2
7094 NexTone2020/3/30+371.1
6029 アトラ2014/12/16+252.1
9560 プログリット2022/9/29+251.4

※1年後騰落率は初値日終値を基準とする。

IPO1年後の株価騰落率


1年後の株価予想 

 過去のIPOのセカンダリー状況を見る限り、今後の株価もややネガティブな展開になりそうです。ただ初値の水準に過熱感はなく、むしろ低調なIPO市場の影響で買いやすい価格ともいえます。

 本日発表された今期(24.5)の予想は、売上6%増、最終益は3.3%増と前期から微増程度のため、業績拡大による株価上昇は難しい状況といえます。ただ、PER10倍程度で配当(今期5円予想)を出せるほど業績は安定しているので、値下がりリスクは限定的といえます。

 以上を踏まえると、短期的な値動きはともかく、向こう1年という期間で考えるなら、初値から2割高の1,500円前後で推移していくのと予想します。

アーカイブ
ページ上部へ戻る