ライフステージに応じた資産運用とは?【投信 vol.4】
- 2022/6/10
- 投資信託
1資産運用と投資
「資産運用」という言葉を聞くと、何となく小難しいイメージで、つい自分には関係ないことと思いがちですが、みなさんはこの「資産運用」という言葉の意味をしっかりと考えたことはありますか?
デジタル大辞泉によると、資産運用とは、『自分の資産をふやす目的で、貯蓄したり、投資したりすること。また、銀行や投資信託会社などの機関投資家が集めた資金を債券や不動産などに投資すること。』とあります。「貯蓄」も資産運用に入るの?と思った人もいるかと思いますが、そうです、日本人が大好きな貯蓄も実は資産運用の一つの手段なのです。
「資産運用」というと、株や債券、不動産への「投資」をイメージする人も多いかもしれませんが、「資産運用」という言葉自体は、「自身の資産(現金、不動産、株、債券など)をふやす取り組み」を意味します。ですので、資産をふやすという点では預貯金も、銀行に預けることで金利を受け取りますので、これもお金をふやす取り組み、つまり「資産運用」に他なりません。
貯蓄と投資
前述したとおり、資産運用はお金をふやす取り組みなので、そうした点では貯蓄と投資に違いはありません。ではなぜ、日本人は極端に貯蓄を好む一方で、投資を敬遠するのでしょうか?貯蓄と投資の違いはどこにあるのでしょうか。
▌貯蓄と投資の違いとは?
貯蓄と投資のいずれも目的は同じ「お金をふやす」ことですが、資産運用における「力点」、つまり資産運用をするにあたって何を重視しているのかという点に違いがあります。「貯蓄」は貯めることを重視した資産運用ですが、「投資」はふやすことを重視した資産運用ということになります。
貯蓄 | ・ふやすことより貯めることを重視 ・元本保証など確実性を重視 ・運用成果は商品選択時に決定(金利) |
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投資 | ・貯めるよりふやすことを重視 ・投資先を分散することでリスクを軽減 ・運用成果は予測できない |
日本人が投資より貯蓄を好むのは、資産運用の力点をふやすことより貯めることに置いていることに他なりません。この要因の一つには、日本人は欧米人と比較して不確実性を避ける傾向が強く、お金の運用先を決める際に、運用成果が予測できない投資を自然と選択肢から外しているためと考えられます。もう一つは、90年代初頭のバブル期まで日本の金利水準は今よりずっと高かったため、貯金や預金をすることがお金を「貯める」だけでなく、お金を「ふやす」資産運用にもなっていたので、そうした過去の経験に基づく「貯蓄神話」が今も根強く残ってしまっているというものです。
ですが今や超低金利時代。資産運用でお金を”ふやす”ことと”貯める”ことを同時に達成してくれる夢のような金融商品はありません。これからは、自身でお金を”ふやす”のか”貯める”のかを選択していく必要があります。また、単純にどちらかを選択するのではなく、自身の資産のうちどれだけのお金を投資に回して、どれだけを貯蓄として残しておくのか、資産配分の点からも考えなくてはなりません。さらに投資する金融商品も無数にあり、その中から自分に合った投資先を選ぶという作業も必要になってきますので、これまで「投資」に馴染みのなかった日本人には、まさに資産運用受難の時代なのかもしれません。
2マネープラン
資産運用を始めるにあたって、前もって考えなくてはならないことがあります。それは、「マネープラン」と「資産配分」です。
マネープラン
人生には、就職にはじまり、結婚や子どもの誕生、マイホームの購入、老後の生活など、さまざまなライフイベントが待ち受けています。そして、そうしたイベントには必ずといっていいほど、お金が必要となります。そのため、資産運用には、あらかじめ予想されるお金の需要に応じたプランニングが求められます。
プランニングというと難しく聞こえますが、「どれくらいの時期」に「いくらぐらい必要か」をざっくり整理するだけでも、立派な「マネープラン」の出来上がりです。マネープランを用意することで、いつまでにどれくらいのお金を準備しておけばよいのかが明確になり、今後予想される資金需要に応じて、今はお金をふやす時期なのか、それとも貯める時期のか、またその割合はどうするのかなど、長期的な視点から資産運用を検討していくことができます。
お金の色分け
マネープランができたら、現在持っているお金を、使うタイミング別で分けてみましょう。ここではお金の性格や特性によって資産を3つに色分けしています。資産運用は、色分けした資産からそれぞれの特性にあった金融商品を選択していくことになります。
▌生活資金は「つかう」お金
日々の生活費や不意の出費など「つかう」お金の運用先は、すぐに現金に換金できて、さらに安全性の高い金融商品がおすすめ。(例:普通預金、MMF、MRFなど)
▌使途確定資金は「そなえる」お金
結婚資金や住宅資金など、数年後のために「そなえる」お金の運用先は、収益性と同時に元本の安全性の高い金融商品がおすすめ。(例:定期預金、個人向け国債、公社債投資信託など)
▌余裕資金は「ふやす(のこす)」お金
当面使う予定はなく、豊かな老後のために「ふやす」お金や家族のために「のこす」お金の運用先は、リスクが多少あっても、高い収益が期待できる金融商品がおすすめ(例:株式、投資信託など)
3資産配分の最適化
資産配分は一度決めたらそれで終わりというものではありません。必要なお金はライフステージや生活サイクルによって変化していきますので、資産配分もライフステージに応じて柔軟に変えていかなくてはなりません。
▌若い世代(独身、共働き)
収入は多くなく資産もさほどありませんが、自由に使えるお金の割合が大きい時期です。資産運用は、運用期間が長いほど有利なため、若い時期から積極的に投資することで、何年後かに大きな成果を得ることも可能です。この時期は「ふやす」お金を重視した運用が求めらます。
▌働き盛り世代
収入が増えてはいても子どもの教育や住宅ローンなど、支出も多くなる時期です。毎月の収支が赤字になることもありますが、子どもの将来や自分の老後など、現実的な未来を見据え、「ふやす」お金と、家族が困らないように「そなえる」お金のバランスを重視した運用が求められます。
▌退職世代
子どもが独立し、自分のリタイアもすぐそこに迫っており、豊かなセカンドライフに備えてしっかりとした資産運用が求められます。毎月の生活費など必要なお金を把握した上で、充実したセカンドライフに向けて「ふやす」お金と「そなえる」お金を重視した運用が求められます。
▌シニア世代
年金収入と貯蓄で、悠々自適なセカンドライフを満喫している時期です。この時期の資産運用は、長生きに備えて安定的に資産を「ふやす」お金と、万一の際は子どもや孫に「のこす」お金を重視した運用が求められます。
世代別の資産配分事例
以下の円グラフは、各ライフステージに応じた資産配分の例です。みなさんも現在の自身の資産とその配分を確認し、マネープランに応じて資産配分の見直しをしてみてはいかがでしょうか。