フラー(387A)のIPO情報と初値予想【仮条件決定】

 フラー(387A)の東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、フラーのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『スマートフォンアプリを中心としたデジタル領域全般における事業開発コンサルティング・UI/UX デザイン・システム開発、アプリ利用データ分析等』となっています。

会社名フラー(387A)
所在地新潟県新潟市中央区笹口一丁目2番地
設立日2011年11月15日
従業員数192人
業種情報・通信業

【企業サイト】
フラー公式サイト
https://www.fuller-inc.com/

事業解説
 「クライアントワーク」事業は、スマートフォンアプリ開発等の業務を受託する事業であり、事業開発コンサルティング、システム開発、UI/UXデザインサービスを提供しています。「アプリ分析サービス」事業では、スマートフォンアプリ市場における最新の利用状況を集計・分析するサービスで、「App Apeダッシュボード」「App Apeオーダーメイド分析」を提供しています。
フラーの事業説明
(画像:フラーHP

沿革 

フラーのトップメッセージ

代表取締役社長 山﨑 将司

 2011年11月に創業して以来、フラーはテクノロジーとスマホを軸に、生き残りを懸けて時代に合わせて柔軟にやるべきことを変え、がむしゃらにモノ創りを続けてきました。「世界一ヒトを惹きつける会社」を目指して、私たちはこれからも邁進してまいります。

(引用:フラーHP
2011年11月
茨城県つくば市でインターネットサービスの企画・開発を事業目的としてFULLER(株)(旧会社名)創業、渋谷修太が代表取締役に就任
2012年9月
自社提供のスマートフォン端末管理アプリ「ぼく、スマホ」をリリース
2013年4月
「App Ape」の原型となる「アプリ分析レポート」サービスを開始
2013年5月
本社オフィスを茨城県守谷市へ移転
2014年10月
本社オフィスを千葉県柏市へ移転(現在の柏の葉本社)
2014年11月
アプリ分析ツール「App Ape」ダッシュボードをリリース
2016年11月
会社名をフラー(株)に変更
2017年1月
新潟県新潟市中央区に新潟拠点を開設
2017年5月
(一財)長岡花火財団と共同で「長岡花火公式アプリ」をリリース(クライアントワークの第1号案件)
2020年9月
渋谷修太が代表取締役会長、山﨑将司が代表取締役社長にそれぞれ就任
2020年11月
新潟拠点を新潟県新潟市中央区、同区内で移転
2020年11月
登記上の本店を新潟拠点に移転、柏の葉本社と新潟本社の二本社体制へ
2021年4月
フラーの魅力を発信するオウンドメディア「フラーのデジタルノート」を開始
2022年5月
ISO/IEC 27001(ISMS)認証を取得
2024年6月
(株)ヤプリ及び(株)電通グループが大株主となる(株)ヤプリ及び(株)電通グループのグループ企業との間で業務提携を開始
2024年9月
渋谷修太が取締役会長となり、代表者を代表取締役社長山﨑将司のみとする

財務データ 

 2024年6月期の事業売上は1,518百万円で、構成比は販売別に、アプリ分析7.6%クライアントワーク92.4%となっています。

 前期(24.6)はクライアントワーク事業で、上期に大型案件の中断・失注が発生したものの下期に新規案件の受注が進んだ一方で、アプリ分析サービス事業で、韓国データ販売撤退の影響及び受注不振により、前期比で売上は1%増最終は29百万円で着地しました。

 今期(25.6)はクライアントワーク事業で、クリエイティブ人材数の増加に支えられ、既存取引先との取引拡大及び新規取引先の獲得が順調に推移し、売上は32%増最終は203百万円を見込んでいます。1株利益は125.61円配当は0円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2020/32021/62022/62023/62024/6
売上高6081,0051,2451,5071,518
経常益△2006216610919
最終益△2016122512229
純資産201226615737768
総資産4685761,0401,3031,288
※単位は百万円、単体決算

▌販売別の売上内訳(2024.6)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している情報・通信業595社の中央値と比較すると、収益力は売上高営業利益率が0.9%など、かなり低い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、流動比率が386.4%となっており、比較的良好な状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 1,288 百万円売上高 1,518 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 0.9(μ:6.5 Me:8.3
総資本営業利益率 = 1(μ:7.1 Me:8.1
自己資本利益率 = 3.8(μ:2.1 Me:9.6
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 386.4(μ:347.4 Me:271.4
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 19.6(μ:69.4 Me:39.4
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 59.6(μ:60.5 Me:64.3
成長性指標
売上高成長率 = 0.7(μ:12.3 Me:8.4

※カッコ内の数値は情報・通信業(595社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は1,775千株で、株式保有割合は、関係会社39.3%ベンチャーキャピタル(VC)22.9%その他20.1%経営陣17.7%となっています。

 VCが一定割合の株式を保有しているため、初値や上場後の株価形成に際し、ロックアップから外れた段階で売り圧力が強まるリスクがあります。また、主要株主にロックアップが入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
㈱ヤプリ19.85%180日
㈱電通グループ19.49%180日
渋谷 修太11.21%180日
B Dash Fund4号LPS8.26%90日/1.5倍
いばらき新産業創出ファンドLPS5.07%90日/1.5倍
地方創生新潟1号LPS3.34%90日/1.5倍
山本 公哉2.74%180日
櫻井 裕基2.45%180日
山﨑 将司(社長)2.33%180日
従業員2.25%
上記以外23.01%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 1,775千株(2025年6月19日現在)

?

17.739.320.122.9
313.8 千株698.4 千株357.1 千株405.7 千株
※新株予約権による潜在株式(139.5千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は25.2%と低く、売出される株式は、主に経営陣、ベンチャーキャピタル(VC)の株式放出によるものです。初値形成にはややネガティブといえます。公募株式は、主に新規発行になります。

 上場する株式の時価総額は18.8億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の13.0%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は3.0億円で、IPOとしては超小型の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。60,000 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。60,000 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。213,900 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。178,200 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。35,700 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。273,900 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
18.8 億円0.7 億円1425.2
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

12.138.117.519.413.0
※新株予約権による潜在株式(139.5千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOではSBI証券が主幹事となっており、割当株数の36%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
SBI証券(主幹事)-%-株
野村證券-%-株
岩井コスモ証券-%-株
SMBC日興証券-%-株
岡三にいがた証券-%-株
JTG証券-%-株
第四北越証券-%-株
東海東京証券-%-株
松井証券-%-株
マネックス証券-%-株
楽天証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
SBIネオトレード証券SBI-株
岡三オンライン岡三-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

36%
個人-本
抽選
裁量
9%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
13%
個人-本
抽選
裁量
66%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日6月19日(木)
抽選申込期間7月7日(月)~7月11日(金)
当選発表日7月14日(月)
購入申込期間7月15日(火)~7月18日(金)
上場日7月24日(木)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
6296307172737475
76777879710711712
713714715716717718719
720721722723724725726
7277287297307318182

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 システム開発関連のIPOは比較的人気が集まりやすく、注目度はまずまず。前期は韓国事業の不振で売上停滞も、今期はクライアントワーク事業の好調で持ち直し、今後も一定程度の成長は期待できます。また、利益も安定的に確保しており、事業の安定度は比較的高いです。

▌需給・価格評価

 IPOとしては超小型案件で、株主にVCが複数入っているもののロックアップは入っており、需給面から初値上昇に期待ができます。今期利益予想によるPERは8.8倍と業種平均57.8倍(情報通信・グロース)と比較して割安です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは一定程度の初値上昇が期待できるため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 9.5 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は情報・通信業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は情報・通信業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は情報・通信業(グロース)の単純PER(25.5末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は情報・通信業(グロース)の単純PBR(25.5末時点)。
3.0 億円0.73.865.32.3
情報・通信8.49.657.83.8
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格1,110円から+690円(+62.2%)高い1,800円と予想します。なお、AI予測値は2,136円となっており、これより低い弱気の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
1,800円(6/19予想)
+690円 / +62.2%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。1,110円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。1,110円 ~ 1,170円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。未発表
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
/

▌AIの予測値(6/19更新)

AI予測2,136円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+62.2+92.4+122.3+174.7
(想定価格比)(想定価格比)シス開発超小型

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では24年9月に上場したINGS(245A)の初値騰落率は+39.2%でした。

 今回のIPOと同じシステム開発関連に分類されるIPOは2007年以降114件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は91.2%、初値騰落率の平均は+122.3%(中央値+99.3%)となっています。

 また、今回と同じ超小型のIPOは2016年以降99件で、勝率は90.9%、初値騰落率の平均は+174.7%(中央値+135.5%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
INGS+39.2%10.950.8%14.0%
光フードサービス+119.9%7.494.0%38.7%

▌システム開発のIPO実績
(システムの受託開発や役務提供など)

シス開発勝率平均騰落率
114
(2007年以降)
91.2
(104件 / 114件)
+122.3
(Me:+99.3 %)

(2025/6/19 現在)

システム開発の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
339A プログレス2025/3/28+1.5
5241 日本オーエー2024/12/23+9.1
304A フォルシア2024/12/26+108.0
228A オプロ2024/8/21+28.7
202A 豆蔵デジタルHD2024/6/27+1.4

シス開発のIPO騰落率分布

▌超小型のIPO実績
(超小型:供給額5億円未満のIPO)

超小型勝率平均騰落率
99
(2016年以降)
90.9
(90件 / 99件)
+174.7
(Me:+135.5 %)

(2025/6/19 現在)

超小型の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
353A A-エレコミ2025/4/25+29.4
338A Zenmu2025/3/27+216.5
9388 パパネッツ2025/3/21+18.6
7790 バルコス2025/2/3+0.1
5241 日本オーエー2024/12/23+9.1

超小型のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















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