リップス(373A)のIPO情報と初値予想【仮条件決定】

 リップス(373A)の東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、リップスのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『メンズコスメの企画・販売を行う商品事業及びヘアサロンのフランチャイズ運営を行うサロンフランチャイズ事業』となっています。

会社名リップス(373A)
所在地東京都渋谷区神宮前三丁目1番30号
設立日2008年4月8日
従業員数48人
業種化学

【企業サイト】
リップス公式サイト
https://www.lipps.co.jp/

事業解説
 主力商品のヘアワックスシリーズやスキンケア・メイクアップ商品を、卸売業者を通じてドラッグストアなどの小売店へ販売するほか、自社のサロンフランチャイズ店をはじめとした美容室への販売、EC通販サイトを活用した販売などを手掛けています。また、ヘアサロン「LIPPS hair」を関東を中心に28店舗で展開しています。
リップスの事業説明
(画像:リップスHP

沿革 

リップスのトップメッセージ

代表取締役社長 的場 隆光

 私たちはヘアサロンからはじまった、メンズビューティーブランドです。LIPPSをメンズビューティーのスタンダードにしようとしています。一時期の流行りではなく、常に変わらない定番のもの。定番の中で基準として変化していくものを私たちは生み出します。

(引用:リップスHP
2008年4月
東京都渋谷区神宮前にスタイリング剤、シャンプー等のヘアケア商品の企画・販売、及びヘアサロン運営の支援を目的として㈱レスプリ(当社)を設立
2013年10月
メンズヘアスタイルのポータルサイト運営を目的とした㈱メンズヘアスタイルを設立
2015年5月
ヘアワックス及びスタイリングシャンプー&トリートメントのリニューアル
2015年7月
ヘアサロンのスタイリストへの教育研修を目的とした一般社団法人リップスアカデミーを設立
2019年4月
スキンケア・メイクアップ商品ブランドとして「LIPPS BOY(リップスボーイ)」を発売
2021年11月
ヘアワックスのリニューアル
2022年6月
本社を東京都港区南青山に移転
2022年6月
資本金を803百万円に増資
2022年6月
社名を㈱レスプリから㈱リップスに商号変更
2022年7月
ポータルサイト運営事業を当社に承継し㈱メンズヘアスタイルを清算
2022年8月
資本金を100百万円に減資
2022年10月
スタイリストの教育研修事業を当社に承継し一般社団法人リップスアカデミーを清算
2023年9月
新シリーズとして「スタイリストシャンプー&トリートメント」を発売
2023年12月
本社を東京都渋谷区神宮前に移転

財務データ 

 2024年8月期の事業売上は3,761百万円で、構成比はセグメント別に、商品事業88%サロンFC12%となっています。

 前期(24.8)は新商品「リップススタイリストシャンプー&トリートメント」の取扱店舗数が8,000店舗を超え順調に配荷拡大が進み、前期比で売上は21%増最終は424百万円で着地しました。

 今期(25.8)はヘアワックスシリーズを中心に小売店への配荷が拡大していることや、ECサイトで「スタイリストシャンプー&トリートメント」などの出荷が伸びており、売上は17%増最終は629百万円を見込んでいます。1株利益は250.78円配当は0円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2020/32021/32022/32023/82024/8
売上高9341,2211,8783,1073,761
経常益392479523770719
最終益265316349539424
純資産1,1643421232,4002,823
総資産1,3771,0631,2232,9833,253
※単位は百万円、単体決算

▌セグメント別の売上内訳(2024.8)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している化学209社の中央値と比較すると、収益力は総資本営業利益率が22.2%など、かなり高い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、流動比率が759.1%となっており、かなり良好な状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 3,253 百万円売上高 3,761 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 19.2(μ:7.2 Me:6.1
総資本営業利益率 = 22.2(μ:5.4 Me:4.8
自己資本利益率 = 15(μ:6 Me:6
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 759.1(μ:283.6 Me:224.6
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 6.9(μ:77.9 Me:66.7
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 86.8(μ:60.3 Me:61.2
成長性指標
売上高成長率 = 21(μ:8.3 Me:7.8

※カッコ内の数値は化学(209社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は2,810千株で、株式保有割合は、経営陣59.3%ベンチャーキャピタル(VC)35.6%その他5.2%となっています。

 VCが一定割合の株式を保有しているため、初値や上場後の株価形成に際し、ロックアップから外れた段階で売り圧力が強まるリスクがあります。また、主要株主にロックアップが厳しめに入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
㈱Akeru37.37%180日
野村キャピタル・パートナーズ第一号LPS35.59%180日
的場 隆光(社長)16.01%180日
長島 幹孟1.60%継続保有
上原 大輔1.60%継続保有
平 剛1.33%継続保有
西澤 民夫1.33%継続保有
従業員0.89%継続保有
従業員0.89%継続保有
従業員0.31%継続保有
上記以外3.08%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 2,810千株(2025年5月29日現在)

?

59.35.235.6
1,665 千株– 千株145 千株1,000 千株
※新株予約権による潜在株式(310千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は4.5%と低く、売出される株式は、主にベンチャーキャピタル(VC)の株式放出によるものです。初値形成にはややネガティブといえます。公募株式は、主に新規発行になります。

 上場する株式の時価総額は79.1億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の38.8%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は39.6億円で、IPOとしては中型の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。50,000 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。50,000 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。1,227,000 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。1,060,500 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。166,500 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。1,277,000 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
79.1 億円1.6 億円43.54.5
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

50.35.15.838.8
※新株予約権による潜在株式(310千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOでは野村證券が主幹事となっており、割当株数の8%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
野村證券(主幹事)-%-株
岡三証券-%-株
SBI証券-%-株
楽天証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
岡三オンライン岡三-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

8%
個人-本
抽選
裁量
89%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日5月29日(木)
抽選申込期間6月13日(金)~6月18日(水)
当選発表日6月19日(木)
購入申込期間6月20日(金)~6月25日(水)
上場日6月30日(月)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
61626364656667
6869610611612613614
615616617618619620621
622623624625626627628
6296307172737475

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

star_half
Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 メンズコスメの企画・販売に特段の新規性はなく、注目度は低いです。ここ数年で売上は着実に増加しており、今後も一定程度の事業拡大は期待できます。利益も安定的に確保しており、収益力も評価できます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては中型案件で、株主にVCが入っているもののロックアップは厳しめで、需給に大きな不安はありません。今期利益予想によるPERは12.3倍と割安な印象です。想定価格がやや高めの設定のため、初値寄り付き後に株価が乱高下するリスクがあります。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格割れの可能性もあるため、リスクを回避したい人はIPO抽選に『不参加』とすることも選択肢になります。

期待度評価点
 6.5 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は化学(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は化学(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は化学(グロース)の単純PER(25.4末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は化学(グロース)の単純PBR(25.4末時点)。
39.6 億円21.015.018.72.7
化学7.86.03.7
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格3,100円から+300円(+9.7%)高い3,400円と予想します。なお、AI予測値は3,490円となっており、これと同程度の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
3,400円(5/30予想)
+300円 / +9.7%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。3,100円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。3,100円 ~ 3,130円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。未発表
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
/

▌AIの予測値(5/30更新)

AI予測3,490円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+9.7+12.6+26.1+33.4
(想定価格比)(想定価格比)素材・資材中型

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では24年9月に上場したAiロボティクス(247A)の初値騰落率は+42.8%でした。

 今回のIPOと同じ素材・資材関連関連に分類されるIPOは2007年以降93件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は66.7%、初値騰落率の平均は+26.1%(中央値+10.2%)となっています。

 また、今回と同じ中型のIPOは2016年以降174件で、勝率は76.4%、初値騰落率の平均は+33.4%(中央値+17.6%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
Aiロボティクス+42.8%24.893.7%73.1%
Waqoo+23.0%11.033.0%61.5%
リベルタ+76.7%10.7-5.5%10.5%
Pアンチエイ+37.0%90.5139.8%56.9%
I-ne+12.5%60.83.1%26.1%

▌素材・資材関連のIPO実績
(化学・鉄鋼・金属、建設業など)

素材・資材勝率平均騰落率
93
(2007年以降)
66.7
(62件 / 93件)
+26.1
(Me:+10.2 %)

(2025/5/30 現在)

素材・資材関連の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
341A トヨコー2025/3/28+19.3
5016 JX金属2025/3/19+2.8
325A TENTIAL2025/2/28+30.0
319A 技術承継機構2025/2/5+35.0
247A Aiロボティクス2024/9/27+42.8

素材・資材のIPO騰落率分布

▌中型のIPO実績
(中型:供給額20~50億円未満のIPO)

中型勝率平均騰落率
174
(2016年以降)
76.4
(133件 / 174件)
+33.4
(Me:+17.6 %)

(2025/5/30 現在)

中型の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
352A Lクリエイト2025/4/24+2.4
341A トヨコー2025/3/28+19.3
332A ミーク2025/3/21+5.6
331A メディックス2025/3/19-5.0
319A 技術承継機構2025/2/5+35.0

中型のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















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