トヨコー(341A)のIPO情報と初値予想

 トヨコー(341A)の東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、トヨコーのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『3層の樹脂をスプレーコーティングして強靭な屋根に蘇らせる『SOSEI』の施工及び老朽化したインフラのサビや塗膜等をレーザーで除去する『CoolLaser』の製造・販売』となっています。

会社名トヨコー(341A)
所在地静岡県富士市青島町39番地
設立日1996年3月1日
従業員数39人
業種建設業

【企業サイト】
トヨコー公式サイト
https://www.toyokoh.com/

事業解説
 SOSEI工法は、瞬間硬化する特殊な樹脂を老朽化した屋根上に吹き付け補強する工法で、主として自動車や電機メーカーの工場を修繕してきました。また、高出力サビ取りレーザー施工装置CoolLaserは、橋や鉄塔からサビや古くなった塗装を除去して、その表面をまるで新品のような状態にまで蘇らせることができる装置で、道路・鉄道や通信・送電、海運・ドック分野が主な顧客となります。
トヨコーの事業説明
(画像:トヨコーHP

沿革 

トヨコーのトップメッセージ

代表取締役 CEO 豊澤 一晃

 インフラメンテナンス現場の「3K(キツい、汚い、危険)を3C(Cool、Clean、Creative)に」変える事で、老朽化した社会インフラ構造物を、より永く、キレイに子や孫の世代へ受け継いでいく事で、循環型社会の実現に貢献して参ります。

(引用:トヨコーHP
1996年3月
塗装防水工事業として、静岡県静岡市清水区に㈲トヨコーを設立
1997年3月
㈱トヨコーに改組
2006年5月
静岡県富士市に本社移転
2006年6月
屋根の防水・断熱・補強等の効果を生み出すスプレーカバー工法(SOSEI)を独自開発
2008年6月
レーザークリーニング工法(CoolLaser)の開発着手 光産業創成大学院大学との共同開発開始
2014年1月
CoolLaserの開発拠点として浜松研究所を開設
2014年5月
豊澤一晃が代表取締役に就任
2016年10月
CoolLaserの施工を目的として、静岡県静岡市に当社60%、鈴与建設㈱40%の出資比率でフォーカス・エンジニア㈱を設立
2019年5月
九州営業所開設
2019年7月
SOSEI工法の海外展開を目的として、タイ バンコクに完全子会社のToyokoh (Thailand)Co.,Ltd.を設立
2020年4月
国土交通省の土木研究機関である国立研究開発法人土木研究所とCoolLaserの公共工事採用に向けた共同研究「革新的社会資本整備研究開発推進事業」開始
2020年6月
SOSEIの開発拠点としてSOSEI BASEを開設
2020年7月
建築デザインを専門的に展開することを目的として、静岡県富士市に完全子会社のデプスデザイン㈱を設立
2021年11月
土木研究所でCoolLaserの最新機「G19」プロトタイプのデモ実施
2023年2月
CoolLaser初の市販モデル「G19-6000」シリーズを発売
2023年5月
回転式レーザー素地調整工法(CoolLaser工法)がNETIS(新技術情報提供システム)に登録
2023年6月
SOSEI及びCoolLaser事業に経営資源を集中させるため、デプスデザイン㈱を清算
2024年1月
SOSEIは国内事業に経営資源を集中させるため、Toyokoh (Thailand) Co.,Ltd.を清算 CoolLaserは装置メーカーとして開発・製造・販売に経営資源を集中させるため、フォーカス・エンジニア㈱を清算
2024年2月
岡山出張所開設

財務データ 

 2024年3月期の事業売上は1,095百万円で、構成比はセグメント別に、SOSEI96.7%CoolLaser3.4%となっています。

 前期(24.3)は大型案件の端境期という事もあり、前期比で売上は△2%減最終は△158百万円で着地しました。

 今期(25.3)はCoolLaserの装置納入を開始した事により、3Q累計は売上は前期比で大幅増、最終は黒字転換で推移しています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2020/32021/32022/32023/32024/3
売上高8109211,0461,1171,095
経常益△181△333△558△114△158
最終益△182△356△898△115△158
純資産621266△111△226328
総資産1,3261,4131,5101,3371,921
※単位は百万円、単体決算

▌セグメント別の売上内訳(2024.3)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している建設業163社と比較すると、まず、収益力については赤字決算のため、現状では比較することができません。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、固定比率が-272.8%となっており、平均的な状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 1,921 百万円売上高 1,095 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = -19.4(μ:5.3 Me:4.7
総資本営業利益率 = -15.7(μ:5.2 Me:4.9
自己資本利益率 = -48.2(μ:7.4 Me:6.5
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 258.4(μ:219 Me:201.1
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = -272.8(μ:61.5 Me:52.3
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = -16(μ:53.3 Me:55.4
成長性指標
売上高成長率 = -2(μ:4.9 Me:3.6

※カッコ内の数値は建設業(163社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は13,194千株で、株式保有割合は、経営陣50.1%その他42.0%ベンチャーキャピタル(VC)7.9%となっています。

 VCが一定割合の株式を保有しているため、初値や上場後の株価形成に際し、ロックアップから外れた段階で売り圧力が強まるリスクがあります。また、一部VCにロックアップが入っていないのは不安材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
豊澤 一晃38.53%180日
豊澤 弘康8.60%180日
白井 元7.46%180日
建装工業㈱3.79%
㈱トヨコー従業員持株会3.52%180日
大和ハウスグループ共創共生1号LPS3.25%
鈴与建設㈱3.23%180日
鈴木 紀行2.96%180日
従業員2.37%180日
前田建設工業㈱2.27%
上記以外24.02%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 13,194千株(2025年2月25日現在)

?

50.142.07.9
6,605.5 千株– 千株5,545.6 千株1,042.5 千株
※新株予約権による潜在株式(1,167千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は27%と低く、売出される株式は、主にその他(創業家等)の株式放出によるものです。初値形成にはややネガティブといえます。公募株式は、主に新規発行になります。

 上場する株式の時価総額は91.2億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の26.1%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は29.8億円で、IPOとしては中型の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。1,000,000 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。1,000,000 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。3,255,000 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。2,700,000 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。555,000 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。4,255,000 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
91.2 億円7 億円28.427
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

43.025.05.926.1
※新株予約権による潜在株式(1,167千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOではSMBC日興証券が主幹事となっており、割当株数の10%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

 また、幹事証券になるマネックス松井も割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
SMBC日興証券(主幹事)-%-株
大和証券-%-株
みずほ証券-%-株
SBI証券-%-株
松井証券-%-株
マネックス証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
CONNECT大和-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

10%
個人-本
抽選
裁量
18%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日2月25日(火)
抽選申込期間3月12日(水)~3月18日(火)
当選発表日3月19日(水)
購入申込期間3月21日(金)~3月26日(水)
上場日3月28日(金)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
32333435363738
39310311312313314315
316317318319320321322
323324325326327328329
3303314142434445

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 インフラ整備事業に特段の新規性はなく、注目度は低いです。売上はここ数年横ばい傾向で推移していたものの、直近では「CoolLaser」が好調で、今期は大幅な増収、黒字転換が期待できます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては中型案件で、株主にVCが入っているものの持株比率低く、想定価格も低めに設定されていることから、需給に大きな不安はありません。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 6.5 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は建設業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は建設業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は建設業(グロース)の単純PER(25.1末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は建設業(グロース)の単純PBR(25.1末時点)。
29.8 億円-2.0-48.29.5
建設業3.66.518.81.9
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格700円から+100円(+14.3%)高い800円と予想します。なお、AI予測値は928円となっており、これより低い弱気の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
800円(2/26予想)
+100円 / +14.3%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。700円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(2/26計算)

AI予測928円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+14.3+32.6+26.4+34.1
(想定価格比)(想定価格比)素材・資材中型

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では22年3月に上場したノバック(5079)の初値騰落率は-12.3%でした。

 今回のIPOと同じ素材・資材関連関連に分類されるIPOは2007年以降90件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は65.6%、初値騰落率の平均は+26.4%(中央値+8.7%)となっています。

 また、今回と同じ中型のIPOは2016年以降170件で、勝率は76.5%、初値騰落率の平均は+34.1%(中央値+18.8%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
ノバック-12.3%30.010.6%12.2%
田中建設工業+7.1%7.9185.1%29.0%
ベステラ+25.0%7.448.8%19.6%

▌素材・資材関連のIPO実績
(化学・鉄鋼・金属、建設業など)

素材・資材勝率平均騰落率
90
(2007年以降)
65.6
(59件 / 90件)
+26.4
(Me:+8.7 %)

(2025/2/26 現在)

素材・資材関連の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
319A 技術承継機構2025/2/5+35.0
247A Aiロボティクス2024/9/27+42.8
231A CrossE2024/8/29-8.1
211A カドス2024/7/18+10.7
205A ロゴスHD2024/6/28±0.0

素材・資材のIPO騰落率分布

▌中型のIPO実績
(中型:供給額20~50億円未満のIPO)

中型勝率平均騰落率
170
(2016年以降)
76.5
(130件 / 170件)
+34.1
(Me:+18.8 %)

(2025/2/26 現在)

中型の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
319A 技術承継機構2025/2/5+35.0
297A アルピコHD2024/12/25+5.2
291A リスキル2024/12/17+29.8
288A ラクサス2024/12/13+51.6
281A インフォメティス2024/12/9-8.1

中型のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報
















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