山忠(391A)のIPO情報と初値予想

 山忠(391A)の名証メインへの新規上場が承認されました。ここでは、山忠のIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『不動産の企画・開発・販売、不動産の賃貸及び管理、ビジネスホテル運営等』となっています。

会社名山忠(391A)
所在地愛知県海部郡大治町大字三本木字柳原112番地の3
設立日1991年3月15日
従業員数42人
業種不動産業

【企業サイト】
山忠公式サイト
https://www.yamachuu.co.jp/

事業解説
 開発事業では、1Kタイプの都市型分譲マンション(パルティール、プログレッソ)や都市型商業ビル(アストラーレ)、建築条件のない宅地分譲(リベルタ)を不動産業者や個人等に販売しています。また、ストック事業として、不動産管理業務やビルメンテナンス、不動産賃貸、貸会議室、レンタルオフィス事業を行うほか、ビジネスホテル(ジャストイン)の運営も手掛けています。
山忠の事業説明
(画像:山忠HP

沿革 

山忠のトップメッセージ

代表取締役 山﨑 恭裕

 ㈱山忠は、従来の不動産会社の枠を超えた「提案できる不動産会社」の実現を目指し、1991年3月に設立しました。設立以来、「お客様サービスの充実」を最優先に、お客様に信頼され、ご満足いただける商品とサービスづくりを続けています。

(引用:山忠HP
1991年3月
愛知県海部郡大治町大字西條字城前田102番地に㈱山忠設立
1991年10月
宅地建物取引業免許取得「愛知県知事(1)第16434号」
1996年4月
愛知県海部郡大治町大字三本木字柳原112番地の3に本社移転
1999年4月
一般建設業許可取得「愛知県知事許可(般-11)第56319号」
2000年5月
賃貸マンション管理事業開始
2003年5月
都市型分譲マンション「パルティール」シリーズ販売開始
2004年11月
名古屋市中区千代田三丁目14番14号に名古屋支店開設
2006年8月
都市型分譲マンション「プログレッソ」シリーズ販売開始
2007年5月
都市型商業ビル「アストラーレ」シリーズ販売開始
2008年1月
名古屋市中区千代田五丁目22番26号に名古屋支店移転
2008年5月
貸会議室「タイムオフィス名古屋」営業開始
2009年4月
名古屋市中村区名駅二丁目41番10号に名古屋支店移転
2010年7月
宅地分譲「リベルタ」シリーズ販売開始
2012年5月
㈱ライフパートナーズを100%子会社として設立
2012年8月
レンタルオフィス「オフィスプラス名古屋」営業開始
2015年5月
㈱ジャストインを100%子会社として設立(現・連結子会社)
2017年3月
ビジネスホテル「ジャストインプレミアム名古屋駅」営業開始
2017年5月
レンタルオフィス「オフィスプラス栄」営業開始 屋内型レンタルトランクルーム「Goodストレージ栄」営業開始
2018年3月
マンション管理業登録「国土交通大臣(1)第054345号」
2018年5月
㈱ライフパートナーズ吸収合併 パルティールマンションギャラリー開設
2019年4月
ビジネスホテル「ジャストインプレミアム豊橋駅新幹線口」営業開始
2019年11月
ビジネスホテル「ジャストイン松阪駅前」営業開始
2021年3月
屋内型レンタルトランクルーム「Goodストレージ志賀公園」営業開始 名古屋城北土地㈱の全株式を取得し、100%子会社化
2022年5月
名古屋城北土地㈱吸収合併
2022年8月
賃貸住宅管理業登録「国土交通大臣(01)第008223号」

財務データ 

 2024年4月期の事業売上は5,533百万円で、構成比はセグメント別に、開発70.3%ストック10.4%ホテル19.3%となっています。

 前期(24.4)は都市型分譲マンション(パルティール金山アネックス)の販売が好調に推移し、インベストメント事業の売上が増加したことで、前期比で売上は24%増最終は478百万円で着地しました。

 今期(25.4)は大型案件の販売により、ソリューション事業の売上が増加しており、3Q累計は売上・利益ともに前期を上回るペースで推移しています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2020/42021/42022/42023/42024/4
売上高3,9483,1994,5704,4595,533
経常益381158659415716
最終益289120261308478
純資産2,3322,4212,6733,0193,476
総資産11,27411,86311,75311,65014,460
※単位は百万円、23.4から連結決算

▌セグメント別の売上内訳(2024.4)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している不動産業140社の中央値と比較すると、収益力は売上高営業利益率が14.7%など、やや高い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、固定比率が239.8%となっており、やや厳しい状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 14,460 百万円売上高 5,533 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 14.7(μ:9.7 Me:9.5
総資本営業利益率 = 5.6(μ:6 Me:5.5
自己資本利益率 = 13.8(μ:12.6 Me:10.2
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 235.1(μ:332.2 Me:250.3
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 239.8(μ:93.9 Me:53.8
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 24(μ:39.1 Me:33.5
成長性指標
売上高成長率 = 24.1(μ:12.6 Me:8.2

※カッコ内の数値は不動産業(140社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は1,152千株で、株式保有割合は、経営陣84.0%その他16.0%となっています。

 株式保有は安定株主が占めているため、初値や上場後の株価形成に際し、大きな懸念はありません。また、主要株主にロックアップが入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
山﨑 恭裕(社長)80.73%180日/90日※
山﨑 忠七2.50%
山﨑 當子2.50%
山﨑 正揮2.50%
細江 盛方1.27%90日
奥田 慶太0.76%90日
山忠従業員持株会0.73%180日
伊藤 良徳0.55%90日
岐阜信用金庫0.52%
山﨑 美由紀0.52%
上記以外7.42%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 1,152千株(2025年6月25日現在)

?

84.016.0
967.4 千株– 千株184.9 千株– 千株
※新株予約権による潜在株式(66.3千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は78.9%と高く、公募株式は、主に新規発行になります。初値形成にはややポジティブといえます。売出し分は、主に経営陣の株式放出によるものです。

 上場する株式の時価総額は32.1億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の14.6%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は4.9億円で、IPOとしては超小型の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。150,000 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。150,000 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。40,000 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。40,000 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。 0 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。190,000 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
32.1 億円3.9 億円15.478.9
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

71.214.214.6
※新株予約権による潜在株式(66.3千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOではアイザワ証券が主幹事となっています。

 また、幹事証券になる楽天マネックス松井も割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
アイザワ証券(主幹事)75.00%142,500株
SBI証券4.00%7,600株
SMBC日興証券4.00%7,600株
東海東京証券4.00%7,600株
岡三証券2.00%3,800株
安藤証券2.00%3,800株
楽天証券2.00%3,800株
松井証券1.00%1,900株
岩井コスモ証券1.00%1,900株
水戸証券1.00%1,900株
丸三証券1.00%1,900株
マネックス証券1.00%1,900株
極東証券1.00%1,900株
あかつき証券1.00%1,900株
合計100%190,000株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
岡三オンライン岡三200株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

45%
個人66本
抽選34
裁量32
13%
個人65本
抽選10
裁量55
66%
個人51本
抽選50
裁量1
89%
個人34本
抽選34
裁量
90%
個人34本
抽選34
裁量
90%
個人17本
抽選17
裁量
11%
個人17本
抽選2
裁量15
90%
個人17本
抽選17
裁量
100%
個人2本
抽選2
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日6月25日(水)
抽選申込期間7月11日(金)~7月17日(木)
当選発表日7月18日(金)
購入申込期間7月22日(火)~7月25日(金)
上場日7月29日(火)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
6296307172737475
76777879710711712
713714715716717718719
720721722723724725726
7277287297307318182

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 不動産開発事業に特段の新規性はなく、さらに名証メインいうマイナー市場への上場となるため、注目度は低いです。ここ数年は売上・利益ともに緩やかな拡大傾向にあり、事業の安定度は高いですが、今後、事業規模が飛躍的に拡大する可能性は低そうです。

▌需給・価格評価

 IPOとしては超小型案件で、株主には安定株主しかいないものの、マイナー市場への上場になるため、需給面から初値の大幅な上昇は期待しづらいです。想定価格でPER6.7倍(前期ベース)は業種平均18.3倍(不動産・スタンダード)と比較して割安な水準です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格割れの可能性もあるため、リスクを回避したい人はIPO抽選に『不参加』とすることも選択肢になります。

期待度評価点
 6.0 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は不動産業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は不動産業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は不動産業(スタンダード)の単純PER(25.5末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は不動産業(スタンダード)の単純PBR(25.5末時点)。
4.9 億円24.113.86.70.8
不動産業8.210.218.32.7
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格2,600円から+200円(+7.7%)高い2,800円と予想します。なお、AI予測値は3,330円となっており、これより低い弱気の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
2,800円(6/26予想)
+200円 / +7.7%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。2,600円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(6/26計算)

AI予測3,330円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+7.7+28.1+55.6+174.7
(想定価格比)(想定価格比)不動産超小型

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では23年6月に上場したエリッツホールディングス(5533)の初値騰落率は+26.6%でした。

 今回のIPOと同じ不動産業関連に分類されるIPOは2007年以降75件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は73.3%、初値騰落率の平均は+55.6%(中央値+27.3%)となっています。

 また、今回と同じ超小型のIPOは2016年以降99件で、勝率は90.9%、初値騰落率の平均は+174.7%(中央値+135.5%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
エリッツHD+26.6%5.06.5%12.6%
ホームポジション+3.3%11.534.5%13.4%
アールプランナー+126.2%9.615.3%22.3%
日本グランデ+0.3%1.3-29.0%8.5%

▌不動産業のIPO実績
(不動産の販売・仲介・賃貸管理事業など)

不動産勝率平均騰落率
75
(2007年以降)
73.3
(55件 / 75件)
+55.6
(Me:+27.3 %)

(2025/6/26 現在)

不動産業の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
276A ククレブ2024/11/28+31.6
146A コロンビアW2024/3/27+13.5
5533 エリッツHD2023/6/27+26.6
5532 リアルゲイト2023/6/22+112.8
5530 日本システムバンク2023/4/14-9.6

不動産のIPO騰落率分布

▌超小型のIPO実績
(超小型:供給額5億円未満のIPO)

超小型勝率平均騰落率
99
(2016年以降)
90.9
(90件 / 99件)
+174.7
(Me:+135.5 %)

(2025/6/26 現在)

超小型の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
353A A-エレコミ2025/4/25+29.4
338A Zenmu2025/3/27+216.5
9388 パパネッツ2025/3/21+18.6
7790 バルコス2025/2/3+0.1
5241 日本オーエー2024/12/23+9.1

超小型のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















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