サイバーソリューションズ(436A)のIPO情報と初値予想

 サイバーソリューションズ(436A)の東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、サイバーソリューションズのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『デジタルコミュニケーション&サイバーセキュリティ事業(メール・ビジネスチャット・グループウェア等のビジネスコミュニケーションサービス及びメールに関連するセキュリティ、リスクマネジメント等のサービスの企画・開発・販売・サポート)』となっています。

会社名サイバーソリューションズ(436A)
所在地東京都港区芝浦三丁目4番1号
設立日2022年12月14日
従業員数67人
業種情報・通信業
事業解説
 「ファブレス経営」を掲げ、セキュリティ製品の開発(カスタマイズ開発は除く)を自社では行わず、台湾やベトナムの提携会社に委託する体制を構築することで、業界大手がメール、チャット、Web会議、ストレージ等をオールインワンパッケージとしてセキュリティ対策サービスを提供しているのに対して、分野ごとに顧客に最適な他社製品を選定し、組み合わせて提供することで大手と差別化を図っています。

沿革 

サイバーソリューションズのトップメッセージ

代表取締役社長 林 界宏

 サイバーソリューションズは、電子メールおよびセキュリティやコンプライアンス対策に取り組む国産の専門企業として、2000年1月に設立されました。創業して四半世紀を間近に迎える現在、当社は次の25年、さらに次の50年へと真の老舗企業となるべく、経営基盤の強化を図り、さらなる成長と発展を追求していきます。

(引用:サイバーソリューションズHP
1997年4月
リンクアジア㈱設立
1998年8月
サイバーソフト㈱へ商号変更
2000年1月
旧サイバーソリューションズ㈱へ事業譲渡
2000年9月
破産宣告(2001年1月破産廃止決定)
2000年1月
旧サイバーソリューションズ㈱設立 サイバーソフト㈱から事業譲受
2001年1月
CyberMailリリース(メールシステム)
2005年1月
MailBaseリリース(メールアーカイブシステム)
2005年11月
MailGatesリリース(メールセキュリティシステム)
2007年3月
ISO27001認証取得
2008年6月
関西オフィス設立
2009年1月
CYBERMAIL Σサービス開始(クラウドメールサービス)
2012年12月
MAILBASE Σリリース(クラウドメールアーカイブサービス)
2016年7月
CyberMail STリリース(メール無害化サービス)
2016年11月
CYBERMAIL Σ-STサービス開始(クラウドメール無害化転送サービス)
2018年7月
MAILGATES Σサービス開始(クラウドメールセキュリティサービス)
2019年4月
Cloud Mail SECURITYSUITE サービス開始(クラウドセキュリティサービス)
2020年1月
EMERGENCY MAILサービス開始(バックアップWEBメールサービス)
2020年4月
ISO27017、ISO27018認証取得
2021年10月
Internet Secure Services㈱設立(2025年3月に保有する株式を一部売却し、連結の範囲から除外)
2022年8月
Enterprise Auditリリース(eDiscovery対応メール監査システム)
2022年12月
ACAセキュリティ㈱設立
2023年1月
ACAセキュリティ㈱が旧サイバーソリューションズ㈱の全株式を取得し、完全子会社となる
2023年2月
代表取締役社長の林界宏及び林界宏の親族を割当先とする第三者割当増資を実施
2023年5月
ACAセキュリティ㈱を存続会社、旧サイバーソリューションズ㈱を消滅会社とする吸収合併を実施。サイバーソリューションズ㈱へ商号変更
2024年11月
SecureDriveリリース(クラウドストレージサービス)
2024年12月
㈱日立システムズと業務資本提携の締結
2025年2月
SecureCommunicationONEリリース(統合コラボレーションサービス)
2025年2月
SecureBoardリリース(クラウドグループウェアサービス)
2025年3月
Internet Secure Services㈱の株式を一部売却、連結の範囲から除外

財務データ 

 2025年4月期の事業売上は3,126百万円で、構成比はサービス別に、コミュニケーションソリュ42.7%セキュリティソリュ57.3%となっています。

 前期(25.4)はビジネス向けファイル転送ツール『SecureDrive』(24.11)やセキュアで統合されたコミュニケーションを提供する『SecureCommunicationONE』(25.2)をリリースし、新たにグループウェア/ポータルへと事業領域を拡大したことで、前期比で売上は14%増最終は824百万円で着地しました。

 今期(26.4)は昨今社会全体的に問題となっている、フィッシング詐欺メール対策を始めとしたセキュリティ意識への関心の高まりを受け、引き続き堅調な受注を見込んでおり、売上は14%増最終は1,000百万円を見込んでいます。1株利益は64.97円配当は32円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期-/--/-2023/42024/42025/4
売上高22,7483,126
経常益△598581,192
最終益△59552824
純資産9231,4742,298
総資産4,7634,5614,946
※単位は百万円、単体決算

▌サービス別の売上内訳(2025.4)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している情報・通信業585社の中央値と比較すると、収益力は売上高営業利益率が38%など、かなり高い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、流動比率が73.3%となっており、かなり厳しい状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 4,946 百万円売上高 3,126 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 38(μ:6.5 Me:8.1
総資本営業利益率 = 24(μ:6.6 Me:7.5
自己資本利益率 = 35.9(μ:-11.8 Me:10.1
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 73.3(μ:328.5 Me:258.5
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 156.1(μ:110.4 Me:42.2
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 46.5(μ:59.7 Me:62.5
成長性指標
売上高成長率 = 13.8(μ:13.2 Me:8.9

※カッコ内の数値は情報・通信業(585社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は16,413千株で、株式保有割合は、経営陣54.0%その他46.0%となっています。

 株式保有は安定株主が占めているため、初値や上場後の株価形成に際し、大きな懸念はありません。また、主要株主にロックアップが厳しめに入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
林 界宏(社長)48.43%180日
林 盈貝11.53%180日
林 盈穎11.53%180日
ACAセカンダリーズ1号LPS4.66%180日
東 明浩4.47%180日
Openfind Information Technology,Inc.4.35%180日
㈱TKC2.74%180日
㈱日立システムズ2.74%180日
土谷 祐三郎1.04%180日
廖 長健0.26%継続保有
上記以外8.25%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 16,413千株(2025年9月18日現在)

?

54.046.0
8,863.6 千株– 千株7,549.6 千株– 千株
※新株予約権による潜在株式(1,413.1千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は29.2%と低く、売出される株式は、主に経営陣、その他(親族等)の株式放出によるものです。初値形成にはややネガティブといえます。公募株式は、主に新規発行になります。

 上場する株式の時価総額は217.8億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の15.6%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は42.5億円で、IPOとしては中型の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。781,900 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。781,900 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。2,295,700 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。1,894,300 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。401,400 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。3,077,600 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
217.8 億円10.8 億円1729.2
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

45.838.615.6
※新株予約権による潜在株式(1,413.1千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOでは大和証券が主幹事となっており、割当株数の14%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

 また、幹事証券になる楽天マネックス松井も割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
大和証券(主幹事)-%-株
丸三証券-%-株
SBI証券-%-株
岩井コスモ証券-%-株
岡三証券-%-株
マネックス証券-%-株
楽天証券-%-株
あかつき証券-%-株
SMBC日興証券-%-株
東海東京証券-%-株
松井証券-%-株
広田証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
CONNECT大和-株
岡三オンライン岡三-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

14%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
89%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
13%
個人-本
抽選
裁量
66%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日9月18日(木)
抽選申込期間10月7日(火)~10月14日(火)
当選発表日10月15日(水)
購入申込期間10月16日(木)~10月21日(火)
上場日10月23日(木)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
928929930101102103104
10510610710810910101011
1012101310141015101610171018
1019102010211022102310241025
102610271028102910301031111

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 セキュリティ関連のIPOは比較的人気が集まりやすく、注目度は高いです。ここ数年で売上は順調に伸びており、利益も安定的に確保し、さらに利益率もかなり高いことから、成長性と収益性は十分に評価できます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては中型案件で、株主は安定株主で占められており、ロックアップも厳しめに設定されているため、需給に不安はありません。また、公募比率がやや低いのはマイナス材料です。今期利益予想によるPERは21.2倍と業種平均67.9倍(情報通信・グロース)と比較して割安で、配当利回り2.3%は魅力的です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 8.5 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は情報・通信業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は情報・通信業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は情報・通信業(グロース)の単純PER(25.8末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は情報・通信業(グロース)の単純PBR(25.8末時点)。
42.5 億円13.835.924.111.0
情報・通信8.910.167.94.1
※実績値で計算、下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格1,380円から+620円(+44.9%)高い2,000円と予想します。なお、AI予測値は2,309円となっており、これより低い弱気の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
2,000円(9/19予想)
+620円 / +44.9%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。1,380円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(9/19計算)

AI予測2,309円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+44.9+67.3+118.4+33.3
(想定価格比)(想定価格比)情報セキュ中型

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では24年4月に上場したハンモック(173A)の初値騰落率は+4.9%でした。

 今回のIPOと同じ情報セキュリティ関連に分類されるIPOは2007年以降14件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は85.7%、初値騰落率の平均は+118.4%(中央値+102.5%)となっています。

 また、今回と同じ中型のIPOは2016年以降180件で、勝率は77.2%、初値騰落率の平均は+33.3%(中央値+18.7%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
ハンモック+4.9%31.49.5%27.7%
カウリス+87.9%26.357.3%130.9%
S&J-2.3%24.118.8%28.0%
網屋+6.6%23.37.1%26.6%
HENNGE+42.9%15.627.3%13.3%

▌情報セキュリティのIPO実績
(セキュリティソフトの開発、コンサルなど)

情報セキュ勝率平均騰落率
14
(2007年以降)
85.7
(12件 / 14件)
+118.4
(Me:+102.5 %)

(2025/9/19 現在)

情報セキュリティの直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
338A Zenmu2025/3/27+216.5
173A ハンモック2024/4/11+4.9
153A カウリス2024/3/28+87.9
5599 S&J2023/12/15-2.3
4258 網屋2021/12/22+6.6

情報セキュのIPO騰落率分布

▌中型のIPO実績
(中型:供給額20~50億円未満のIPO)

中型勝率平均騰落率
180
(2016年以降)
77.2
(139件 / 180件)
+33.3
(Me:+18.7 %)

(2025/9/19 現在)

中型の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
378A ヒット2025/7/4+44.4
373A リップス2025/6/30+2.2
372A レント2025/6/30+32.3
369A エータイ2025/6/26+68.7
366A ウェルネスC2025/6/23+33.1

中型のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















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