フツパー(478A)のIPO情報と初値予想

 フツパー(478A)東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、フツパーのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『製造業向けAIサービスの提供①外観検査自動化AI『メキキバイト』②AI受託開発サービス『カスタムHutzperAI』③人材配置最適化システム『スキルパズル』等』となっています。

会社名フツパー(478A)
所在地大阪市淀川区西中島一丁目11番16号新大阪CSPビル北館
設立日2020年4月1日
従業員数67人
業種情報・通信業

【企業サイト】
フツパー公式サイト
https://hutzper.com/

事業解説
 製造業向け外観検査&品質管理AI『メキキバイト』は、外観検査を自動化するAIソリューションで、AIや画像処理など最適な手法をご提案し、無駄のない外観検査自動化・省人化を実現します。分析AIサービス『カスタムHutzperAI』では、製造業や物流業に特化し、機械学習やデータ分析の専門知識に加え、顧客課題の本質を見極め、ニーズに応じた実務に役立つツールと最適な解決策を提案します。
フツパーの事業説明
(画像:フツパーHP

沿革 

フツパーのトップメッセージ

代表取締役社長 大西 洋

 生産性向上に取り組む企業のあらゆる現場課題を解決することで、「すべての企業に競争力を与え、日本のものづくりのさらなる進歩に貢献したい。」という志を同じくする仲間たちが集い、私たちは成長し続けています。

(引用:フツパーHP
2020年4月
大阪市淀川区西中島一丁目9番20号にて当社を設立。
2020年7月
AIによる製造業向け外観検査自動化サービス「メキキバイト」の提供を開始。
2021年4月
大阪市淀川区東三国四丁目25番29号へ本社を移転。
2022年4月
AIによる製造業向け分析サービス「カスタムHutzperAI」の提供を開始。
2022年8月
東京都墨田区に関東支社を設立。
2022年12月
東京都中央区へ関東支社を移転。
2023年8月
大阪市淀川区西中島一丁目11番16号へ本社を移転。
2024年7月
スキルに応じた人材配置最適化ソリューション「スキルパズル」の提供を開始。
2025年6月
インターネット接続不要の生成AIソリューション「ラクラグ(らくらくRAG)」の提供を開始。

財務データ 

 2024年12月期の事業売上は603百万円で、構成比は事業別に、画像認識AI61%分析AI37.3%その他AI1.7%となっています。

 前期(24.12)は画像認識AIサービスで大型の案件の受注や既存顧客の導入ライン数増加、分析AIサービスについても新規顧客の獲得に加え、既存顧客からのさらなる大型案件の受注・販売が進み、前期比で売上は95%増最終は△23百万円で着地しました。

 今期(25.12)は各サービスにおいて大型の案件の受注や既存顧客の追加受注等により販売単価や導入ライン数が増加しており、3Q累計は売上は前期を上回る水準で推移し、最終損益も黒字を維持しています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期-/-2021/32022/32023/122024/12
売上高3681310603
経常益3△18△112△65
最終益0△18△135△23
純資産11698337314
総資産122111400477
※単位は百万円、単体決算

▌事業別の売上内訳(2024.12)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している情報・通信業585社と比較すると、まず、収益力については赤字決算のため、現状では比較することができません。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、流動比率が441.6%となっており、かなり良好な状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 477 百万円売上高 603 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = -11.5(μ:6.5 Me:8.1
総資本営業利益率 = -14.5(μ:6.6 Me:7.5
自己資本利益率 = -7.3(μ:-11.8 Me:10.1
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 441.6(μ:328.5 Me:258.5
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 18.7(μ:110.4 Me:42.2
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 65.8(μ:59.7 Me:62.5
成長性指標
売上高成長率 = 94.5(μ:13.2 Me:8.9

※カッコ内の数値は情報・通信業(585社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は9,865千株で、株式保有割合は、経営陣47.9%ベンチャーキャピタル(VC)34.8%その他17.3%となっています。

 VCが一定割合の株式を保有しているため、初値や上場後の株価形成に際し、ロックアップから外れた段階で売り圧力が強まるリスクがあります。また、主要株主にロックアップが入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
大西 洋(社長)26.40%180日
ANRI4号LPS14.10%90日/1.5倍
黒瀬 康太11.20%180日
弓場 一輝8.70%180日
フツパー従業員持株会3.50%180日
広島大学・広島県内大学発ベンチャー支援LPS2.80%90日/1.5倍
GA3号投資組合2.30%90日/1.5倍
三菱UFJキャピタル8号LPS2.10%90日/1.5倍
関西イノベーションネットワークLPS2.00%90日/1.5倍
創発の莟1号LPS2.00%90日/1.5倍
上記以外24.90%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 9,865千株(2025年11月19日現在)

?

47.917.334.8
4,726.5 千株– 千株1,707.5 千株3,431 千株
※新株予約権による潜在株式(1,075千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は36.9%で、公募株式は、主に新規発行になります。初値形成にはニュートラルです。売出し分は、主にベンチャーキャピタル(VC)の株式放出によるものです。

 上場する株式の時価総額は96.4億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の30.5%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は37.4億円で、IPOとしては中型の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。1,250,000 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。1,250,000 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。2,645,000 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。2,137,000 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。508,000 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。3,895,000 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
96.4 億円12 億円33.736.9
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

38.315.415.930.5
※新株予約権による潜在株式(1,075千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOではSMBC日興証券が主幹事となっており、割当株数の10%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

 また、幹事証券になる楽天松井も割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
SMBC日興証券(主幹事)-%-株
SBI証券-%-株
三菱UFJMS証券-%-株
楽天証券-%-株
松井証券-%-株
ひろぎん証券-%-株
東海東京証券-%-株
中銀証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
auカブコム証券三菱-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

10%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
9%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
66%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日11月19日(水)
抽選申込期間12月9日(火)~12月15日(月)
当選発表日12月16日(火)
購入申込期間12月17日(水)~12月22日(月)
上場日12月24日(水)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
1130121122123124125126
1271281291210121112121213
1214121512161217121812191220
1221122212231224122512261227
1228122912301231111213

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 AI関連のIPOは比較的人気が集まりやすく、国内AI市場においても、「Chat GPT」など生成AIの技術革新や自律的に業務を遂行するAIエージェントへの注目の高まりなどを背景に、幅広い産業で積極的なDX投資が行われており、注目度は高いです。ここ数年で売上は急激に拡大しており、損益も今期は3Q累計で黒字を維持しており、事業の先行きは比較的明るいといえます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては中型案件で、株主にVCが多くいるもののロックアップは入っており、需給に大きな不安はありません。ただ、公募比率が低いのはマイナス材料です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 7.0 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は情報・通信業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は情報・通信業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は情報・通信業(グロース)の単純PER(25.10末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は情報・通信業(グロース)の単純PBR(25.10末時点)。
37.4 億円94.5-7.36.9
情報・通信8.910.158.13.6
※実績値で計算、下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
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初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格960円から+340円(+35.4%)高い1,300円と予想します。なお、AI予測値は2,241円となっており、これより低い弱気の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
1,300円(11/20予想)
+340円 / +35.4%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。960円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(11/20計算)

AI予測2,241円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+35.4+133.4+204.3+33.3
(想定価格比)(想定価格比)AI中型

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では24年10月に上場したSapeet(269A)の初値騰落率は+52.3%でした。

 今回のIPOと同じAI(人工知能)関連関連に分類されるIPOは2007年以降41件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は97.6%、初値騰落率の平均は+204.3%(中央値+134.0%)となっています。

 また、今回と同じ中型のIPOは2016年以降184件で、勝率は77.2%、初値騰落率の平均は+33.3%(中央値+19.5%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
Sapeet+52.3%5.440.3%0.9%
エイチエムコム+32.7%8.910.2%5.1%
VRAIN+73.6%35.279.4%56.2%

▌AI(人工知能)関連のIPO実績
(AI技術をベースにしたサービスの提供)

AI勝率平均騰落率
41
(2007年以降)
97.6
(40件 / 41件)
+204.3
(Me:+134.0 %)

(2025/11/20 現在)

AI(人工知能)関連の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
269A Sapeet2024/10/29+52.3
265A エイチエムコム2024/10/28+32.7
260A オルツ2024/10/11+5.6
135A VRAIN2024/2/22+73.6
5591 AVILEN2023/9/27+17.1

AIのIPO騰落率分布

▌中型のIPO実績
(中型:供給額20~50億円未満のIPO)

中型勝率平均騰落率
184
(2016年以降)
77.2
(142件 / 184件)
+33.3
(Me:+19.5 %)

(2025/11/20 現在)

中型の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
436A サイバーSOL2025/10/23+38.7
428A サイプレスHD2025/10/8-4.9
421A ムービン2025/10/6+20.3
410A GMOコマース2025/9/25+80.6
378A ヒット2025/7/4+44.4

中型のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















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