エレベーターコミュニケーションズ(353A)のIPO情報と初値予想

 エレベーターコミュニケーションズ(353A)の札証アンビシャスへの新規上場が承認されました。ここでは、エレベーターコミュニケーションズのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『エレベーター・エスカレーターなど昇降機設備の保守、管理およびリニューアル』となっています。

会社名エレベーターコミュニケーションズ(353A)
所在地東京都品川区南大井六丁目16番16号鈴中ビル大森3階
設立日2006年2月22日
従業員数219人
業種サービス業

【企業サイト】
エレベーターコミュニケーションズ公式サイト
https://www.evcom.co.jp/

事業解説
 エレベーターやエスカレーター等の昇降機を対象として、点検、監視、保守、部品交換等のメンテナンスやリニューアルサービスを、全国47支店及び出張所により提供しています。独自の地震災害時WEB復旧要請システム「Qサポ」では、エレベーター内に貼付されたステッカーのQRコードをご利用者自身が読み取り、直接復旧作業の連絡を取ることができます。

沿革 

エレベーターコミュニケーションズのトップメッセージ

代表取締役社長 薄田 章博

 当社は、エレベーターやエスカレーター等の昇降機インフラ社会において、特定のメーカーに縛られることなく、多様な種類のメンテナンスに対応できる独立系の保守会社として、全国各地のニーズに応えたいという想いから、2006年2月に設立されました。

(引用:エレベーターコミュニケーションズHP
2006年2月
エレベーターの保守・管理業務の受託を目的として、東京都豊島区西池袋に、当社を設立(資本金15,000千円)
2006年8月
当社本社を東京都港区南青山に移転
2007年1月
当社本社を東京都港区芝に移転
2007年1月
エレベーターのリニューアル業務の受託を開始
2008年1月
当社本社を東京都大田区大森北に移転
2012年6月
当社本社を東京都品川区南大井に移転
2012年10月
アップルエレベーター㈱(本社:青森県八戸市)から青森地区のエレベーター保守事業を譲り受け
2014年4月
当社基幹システム上で遠隔監視・災害対応を管理する「イージスモード」機能の運用開始
2014年11月
当社本社を東京都品川区南大井内で移転
2015年2月
㈲平成エレベーター(本社:福岡県福岡市)から九州地区のエレベーター保守事業を譲り受け
2018年12月
建物管理事業を営むワンライフ㈱(本社:東京都豊島区)を吸収合併
2019年5月
大阪地区でのエレベーター保守関連事業を目的として、エレベーターアクシス㈱(本社:大阪府大阪市)を合弁設立
2021年7月
地震災害時WEB復旧要請システム「Qサポ」の提供開始

財務データ 

 2024年5月期の事業売上は3,291百万円で、構成比は受注形態別に、保守業51.9%保全・リニューアル48.1%その他0%となっています。

 前期(24.5)は保守業務で新規契約が順調に伸長したことや、保全・リニューアル業務でエスカレーターのリニューアル大型案件の受注もあり、前期比で売上は18%増最終は74百万円で着地しました。

 今期(25.5)は保守業務で入札案件等の解約が一部あったものの新規契約が順調に伸長したほか、保全・リニューアル業務で好調なリニューアル需要の後押しもあり、2Q累計は売上・利益ともに前期を上回るペースで推移しています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2020/52021/52022/52023/52024/5
売上高2,2682,3712,5562,7873,291
経常益9272△1376138
最終益25△23△242674
純資産5127329103
総資産1,5561,6351,3801,2391,317
※単位は百万円、単体決算

▌受注形態別の売上内訳(2024.5)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場しているサービス業548社の中央値と比較すると、収益力は自己資本利益率 が71.8%など、やや高い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、固定比率が240.5%となっており、かなり厳しい状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 1,317 百万円売上高 3,291 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 4.3(μ:6.7 Me:6.7
総資本営業利益率 = 10.6(μ:7 Me:7.4
自己資本利益率 = 71.8(μ:1.3 Me:9.9
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 131.5(μ:266.4 Me:204.8
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 240.5(μ:119.6 Me:61.8
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 7.8(μ:51.6 Me:51.4
成長性指標
売上高成長率 = 18.1(μ:14.3 Me:9.9

※カッコ内の数値はサービス業(548社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は1,080千株で、株式保有割合は、経営陣80.0%その他20.0%となっています。

 株式保有は安定株主が占めているため、初値や上場後の株価形成に際し、大きな懸念はありません。また、主要株主にロックアップが入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
そらしづ㈱46.28%180日
薄田 章博(社長)18.05%180日
村石 誠司4.67%180日
六日市 拓也3.89%180日
こたろう㈱3.15%180日
大久保 圭太2.83%180日
杉山 央2.24%
向江 弘徳2.24%
渡邊 和則1.85%180日
上田 健一1.00%180日
上記以外13.80%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 1,080千株(2025年3月24日現在)

?

80.020.0
864.5 千株– 千株215.9 千株– 千株
※新株予約権による潜在株式(130.4千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は47.9%で、公募株式は、主に新規発行になります。初値形成にはニュートラルです。売出し分は、主に経営陣、その他の株式放出によるものです。

 上場する株式の時価総額は16億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の9.2%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は1.9億円で、IPOとしては超小型の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。50,000 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。50,000 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。69,800 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。54,300 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。15,500 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。119,800 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
16 億円0.8 億円10.447.9
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

73.617.19.2
※新株予約権による潜在株式(130.4千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOでは東洋証券が主幹事となっています。

 また、幹事証券になるマネックス松井も割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
東洋証券(主幹事)-%-株
SBI証券-%-株
北洋証券-%-株
岡三証券-%-株
マネックス証券-%-株
松井証券-%-株
あかつき証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
岡三オンライン岡三-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

45%
個人-本
抽選
裁量
89%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日3月24日(月)
抽選申込期間4月10日(木)~4月16日(水)
当選発表日4月17日(木)
購入申込期間4月18日(金)~4月23日(水)
上場日4月25日(金)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
3303314142434445
46474849410411412
413414415416417418419
420421422423424425426
427428429430515253

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

star_half
Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 エレベーターなどの保守事業等に特段の新規性はなく、さらに札幌アンビシャスというマイナー市場への上場となるため、注目度は低いです。直近で、売上は緩やかに上昇傾向で、利益も確保できており、収益の安定度は高いです。

▌需給・価格評価

 IPOとしては超小型案件で、株主には安定株主しかおらず、需給に大きな不安はありませんが、マイナー市場への上場のため、初値の上昇は難しいといえます。想定価格でPER21.5倍(前期ベース)は業種平均27.7倍(サービス・グロース)と比較してやや割安な水準です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 7.5 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段はサービス業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段はサービス業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段はサービス業(グロース)の単純PER(25.2末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段はサービス業(グロース)の単純PBR(25.2末時点)。
1.9 億円18.171.821.59.3
サービス業9.99.927.72.6
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格1,600円から+400円(+25.0%)高い2,000円と予想します。なお、AI予測値は2,832円となっており、これより低い弱気の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
2,000円(3/25予想)
+400円 / +25.0%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。1,600円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(3/25計算)

AI予測2,832円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+25.0+77.0+46.0+175.8
(想定価格比)(想定価格比)サービス業超小型

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では17年3月に上場したジャパンエレベーターサービスホールディングス(6544)の初値騰落率は+61.8%でした。

 今回のIPOと同じサービス業(その他)関連に分類されるIPOは2007年以降164件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は75.6%、初値騰落率の平均は+46.0%(中央値+26.7%)となっています。

 また、今回と同じ超小型のIPOは2016年以降97件で、勝率は90.7%、初値騰落率の平均は+175.8%(中央値+135.5%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
Jエレベータ+61.8%17.713.3%50.8%

▌サービス業(その他)のIPO実績
(サービス業のうち他に分類されない企業など)

サービス業勝率平均騰落率
164
(2007年以降)
75.6
(124件 / 164件)
+46.0
(Me:+26.7 %)

(2025/3/25 現在)

サービス業(その他)の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
9388 パパネッツ2025/3/21+18.6
324A ブッキングR2025/2/21+25.0
300A MIC2024/12/25±0.0
291A リスキル2024/12/17+29.8
288A ラクサス2024/12/13+51.6

サービス業のIPO騰落率分布

▌超小型のIPO実績
(超小型:供給額5億円未満のIPO)

超小型勝率平均騰落率
97
(2016年以降)
90.7
(88件 / 97件)
+175.8
(Me:+135.5 %)

(2025/3/25 現在)

超小型の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
9388 パパネッツ2025/3/21+18.6
7790 バルコス2025/2/3+0.1
5241 日本オーエー2024/12/23+9.1
304A フォルシア2024/12/26+108.0
7118 伸和HD2024/10/21-7.3

超小型のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















アーカイブ