オリオンビール(409A)のIPO情報と初値予想

 オリオンビール(409A)の東証プライムへの新規上場が承認されました。ここでは、オリオンビールのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『酒類清涼飲料の製造・販売及びホテル等の運営』となっています。

会社名オリオンビール(409A)
所在地沖縄県豊見城市字豊崎1番地411
設立日1957年5月18日
従業員数414人
業種食料品

【企業サイト】
オリオンビール公式サイト
https://www.orionbeer.co.jp/

事業解説
 1960年に誕生した「オリオン・ザ・ドラフト」は、沖縄県民・観光客から愛され、高い認知度を有するビールブランドで、オリオンブランドのビールは沖縄県内において高いシェアを誇っています。また、観光・ホテル事業では、オリオンホテルモトブリゾート&スパ、ホテルルートイン名護及び商業施設である豊崎ライフスタイルセンターTOMITONなどを運営しています。
オリオンビールの事業説明
(画像:オリオンビールHP

沿革 

オリオンビールのトップメッセージ

代表取締役社長兼執行役員社長 CEO 村野 一

 創業者である具志堅宗精翁は郷土の産業を興したいという強い想いでオリオンビール株式会社を立ち上げました。その想いをこれからも継承し、沖縄の皆さまとの「共存共栄」を果たすべく、強靭であたたかなオリオングループを築いてまいります。

(引用:オリオンビールHP
1957年5月
当社の前身である沖縄ビール㈱を設立(資本金42万ドル)
1958年11月
名護工場完成
1959年6月
沖縄ビール㈱の商号をオリオンビール㈱へ変更
1962年8月
第1回レディに贈るオリオンビールの夕べを開催(1967年以降「オリオンビアフェスト」に改称)
1966年3月
台湾向け初輸出
1972年11月
㈱ホテル西武オリオン(2006年4月に㈱ホテルロイヤルオリオンに商号変更)を設立
1975年6月
㈱ホテル西武オリオンがホテル西武オリオン(2006年4月にホテルロイヤルオリオン、2023年11月にオリオンホテル那覇に名称変更)を開業
1976年6月
米国向け初輸出
1990年7月
首都圏販売開始
2001年7月
株式取得により㈱ホテル西武オリオンを完全子会社化(2006年4月に㈱ホテルロイヤルオリオンに商号変更 資本金250百万円 ホテル所有・運営)
2002年4月
アサヒビール㈱と包括的業務提携覚書締結
2002年11月
アサヒオリオン ザ・ドラフトを全国展開
2002年12月
オリオン嵐山ゴルフ倶楽部㈱を設立(2023年6月にオリオン嵐山㈱に商号変更 設立資本金200百万円ゴルフ場運営)
2003年5月
沖縄県におけるアサヒブランドのライセンス生産並びにアサヒビール商品の販売開始
2005年7月
生ビールサーバー等機器設置・洗浄・修理等を行うオリオンサポート㈱を設立(資本金30百万円)
2007年8月
株式取得により㈱石川酒造場を子会社化
2011年5月
工場見学施設 オリオンハッピーパークを開業
2013年11月
㈱ホテルオリオンモトブを設立(2023年12月にオリオンホテル㈱に商号変更)
2014年4月
賃貸不動産として豊崎ライフスタイルセンターTOMITON(商業施設)を取得
2014年7月
ホテルオリオンモトブリゾート&スパ(2024年4月にオリオンホテルモトブリゾート&スパに名称変更)を開業
2017年4月
オリオン沖映合同会社(資本金10百万円 JR九州ホテルブラッサム那覇を所有)を設立
2018年10月
㈱ジャパンエンターテイメントへ出資(当社は沖縄県北部でのテーマパーク開業を計画)
2019年3月
オーシャン・ホールディングス㈱の子会社となる
2020年4月
当社を存続会社、オリオンサポート㈱を消滅会社とする吸収合併を実施
2020年5月
本社を沖縄県浦添市から沖縄県豊見城市へ移転(当社所有不動産 豊崎ライフスタイルセンターTOMITONへ)
2020年7月
自社ECサイトを開設
2022年3月
オリオン嵐山㈱のゴルフ場を閉鎖しテーマパーク用土地として賃貸
2022年9月
㈱石川酒造場の株式を追加取得し完全子会社化(資本金 33.5百万円 酒類清涼飲料の製造販売)
2022年12月
当社を存続会社、オーシャン・ホールディングス㈱を消滅会社とする吸収合併 当社を存続会社、オーシャン・ウェーブズ・ホールディングス㈱を消滅会社とする吸収合併 当社を存続会社、㈱幸商事を消滅会社とする吸収合併
2023年2月
資本金378.2百万円に増資(従業員持株会への第三者割当増資)
2023年11月
オリオンホテル那覇リニューアルオープン
2023年12月
当社を存続会社、㈱ホテルロイヤルオリオン及びオリオン嵐山㈱を消滅会社とする吸収合併を実施
2024年3月
糸満観光農園内酒造施設で製造されたワインの販売開始
2024年4月
オリオンホテルモトブリゾート&スパリニューアルオープン
2024年6月
流通・ホテル等の販売チャネルを通じた協働等を目的に、近鉄グループホールディングス㈱と資本業務提携に合意
2024年6月
流通・ホテル等の販売チャネルを通じた協働等を目的に、近鉄グループホールディングス㈱と資本業務提携に合意
2025年5月
オリオンホテル那覇の土地・建物を譲渡

財務データ 

 2025年3月期の事業売上は289億円で、構成比はセグメント別に、酒類清涼飲料78.5%観光・ホテル21.1%となっています。

 前期(25.3)は沖縄県への入域観光客数が前年度比16.6%増となったことで、酒類清涼飲料事業、観光・ホテル事業共に売上高が増加し、前期比で売上は11%増最終は73億円で着地しました。

 今期(26.3)は主力のオリオン・ザ・ドラフトを中心にWATTAやnaturaなどのリニューアルに伴う積極的な拡販で売上増を見込む一方で、今期中のオリオンホテル那覇の譲渡を計画しており、売上は4%増最終は33億円を見込んでいます。1株利益は81.01円配当は40円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2021/32022/32023/32024/32025/3
売上高196166218260289
経常益76272834
最終益118664673
純資産577578157250190
総資産642641439551509
※単位は億円、24.3から連結決算

▌セグメント別の売上内訳(2025.3)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している食料品128社の中央値と比較すると、収益力は自己資本利益率 が38.4%など、かなり高い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、固定比率が172.4%となっており、やや厳しい状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 509 億円売上高 289 億円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 12.1(μ:3.9 Me:3.3
総資本営業利益率 = 6.8(μ:4.1 Me:3.8
自己資本利益率 = 38.4(μ:4.5 Me:5
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 152.2(μ:213.1 Me:164.2
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 172.4(μ:98.8 Me:88.3
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 37.3(μ:56.1 Me:55.7
成長性指標
売上高成長率 = 11.2(μ:5 Me:4.4

※カッコ内の数値は食料品(128社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は44,702千株で、株式保有割合は、ベンチャーキャピタル(VC)70.9%その他25.5%経営陣3.6%となっています。

 VCが一定割合の株式を保有しているため、初値や上場後の株価形成に際し、ロックアップから外れた段階で売り圧力が強まるリスクがあります。また、主要株主にロックアップが厳しめに入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
野村キャピタル・パートナーズ第一号LPS36.16%180日
CJP MC Holdings, L.P.34.75%180日
アサヒビール㈱9.23%180日
近鉄グループホールディングス㈱9.21%180日
村野 一(社長)1.08%180日
Patric Dougan0.98%180日
オリオンビール従業員持株会0.77%180日
嘉手苅 義男0.63%180日
吹田 龍平太0.52%180日
亀田 浩0.41%180日
上記以外6.26%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 44,702千株(2025年8月21日現在)

?

3.625.570.9
1,607.5 千株– 千株11,396.7 千株31,697.6 千株
※新株予約権による潜在株式(3,888.4千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 今回のIPOでは募集株式の全てが売出し株式で、主にベンチャーキャピタル(VC)の株式放出によるものです。初値形成にはかなりネガティブといえます。

 上場する株式の時価総額は314.3億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の48.5%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は191.9億円で、IPOとしては中大型以上の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。0 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。0 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。24,923,200 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。21,672,400 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。3,250,800 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。24,923,200 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
314.3 億円 億円53.10
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

3.625.522.448.5
※新株予約権による潜在株式(3,888.4千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOでは野村證券が主幹事となっており、割当株数の8%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

 また、幹事証券になる楽天松井も割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
野村證券(主幹事)-%-株
みずほ証券-%-株
SMBC日興証券-%-株
楽天証券-%-株
SBI証券-%-株
松井証券-%-株
合計100%-株

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

8%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
13%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日8月21日(木)
抽選申込期間9月9日(火)~9月12日(金)
当選発表日9月16日(火)
購入申込期間9月17日(水)~9月22日(月)
上場日9月25日(木)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
831919293949596
979899910911912913
914915916917918919920
921922923924925926927
928929930101102103104

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

star_half
Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 ビールの製造・販売事業に特段の新規性はなく、注目度はさほど高くはありません。コロナ以降の沖縄に向かう観光客数の回復に伴い、ここ数年売上は緩やかに増加しており、利益も安定的に確保していることから、事業の安定度は高いといえます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては大型案件で、株主の大半がVCが占めており、また、募集株式の全てが同VCの売出しとなることから、需給は緩めになることが予想されます。今期利益予想によるPERは9.5倍と業種平均19.1倍(食料品・プライム)と比較して割安で、配当利回りは5.2%とかなり魅力的です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 7.5 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は食料品(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は食料品(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は食料品(プライム)の単純PER(25.7末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は食料品(プライム)の単純PBR(25.7末時点)。
191.9 億円11.238.44.31.7
食料品4.45.019.11.2
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格770円から+330円(+42.9%)高い1,100円と予想します。なお、AI予測値は1,037円となっており、これと同程度の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
1,100円(8/22予想)
+330円 / +42.9%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。770円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(8/22計算)

AI予測1,037円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+42.9+34.7+26.4+15.2
(想定価格比)(想定価格比)食品中大型以上

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では21年12月に上場したライフドリンクカンパニー(2585)の初値騰落率は-7.0%でした。

 今回のIPOと同じ食品業関連に分類されるIPOは2007年以降20件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は65.0%、初値騰落率の平均は+26.4%(中央値+7.2%)となっています。

 また、今回と同じ中大型以上のIPOは2016年以降163件で、勝率は53.4%、初値騰落率の平均は+15.2%(中央値+1.5%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
Lドリンク-7.0%62.916.7%69.0%
サントリBF+0.6%4757.611.1%11.4%

▌食品業のIPO実績
(食料品や水産・農林業など)

食品勝率平均騰落率
20
(2007年以降)
65.0
(13件 / 20件)
+26.4
(Me:+7.2 %)

(2025/8/22 現在)

食品業の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
250A シマダヤ2024/10/1-6.4
2938 オカムラ食品工業2023/9/27+52.6
2937 サンクゼール2022/12/21+22.3
2936 ベースフード2022/11/15+38.8
2585 Lドリンク2021/12/21-7.0

食品のIPO騰落率分布

▌中大型以上のIPO実績
(中大型以上:供給額50億円以上のIPO)

中大型以上勝率平均騰落率
163
(2016年以降)
53.4
(87件 / 163件)
+15.2
(Me:+1.5 %)

(2025/8/22 現在)

中大型以上の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
402A アクセルスペース2025/8/13+100.3
368A 北里コーポ2025/6/25+49.3
367A プリモGHD2025/6/24-6.4
350A デジタルグリッド2025/4/22+17.5
339A プログレス2025/3/28+1.5

中大型以上のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















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