スタートライン(477A)のIPO情報と初値予想

 スタートライン(477A)東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、スタートラインのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『障害者の雇用支援及び就業支援事業』となっています。

会社名スタートライン(477A)
所在地東京都三鷹市上連雀一丁目12番17号
設立日2009年12月15日
従業員数419人
業種サービス業

【企業サイト】
スタートライン公式サイト
https://start-line.jp/

事業解説
 「障害者」の「働く」に焦点を当て、科学的根拠のある「支援力」をベースに、コーヒー焙煎や植物栽培業務など、障害者雇用・就労における、様々な選択肢(サービス)を提供しています。屋内農園型障害者雇用支援サービス『IBUKI』では、企業に雇用された障害者がハーブや葉物野菜などの栽培品種の選定や育成に従事し、栽培した作物は、企業の営業活動や採用活動のノベルティや福利厚生として社員に振舞われたりして活用されます。
スタートラインの事業説明
(画像:スタートラインHP

沿革 

スタートラインのトップメッセージ

代表取締役社長 西村 賢治

 近年、大手をはじめ多くの企業が障害者雇用にチャレンジしています。企業と障害者双方の課題と向き合い、適切なアプローチを行うことで、お互いの歩み寄りをサポートすることができれば、日本の障害者雇用は大きく前進していくはず。私たちスタートラインはその原動力になりたい、そう考えています。

(引用:スタートラインHP
2009年12月
障害者雇用における通勤の課題を解決すべく、㈱スタートライン設立(資本金15万円 本店神奈川県横浜市神奈川区)
2009年12月
サテライトオフィスを活用した障害者雇用支援サービスを開始し、「障害者向けサテライトオフィスサービス(現 INCLU)」の第1号店である八王子センターを東京都八王子市に開設
2010年4月
本店所在地を神奈川県横浜市神奈川区から、東京都八王子市へ移転
2013年12月
資本金を3,000万円に増資
2014年4月
研究開発機関として障がい者雇用研究室(現 CBSヒューマンサポート研究所)を発足
2015年5月
労働者派遣事業許可証(派13-305964)取得
2017年8月
屋内農園を活用した障害者雇用支援サービス「屋内農園型障害者雇用支援サービスIBUKI」を開始し、第1号店であるIBUKI YOKOHAMA FARMを神奈川県横浜市鶴見区に開設
2017年10月
有料職業紹介事業許可証(13-ユ-306718(本社・関西事業所))取得
2018年2月
一般社団法人日本テレワーク協会主催の「第18回テレワーク推進賞」において、「障害者向けサテライトオフィスサービス(現 INCLU)」が優秀賞を受賞
2018年11月
本店所在地を東京都八王子市から、東京都三鷹市へ移転
2018年11月
「企業向けカスタマイズ研修サービス」を開始
2019年3月
資本金を1億円に増資
2019年7月
プライバシーマーク取得
2019年10月
営業エリアの拡大のため、大阪府大阪市北区に関西事業所開設
2020年10月
古物商許可証(三鷹20-056114)取得
2021年2月
障害者雇用支援の実績・ノウハウをもとに、障害者福祉事業である就労移行支援事業に参入1拠点目となる「るりはり渋谷(現 FITIME 渋谷)」を東京都渋谷区にてサービス開始
2021年4月
資本金を1億2,316万円(資本準備金2,316万円)に増資
2021年5月
㈱プラネットと合弁会社、㈱スタートライン・プラネットを設立
2022年3月
資本金を2億766万円(資本準備金1億766万円)に増資
2022年4月
「ロースタリー型障害者雇用支援サービスBYSN」を開始
2023年1月
「認知能力改善支援システム」の特許取得(特許番号:第7219377号)
2023年6月
「情報処理システム、情報処理システムの制御方法、及びプログラム並びに記録媒体」の特許取得(特許番号:第7295363号)
2023年9月
「障害者雇用支援サービス サポート付きサテライトオフィスINCLU ONE」の開始
2023年12月
資本金を2億9,996万円(資本準備金1億9,996万円)に増資
2024年3月
㈱スタートライン・プラネットの株式追加取得に伴い100%連結子会社化
2024年6月
「障害者雇用支援サービスTASKI COFFEE」を開始
2025年1月
100%連結子会社である㈱スタートライン・プラネットを吸収合併
2025年1月
就労移行支援「るりはり」を「FITIME」にサービス名称変更
2025年1月
障害者福祉事業である就労定着支援事業を開始
2025年4月
㈱WOWOWコミュニケーションズと、応対品質向上型障害者雇用支援サービス「RESQWO」を共同開発し、サービス開始
2025年5月
障害福祉サービスの1つである就労継続支援B型事業「GOOD THE GOOD」における指定通知書(福障障政第502号)取得

財務データ 

 2025年3月期の事業売上は4,471百万円で、構成比はセグメント別に、障害者雇用支援99.3%その他0.7%となっています。

 前期(25.3)は新サービス「TASKI COFFEE」や就労移行支援「FITIME」は売上計画を下回ったものの、障害者雇用支援サービス事業の既存サービスは堅調に推移し、前期比で売上は24%増最終は144百万円で着地しました。

 今期(26.3)は新たに障害者雇用支援サービス事業で7拠点、障害者福祉事業で1拠点を新規出店する予定で、売上は26%増最終は184百万円を見込んでいます。1株利益は63.53円配当は0円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2021/32022/32023/32024/32025/3
売上高2,1932,5543,2273,6064,471
経常益113△12214780229
最終益63△2198233144
純資産288284367589733
総資産2,5113,2853,9154,8185,637
※単位は百万円、単体決算

▌セグメント別の売上内訳(2025.3)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場しているサービス業543社の中央値と比較すると、収益力は自己資本利益率 が19.6%など、やや高い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、固定比率が489%となっており、かなり厳しい状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 5,637 百万円売上高 4,471 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 5.9(μ:6.6 Me:6.3
総資本営業利益率 = 4.7(μ:6.1 Me:6.4
自己資本利益率 = 19.6(μ:2.9 Me:9.6
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 100.4(μ:269.6 Me:201
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 489(μ:104.6 Me:62.6
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 13(μ:52.4 Me:51.7
成長性指標
売上高成長率 = 24(μ:11.2 Me:8

※カッコ内の数値はサービス業(543社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は2,791千株で、株式保有割合は、経営陣89.7%その他10.3%となっています。

 株式保有は安定株主が占めているため、初値や上場後の株価形成に際し、大きな懸念はありません。また、主要株主にロックアップが厳しめに入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
㈱ストーン40.60%180日
㈱ウエスト15.30%180日
西村賢治(社長)10.00%180日
長谷川新里10.00%180日
白木孝一10.00%180日
井上剛2.80%180日
ディーエムソリューションズ㈱1.80%180日
みずほリース㈱1.10%180日
㈱WOWOWコミュニケーションズ1.10%180日
石川敬啓1.10%180日
上記以外6.20%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 2,791千株(2025年11月19日現在)

?

89.710.3
2,504.3 千株– 千株286.5 千株– 千株
※新株予約権による潜在株式(278.8千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は95.9%と高く、公募株式は、主に新規発行になります。初値形成にはややポジティブといえます。売出し分は、主に経営陣の株式放出によるものです。

 上場する株式の時価総額は17.2億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の34.8%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は7.4億円で、IPOとしては小型の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。1,400,000 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。1,400,000 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。279,000 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。60,000 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。219,000 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。1,679,000 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
17.2 億円6.2 億円37.395.9
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

58.36.834.8
※新株予約権による潜在株式(278.8千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOではみずほ証券が主幹事となっており、割当株数の8%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

 また、幹事証券になる楽天松井も割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
みずほ証券(主幹事)-%-株
SBI証券-%-株
SMBC日興証券-%-株
楽天証券-%-株
極東証券-%-株
松井証券-%-株
岩井コスモ証券-%-株
東海東京証券-%-株
丸三証券-%-株
水戸証券-%-株
合計100%-株

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

8%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
13%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
66%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日11月19日(水)
抽選申込期間12月5日(金)~12月11日(木)
当選発表日12月12日(金)
購入申込期間12月15日(月)~12月18日(木)
上場日12月22日(月)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
1123112411251126112711281129
1130121122123124125126
1271281291210121112121213
1214121512161217121812191220
1221122212231224122512261227

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

star_half
Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 障害者の雇用/就業支援事業に特段の新規性はないものの、近年、特に大企業を中心に障害者雇用に積極的に取り組む傾向が強くなっており、また、2026年には民間企業の法定雇用率が現在の2.5%から2.7%に引き上げられるため、事業としての注目度は比較的高いといえます。ここ数年は拠点数を増やすことで着実に事業を拡大しており、利益も安定的に確保していることから、成長性及び収益性は十分に評価できます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては小型案件で、株主には安定株主しかおらず、想定価格も低めの設定のため、初値上昇が期待できます。今期利益予想によるPERは6.9倍と業種平均30.9倍(サービス・グロース)と比較してかなり割安な水準です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは一定程度の初値上昇が期待できるため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 9.0 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段はサービス業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段はサービス業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段はサービス業(グロース)の単純PER(25.10末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段はサービス業(グロース)の単純PBR(25.10末時点)。
7.4 億円24.019.641.91.5
サービス業8.09.630.92.6
※実績値で計算、下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
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初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格440円から+260円(+59.1%)高い700円と予想します。なお、AI予測値は692円となっており、これと同程度の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
700円(11/20予想)
+260円 / +59.1%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。440円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(11/20計算)

AI予測692円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+59.1+57.3+49.0+123.0
(想定価格比)(想定価格比)福祉小型

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では24年3月に上場したJSH(150A)の初値騰落率は+95.8%でした。

 今回のIPOと同じ福祉事業関連に分類されるIPOは2007年以降33件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は81.8%、初値騰落率の平均は+49.0%(中央値+31.3%)となっています。

 また、今回と同じ小型のIPOは2016年以降197件で、勝率は94.9%、初値騰落率の平均は+123.0%(中央値+113.2%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
JSH+95.8%3.727.4%14.1%
ココルポート+31.3%33.325.6%42.4%
ウェルビー+28.1%56.761.0%63.8%

▌福祉事業のIPO実績
(介護・保育・障がい者支援などの福祉事業)

福祉勝率平均騰落率
33
(2007年以降)
81.8
(27件 / 33件)
+49.0
(Me:+31.3 %)

(2025/11/20 現在)

福祉事業の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
286A ユカリア2024/12/12-8.0
160A アズパートナーズ2024/4/4+52.2
150A JSH2024/3/26+95.8
9237 笑美面2023/10/26+45.2
7075 QLSホールディングス2023/6/26+23.1

福祉のIPO騰落率分布

▌小型のIPO実績
(小型:供給額5~10億円未満のIPO)

小型勝率平均騰落率
197
(2016年以降)
94.9
(187件 / 197件)
+123.0
(Me:+113.2 %)

(2025/11/20 現在)

小型の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
334A VPJ2025/3/25+112.6
335A ミライロ2025/3/24+144.8
323A フライヤー2025/2/20+73.2
303A visumo2024/12/26+34.5
269A Sapeet2024/10/29+52.3

小型のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















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