アクセルスペースホールディングス(402A)のIPO情報と初値予想

 アクセルスペースホールディングス(402A)の東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、アクセルスペースホールディングスのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『小型衛星の設計・製造・打上・運用サービス(AxelLiner事業)及び光学衛星画像の販売及び衛星画像を用いたソリューションサービスの提供(AxelGlobe事業)』となっています。

会社名アクセルスペースホールディングス(402A)
所在地東京都中央区日本橋本町三丁目3番3号
設立日2020年3月2日
従業員数182人
業種輸送用機器
事業解説
 AxelLiner事業では、主に政府系機関向けに小型衛星プロジェクトの開発・製造・打上げ・運用を提供しており、これまでに11機の小型衛星を製造しています。AxelGlobe事業では、衛星にて撮影した画像データを販売及び衛星画像を使ったサービスを提供しており、現在5機の「GRUS-1」により顧客が求める世界中の地点の衛星データを高頻度かつ安価に提供することを強みとしています。また、26年には次世代地球観測衛星「GRUS-3」7機が打ち上げ予定です。

沿革 

アクセルスペースホールディングスのトップメッセージ

代表取締役 中村 友哉

 東京大学・東京工業大学発の小型衛星ベンチャーとしてスタートしたアクセルスペースは、2023年夏に創業15周年を迎えることができました。現在、5機の光学地球観測衛星で日々世界の様子を捉え、世界30カ国以上で農業や災害監視、報道、環境など、多様な用途での活用が進んでいます。

(引用:アクセルスペースホールディングスHP
2008年8月
小型衛星の活用により多くの人に宇宙が当たり前に使われる社会の実現を目指して、東京都文京区に㈱アクセルスペースを設立
2008年8月
㈱ウェザーニューズと超小型衛星「WNISAT-1」の製作に係る契約締結
2009年5月
千葉県柏市柏の葉に事業所を開設
2011年3月
業務拡大により、東京都千代田区神田小川町に本店及び事業所を移転
2013年11月
㈱ウェザーニューズより受注した北極海航路監視用超小型衛星「WNISAT-1」を打上げ
2014年11月
東京大学主導のプロジェクト(内閣府最先端研究開発支援プログラムに採択)の一環で、ビジネス実証用超小型衛星「ほどよし1号機」を打上げ
2017年4月
業務拡大により、東京都中央区日本橋本町に本店及び事業所を移転
2017年7月
「WNISAT-1」の後続機である超小型衛星「WNISAT-1R」を打上げ
2018年5月
業務拡大により、サテライトオフィスとして東京都中央区日本橋室町に事業所を開設
2018年12月
衛星画像データ等を利活用する地球観測プラットフォームであるAxelGlobe事業に供する自社所有の小型衛星「GRUS初号機(GRUS-1A)」を打上げ
2019年1月
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」という。)より受注した小型実証衛星「RAPIS-1」を打上げ
2019年5月
自社衛星にて撮影した画像データを販売及び衛星画像を使ったサービスを提供するAxelGlobe事業を開始
2020年3月
㈱アクセルスペースから単独株式移転の方式により、純粋持株会社として当社を設立
2021年3月
㈱アクセルスペースにてAxelGlobe事業に供する「GRUS-1B, C, D, E」の打上げに成功、運用を開始
2021年6月
㈱アクセルスペースのAxelGlobe事業にて、「GRUS-1A~E」の5機体制でのサービスを開始
2022年4月
㈱アクセルスペースにて顧客向け小型衛星プロジェクトの設計・製造・打上げ・運用をワンストップで提供するサービスとしてAxelLiner事業を再定義し、発表
2022年5月
ロシアによるウクライナ侵略を踏まえ、「GRUS-1F, G, H, J」の打上げ中止に関する取締役会決議を実施
2023年3月
㈱アクセルスペースが経済安全保障重要技術育成プログラムの1テーマである「光通信等の衛星コンステレーション基盤技術の開発・実証」に、㈱Space Compass、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。)、日本電気㈱と共に採択
2024年3月
㈱アクセルスペースが開発したAxelLiner実証機「PYXIS」を打上げ
2025年6月
㈱アクセルスペースにて小型衛星「GRUS-3」(2027年5月期打上げ予定)の性能検証機である「GRUS-3α」を打上げ

財務データ 

 2025年5月期の事業売上は1,586百万円で、構成比はセグメント別に、AxelLiner83.6%AxelGlobe16.4%となっています。

 前期(25.5)はAxelLiner事業において政府系機関からの委託試験研究が進捗した一方で、27.5に打上げ予定の中分解能衛星「GRUS-3」の研究開発費を計上したことで、前期比で売上は△25%減最終は△3879百万円で着地しました。

 今期(26.5)はAxelGlobe事業で国内外でのサービス利用拡大に加え、安全保障に関する政府案件の獲得を目指し、売上は130%増最終は△3,879百万円を見込んでいます。1株利益は-69.8円配当は0円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2021/52022/52023/52024/52025/5
売上高1814111,3142,1111,586
経常益2△1094△1330△2510△3876
最終益1△1677△1342△3174△3879
純資産5,2762,3261,9104,9773,912
総資産5,3933,3432,8737,3535,871
※単位は百万円、22.5から連結決算

▌セグメント別の売上内訳(2025.5)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している輸送用機器87社と比較すると、まず、収益力については赤字決算のため、現状では比較することができません。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、流動比率が400.5%となっており、かなり良好な状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 5,871 百万円売上高 1,586 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = -120.3(μ:-9.2 Me:3
総資本営業利益率 = -34.5(μ:1.3 Me:2.7
自己資本利益率 = -99.2(μ:7.7 Me:4.8
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 400.5(μ:193.1 Me:166.4
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 0.7(μ:98.7 Me:90.2
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 67.7(μ:46.8 Me:45.3
成長性指標
売上高成長率 = -24.9(μ:10.2 Me:10.6

※カッコ内の数値は輸送用機器(87社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は48,786千株で、株式保有割合は、ベンチャーキャピタル(VC)52.6%その他36.7%経営陣10.7%となっています。

 VCが一定割合の株式を保有しているため、初値や上場後の株価形成に際し、ロックアップから外れた段階で売り圧力が強まるリスクがあります。また、主要株主にロックアップが入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースⅠ合同会社12.17%90日/1.5倍
SMBC-GBグロース1号LPS10.28%継続保有
中村 友哉(社長)7.07%180日
永島 隆5.49%180日
宮下 直己4.63%180日
㈱SMBC信託銀行(特定運用金外信託口 宇宙フロンティアファンド)4.50%90日/1.5倍
㈱Space Compass3.93%180日
Kepple Liquidity1号LPS3.47%90日/1.5倍
SBI Ventures Three合同会社3.06%90日/1.5倍
ジャパン・コインベスト3号LPS2.81%90日/1.5倍
上記以外42.59%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 48,786千株(2025年7月10日現在)

?

10.736.752.6
5,230 千株– 千株17,895.6 千株25,660.4 千株
※新株予約権による潜在株式(5,396千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 今回のIPOでは募集株式の全てが公募株式で、主に新規発行になります。初値形成にはかなりポジティブといえます。

 上場する株式の時価総額は202.2億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の23.8%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は57.5億円で、IPOとしては中大型以上の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。15,211,100 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。15,211,100 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。1,455,600 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。0 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。1,455,600 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。16,666,700 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
202.2 億円52.5 億円26100
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

8.228.040.123.8
※新株予約権による潜在株式(5,396千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOではSMBC日興証券が主幹事となっており、割当株数の10%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
SMBC日興証券(主幹事)-%-株
大和証券-%-株
SBI証券-%-株
みずほ証券-%-株
東海東京証券-%-株
極東証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
CONNECT大和-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

10%
個人-本
抽選
裁量
18%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
66%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日7月10日(木)
抽選申込期間7月28日(月)~8月1日(金)
当選発表日8月4日(月)
購入申込期間8月5日(火)~8月8日(金)
上場日8月13日(水)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
720721722723724725726
7277287297307318182
83848586878889
810811812813814815816
817818819820821822823

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

star_half
Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 小型衛星開発事業には新規性があり、注目度はかなり高いです。小型衛星に対する官民からの需要は強く、26年には次世代地球観測衛星を打ち上げ予定で、売上は拡大していくことが予想されます。収益力については、現状、赤字が継続しており、黒字転換が大きな課題といえます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては中大型案件で、株主にVCが多く入っているもののロックアップは厳しめで、想定価格もかなり低めに設定されていますので、需給に大きな不安はありません。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは一定程度の初値上昇が期待できるため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 7.5 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は輸送用機器(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は輸送用機器(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は輸送用機器(グロース)の単純PER(25.5末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は輸送用機器(グロース)の単純PBR(25.5末時点)。
57.5 億円-24.9-99.22.1
輸送用機器10.64.817.02.4
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格345円から+305円(+88.4%)高い650円と予想します。なお、AI予測値は740円となっており、これより低い弱気の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
650円(7/14予想)
+305円 / +88.4%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。345円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(7/14計算)

AI予測740円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+88.4+114.5+32.9+14.7
(想定価格比)(想定価格比)製造・機械中大型以上

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では24年12月に上場したSynspective(290A)の初値騰落率は+53.3%でした。

 今回のIPOと同じ製造・機械関連関連に分類されるIPOは2007年以降108件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は63.0%、初値騰落率の平均は+32.9%(中央値+7.2%)となっています。

 また、今回と同じ中大型以上のIPOは2016年以降162件で、勝率は53.1%、初値騰落率の平均は+14.7%(中央値+1.5%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
Syns+53.3%112.7181.7%-19.3%
アストロスケール+50.7%192.497.0%-56.9%
QPS研究所+120.5%39.01,857.9%-21.3%

▌製造・機械関連のIPO実績
(機械、電気機器、その他製品など)

製造・機械勝率平均騰落率
108
(2007年以降)
63.0
(68件 / 108件)
+32.9
(Me:+7.2 %)

(2025/7/14 現在)

製造・機械関連の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
368A 北里コーポ2025/6/25+49.3
7790 バルコス2025/2/3+0.1
285A キオクシアHD2024/12/18-1.0
278A テラドローン2024/11/29-8.0
268A リガク2024/10/25-4.4

製造・機械のIPO騰落率分布

▌中大型以上のIPO実績
(中大型以上:供給額50億円以上のIPO)

中大型以上勝率平均騰落率
162
(2016年以降)
53.1
(86件 / 162件)
+14.7
(Me:+1.5 %)

(2025/7/14 現在)

中大型以上の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
368A 北里コーポ2025/6/25+49.3
367A プリモGHD2025/6/24-6.4
350A デジタルグリッド2025/4/22+17.5
339A プログレス2025/3/28+1.5
336A ダイナミクマップ2025/3/27+27.5

中大型以上のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















IPO 更新中!!
アーカイブ
ページ上部へ戻る