GMOコマース(410A)のIPO情報と初値予想

 GMOコマース(410A)の東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、GMOコマースのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『店舗のCX向上、およびDX推進を支援するマーケティングプラットフォーム等の開発、提供』となっています。

会社名GMOコマース(410A)
所在地東京都渋谷区道玄坂一丁目2番3号
設立日2012年11月22日
従業員数104人
業種サービス業

【企業サイト】
GMOコマース公式サイト
https://www.gmo-c.jp/

事業解説
 GMOマーケティングコネクトは、飲食・小売・エンタメなどのチェーン店を運営する企業が、LINE・Instagramなどの複数チャネルから集まる顧客データを集約した上で、AIが「購入率の高い商品」や「来店可能性の高い顧客」を自動で特定し、購入可能性の高いセグメントへの訴求や、パーソナライズ配信を簡単に実践できます。また、GMOマーケティングコネクトでは、LINE公式アカウントやInstagramなどのアカウント開設から毎日の運用、集客効果の改善まで、ワンストップでサポートします。
GMOコマースの事業説明
(画像:GMOコマースHP

沿革 

GMOコマースのトップメッセージ

代表取締役社長 山名 正人

 当社は、山名正人(現社長)がECと実店舗のマーケティング支援を目的とする会社として2012年11月に設立いたしました。設立直後、ヤフー㈱(当時)と「Yahoo!ショッピング」のストア数拡大を目的とした提携を行い、EC支援事業を開始しました。

(引用:GMOコマースHP
2012年11月
当社設立
2012年12月
ヤフー㈱と「Yahoo!ショッピング」のストア数拡大を目的に提携
2013年10月
ネットショップ本店開店サポートサービス「まるっとサポート!ネットショップ」リリース O2O集客サポートサービス「まるっとサポート! O2O(現GMOマーケティングDX)」リリース
2014年5月
リスティング広告出稿代行サービス「おまかせ!WEB広告」リリース
2014年6月
ヤフー㈱より「katy」「たべにこ店」「たべにこクーポン」事業譲受 オリジナルストアアプリ作成ツール「すごい!ストアアプリ」リリース
2014年10月
LINE㈱と「LINE@」の販売における公式代理店として提携
2015年2月
店舗向けリピート販促サービス「GMOリピーター」をリリース
2016年12月
事業拡大に伴い、宮崎オフィス開設
2019年5月
店舗のInstagram販促を支援する「まるっとサポート!O2O Instagram(現GMOマーケティングDX Instagram)」をリリース
2021年5月
㈱トレタと飲食店DX支援を目的に業務提携
2022年5月
LINEの法人向けサービスの販売・開発のパートナーを認定する「LINE Biz Partner Program」において「Local Sales Partner」では最上位の「Diamond」を受賞
2022年7月
KDDI㈱、Supership㈱と連携し、LINEとSMSの通知を送り分ける「GMO販促メッセージ」をリリース
2024年1月
店舗の顧客対応を進化させる「GMOスタッフコネクト」をリリース
2024年11月
Instagramダイレクトメッセージの一斉配信サービス「GMOまるっと販促DX Instagramダイレクトメッセージ(現GMOマーケティングDX Instagramダイレクトメッセージ)」をリリース
2025年2月
AI搭載の店舗向けCXプラットフォーム「GMOマーケティングコネクト」をリリース

財務データ 

 2024年12月期の事業売上は1,984百万円で、構成比はセグメント別に、CX向上SOL100%となっています。

 前期(24.12)は主要サービスのGMOマーケティングDX LINE公式アカウントが好調に推移し、前期比で売上は12%増最終は218百万円で着地しました。

 今期(25.12)は25年2月にリリースしたGMOマーケティングコネクトが順調に拡大しており、売上は22%増最終は342百万円を見込んでいます。1株利益は85.07円配当は43.05円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2020/122021/122022/122023/122024/12
売上高3,5473,9101,7811,7661,984
経常益320179167220351
最終益168108213143218
純資産518526410402548
総資産1,6391,4501,3081,5621,862
※単位は百万円、単体決算

▌セグメント別の売上内訳(2024.12)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場しているサービス業548社の中央値と比較すると、収益力は自己資本利益率 が39.8%など、かなり高い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、流動比率が126%となっており、やや厳しい状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 1,862 百万円売上高 1,984 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 17.6(μ:6.7 Me:6.7
総資本営業利益率 = 18.7(μ:7 Me:7.4
自己資本利益率 = 39.8(μ:1.3 Me:9.9
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 126(μ:266.4 Me:204.8
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 46.8(μ:119.6 Me:61.8
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 29.4(μ:51.6 Me:51.4
成長性指標
売上高成長率 = 12.3(μ:14.3 Me:9.9

※カッコ内の数値はサービス業(548社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は3,923千株で、株式保有割合は、関係会社91.7%経営陣5.6%その他2.7%となっています。

 株式保有は安定株主が占めているため、初値や上場後の株価形成に際し、大きな懸念はありません。また、主要株主にロックアップが厳しめに入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
GMOインターネットグループ㈱91.67%180日
山名 正人(社長)4.07%継続保有
伊勢 主税1.53%継続保有
従業員0.34%継続保有
従業員0.25%継続保有
従業員0.25%継続保有
従業員0.25%継続保有
従業員0.20%継続保有
従業員0.17%継続保有
従業員0.14%継続保有
上記以外1.13%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 3,923千株(2025年8月21日現在)

?

5.691.72.7
219.8 千株3,596.4 千株107.2 千株– 千株
※新株予約権による潜在株式(327千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 今回のIPOでは募集株式の全てが公募株式で、主に新規発行になります。初値形成にはかなりポジティブといえます。

 上場する株式の時価総額は59.9億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の28.6%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は20.9億円で、IPOとしては中型の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。1,568,400 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。1,568,400 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。235,200 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。0 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。235,200 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。1,803,600 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
59.9 億円18.2 億円30.4100
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

4.065.52.028.6
※新株予約権による潜在株式(327千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOでは大和証券が主幹事となっており、割当株数の14%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
大和証券(主幹事)-%-株
SMBC日興証券-%-株
野村證券-%-株
みずほ証券-%-株
三菱UFJMS証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
CONNECT大和-株
auカブコム証券三菱-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

14%
個人-本
抽選
裁量
13%
個人-本
抽選
裁量
9%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
9%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日8月21日(木)
抽選申込期間9月8日(月)~9月12日(金)
当選発表日9月16日(火)
購入申込期間9月17日(水)~9月22日(月)
上場日9月25日(木)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
831919293949596
979899910911912913
914915916917918919920
921922923924925926927
928929930101102103104

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

star_half
Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 マーケティングプラットフォーム関連のIPOは人気が集まりやすく、注目度は比較的高いといえます。ここ数年で売上・利益ともに着実に伸びており、成長性と収益性は評価できます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては中型案件で、親会社(GMOインターネットグループ)が株式の大半を保有しており、ロックアップも厳しめに設定されているため、需給に不安はありません。また、公募比率が高いのはプラス材料です。今期利益予想によるPERは13.6倍と業種平均29.8倍(サービス・グロース)と比較して割安で、配当利回りは3.7%とかなり魅力的です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは一定程度の初値上昇が期待できるため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 8.5 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段はサービス業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段はサービス業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段はサービス業(グロース)の単純PER(25.7末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段はサービス業(グロース)の単純PBR(25.7末時点)。
20.9 億円12.339.827.42.5
サービス業9.99.929.82.7
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格1,160円から+840円(+72.4%)高い2,000円と予想します。なお、AI予測値は2,436円となっており、これより低い弱気の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
2,000円(8/22予想)
+840円 / +72.4%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。1,160円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(8/22計算)

AI予測2,436円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+72.4+110.0+147.1+33.3
(想定価格比)(想定価格比)シスPF中型

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では25年3月に上場したミーク(332A)の初値騰落率は+5.6%でした。

 今回のIPOと同じシステムPF関連に分類されるIPOは2007年以降51件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は90.2%、初値騰落率の平均は+147.1%(中央値+125.6%)となっています。

 また、今回と同じ中型のIPOは2016年以降180件で、勝率は77.2%、初値騰落率の平均は+33.3%(中央値+18.7%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
ミーク+5.6%27.8-10.0%17.4%
TalentX+36.8%14.746.2%44.3%
ポストプライム0.0%15.222.2%30.7%

▌システムPFのIPO実績
(EC・決済などを行うプラットフォーム運営)

シスPF勝率平均騰落率
51
(2007年以降)
90.2
(46件 / 51件)
+147.1
(Me:+125.6 %)

(2025/8/22 現在)

システムPFの直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
332A ミーク2025/3/21+5.6
330A TalentX2025/3/18+36.8
198A ポストプライム2024/6/20±0.0
149A シンカ2024/3/27+26.6
147A ソラコム2024/3/26+79.7

シスPFのIPO騰落率分布

▌中型のIPO実績
(中型:供給額20~50億円未満のIPO)

中型勝率平均騰落率
180
(2016年以降)
77.2
(139件 / 180件)
+33.3
(Me:+18.7 %)

(2025/8/22 現在)

中型の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
378A ヒット2025/7/4+44.4
373A リップス2025/6/30+2.2
372A レント2025/6/30+32.3
369A エータイ2025/6/26+68.7
366A ウェルネスC2025/6/23+33.1

中型のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















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