ヒット(378A)のIPO情報と初値予想

 ヒット(378A)の東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、ヒットのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『屋外広告媒体の企画、運営および屋外広告を中心とした広告全般の取扱いに係る事業』となっています。

会社名ヒット(378A)
所在地東京都中央区銀座六丁目17番1号
設立日1991年2月8日
従業員数91人
業種サービス業

【企業サイト】
ヒット公式サイト
https://www.hit-ad.co.jp/

事業解説
 主に不動産オーナーから賃借した屋上や壁面に、広告用のデジタルサイネージやアナログ看板を設置する形で、繁華街やロードサイドに屋外広告媒体を保有し、保有媒体に広告主の広告掲出を行う形で事業を展開しています。保有する自社の屋外広告媒体は計61媒体139面(25.4)で、これらはデジタル媒体とアナログ媒体、繁華街媒体とロードサイド媒体に分類できます。
ヒットの事業説明
(画像:ヒットHP

沿革 

ヒットのトップメッセージ

代表取締役社長 深井 英樹

 世界経済やテクノロジー、メディアを取り巻く環境が激変する中で、今後さらなる進化を続けていく屋外広告。私たちは、そんな屋外広告の力で世界を変えるべく、新たな取組みに挑戦し続ける “屋外広告のリーディングカンパニー”です。

(引用:ヒットHP
1991年2月
東京都豊島区池袋にて、㈱ヒットコーポレーションとして設立(資本金1,000,000円)。
1992年3月
本社を東京都豊島区池袋から千葉県船橋市本中山に移転。
1992年5月
資本金4,000,000円に増資。
1993年11月
本社を千葉県船橋市本中山から東京都中央区銀座一丁目に移転。
1995年2月
㈲エッチ・アイ・ティの株式を100%取得し完全子会社化。
1995年3月
資本金10,000,000円に増資。
1996年10月
本社を東京都中央区銀座一丁目から東京都中央区銀座三丁目に移転。
1998年8月
㈲オフィス・スターズの株式を100%取得し完全子会社化。
1998年8月
本社を東京都中央区銀座三丁目から東京都中央区銀座七丁目に移転。
2001年7月
首都高速セットボードの販売を開始。
2003年6月
屋外広告事業の新たな拠点として、アメリカ合衆国ニューヨーク市に子会社HIT Corp. USA Inc.を設立(2005年1月撤退)。
2006年9月
完全子会社の㈲エッチ・アイ・ティ及び㈲オフィス・スターズを吸収合併。
2006年12月
資本金29,500,000円に増資。
2007年6月
1月決算から現在の6月決算へ決算期変更。
2008年8月
㈱ヒットに社名変更。
2012年10月
首都高速デジタルLEDボードの放映サービスを開始。
2014年6月
シブハチヒットビジョンの放映サービスを開始。
2015年10月
グローバル展開を目的としたグループ再編により、シンガポール現地法人HIT HOLDINGS PTE. LTD.(2021年4月清算結了)の完全子会社となる。
2016年3月
ツタヤエビスバシヒットビジョンの放映サービスを開始。
2018年1月
大阪府大阪市淀川区西中島に大阪支店を設置。
2018年4月
新御堂筋デジタルLEDボードの放映サービスを開始。
2019年2月
位置情報広告サービスHIT-moviのサービス提供を開始。
2019年6月
シンガポールに兄弟会社HIT SINGAPORE PTE. LTD.設立。商業施設のトイレに広告用サイネージを展開するトイレサイネージ事業開始(2022年4月ASEAN広告市場調査会社へ事業転換)。
2020年1月
タイに兄弟会社HIT BANGKOK CO.,LTD.設立。トイレサイネージ事業開始(2022年6月解散及び清算を決議)。
2020年6月
ビジネスの中心が日本であることからグループ再編を実施、HIT HOLDINGS PTE. LTD.の子会社である、HIT SINGAPORE PTE. LTD.及びHIT BANGKOK CO.,LTD.の株式を取得し子会社化。
2021年7月
クリエイティブ制作サービスによる初の“肉眼3D広告”放映を実施。
2021年10月
表参道ヒットビジョン(現OMOSANシンクロ)の放映サービスを開始。
2022年4月
シンクロ7シブヤヒットビジョンの放映サービスを開始。
2023年5月
本社を東京都中央区銀座七丁目から東京都中央区銀座六丁目に移転。
2023年11月
池袋ヒットビジョンの放映サービスを開始。
2024年12月
渋谷センター街ヒットビジョンの放映サービスを開始。

財務データ 

 2024年6月期の事業売上は4,122百万円で、構成比はセグメント別に、広告事業100%となっています。

 前期(24.6)は渋谷でのシンクロ放映サービスを多く受注したほか、池袋ヒットビジョンを11月に稼働開始により、前期比で売上は20%増最終は936百万円で着地しました。

 今期(25.6)は繁華街デジタル媒体の稼働が堅調に推移した一方、年末の大型案件の減少等により、売上は8%増最終は932百万円を見込んでいます。1株利益は167.63円配当は17.5円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2020/62021/62022/62023/62024/6
売上高2,1241,9012,6013,4364,122
経常益3082767051,1351,404
最終益199180△39755936
純資産9001,0319801,7162,587
総資産2,8613,2064,1144,9196,306
※単位は百万円、23.6から連結決算

▌セグメント別の売上内訳(2024.6)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場しているサービス業548社の中央値と比較すると、収益力は売上高営業利益率が33.9%など、かなり高い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、固定比率が96.7%となっており、やや厳しい状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 6,306 百万円売上高 4,122 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 33.9(μ:6.7 Me:6.7
総資本営業利益率 = 22.2(μ:7 Me:7.4
自己資本利益率 = 36.2(μ:1.3 Me:9.9
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 213.5(μ:266.4 Me:204.8
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 96.7(μ:119.6 Me:61.8
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 41(μ:51.6 Me:51.4
成長性指標
売上高成長率 = 20(μ:14.3 Me:9.9

※カッコ内の数値はサービス業(548社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は6,270千株で、株式保有割合は、経営陣72.1%その他27.9%となっています。

 株式保有は安定株主が占めているため、初値や上場後の株価形成に際し、大きな懸念はありません。また、主要株主にロックアップが厳しめに入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
松丸 敦之55.07%180日
㈱ボンド・ホールディングス19.78%180日
深井 英樹(社長)12.81%180日
松丸 さつき3.19%180日
安田 仁裕1.93%180日
江口 雄一1.19%180日
勝山 宏哉1.16%180日
曽我 正史1.07%180日
宮内 理司0.66%
髙橋 徹0.53%180日
上記以外2.61%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 6,270千株(2025年6月2日現在)

?

72.127.9
4,523.2 千株– 千株1,747.2 千株– 千株
※新株予約権による潜在株式(710.4千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は41.4%で、公募株式は、主に新規発行になります。初値形成にはニュートラルです。売出し分は、主に経営陣の株式放出によるものです。

 上場する株式の時価総額は89.1億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の23.3%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は26.6億円で、IPOとしては中型の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。670,000 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。670,000 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。1,193,000 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。950,000 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。243,000 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。1,863,000 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
89.1 億円9.6 億円2641.4
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

53.223.423.3
※新株予約権による潜在株式(710.4千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOではSBI証券が主幹事となっており、割当株数の36%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

 また、幹事証券になるマネックス松井も割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
SBI証券(主幹事)-%-株
みずほ証券-%-株
岡三証券-%-株
松井証券-%-株
東洋証券-%-株
マネックス証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
SBIネオトレード証券SBI-株
岡三オンライン岡三-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

36%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
89%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日6月2日(月)
抽選申込期間6月19日(木)~6月25日(水)
当選発表日6月26日(木)
購入申込期間6月27日(金)~7月2日(水)
上場日7月4日(金)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
6869610611612613614
615616617618619620621
622623624625626627628
6296307172737475
76777879710711712

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 屋外広告事業に特段の新規性はなく、注目度は低いです。ここ数年売上は緩やかに増加していますが、事業内容的に売上が飛躍的に伸びる可能性は低いです。ただ、利益は安定的に確保しており、収益力はかなり高いといえます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては中型案件で、株主は安定株主が占めており、ロックアップも厳しめに設定されているため、需給に大きな不安はありません。今期利益予想によるPERは8.5倍と業種平均25.7倍(サービス・グロース)と比較してかなり割安で、配当利回りは1.2%となっています。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 7.5 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段はサービス業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段はサービス業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段はサービス業(グロース)の単純PER(25.5末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段はサービス業(グロース)の単純PBR(25.5末時点)。
26.6 億円20.036.29.52.6
サービス業9.99.925.72.6
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格1,430円から+170円(+11.9%)高い1,600円と予想します。なお、AI予測値は1,905円となっており、これより低い弱気の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
1,600円(6/2予想)
+170円 / +11.9%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。1,430円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(6/2計算)

AI予測1,905円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+11.9+33.2+45.3+33.4
(想定価格比)(想定価格比)サービス業中型

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では21年4月に上場した表示灯(7368)の初値騰落率は+33.6%でした。

 今回のIPOと同じサービス業(その他)関連に分類されるIPOは2007年以降167件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は75.4%、初値騰落率の平均は+45.3%(中央値+26.7%)となっています。

 また、今回と同じ中型のIPOは2016年以降174件で、勝率は76.4%、初値騰落率の平均は+33.4%(中央値+17.6%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
表示灯+33.6%22.67.8%15.6%

▌サービス業(その他)のIPO実績
(サービス業のうち他に分類されない企業など)

サービス業勝率平均騰落率
167
(2007年以降)
75.4
(126件 / 167件)
+45.3
(Me:+26.7 %)

(2025/6/2 現在)

サービス業(その他)の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
353A A-エレコミ2025/4/25+29.4
352A Lクリエイト2025/4/24+2.4
343A IACEトラベル2025/4/7-13.6
9388 パパネッツ2025/3/21+18.6
324A ブッキングR2025/2/21+25.0

サービス業のIPO騰落率分布

▌中型のIPO実績
(中型:供給額20~50億円未満のIPO)

中型勝率平均騰落率
174
(2016年以降)
76.4
(133件 / 174件)
+33.4
(Me:+17.6 %)

(2025/6/2 現在)

中型の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
352A Lクリエイト2025/4/24+2.4
341A トヨコー2025/3/28+19.3
332A ミーク2025/3/21+5.6
331A メディックス2025/3/19-5.0
319A 技術承継機構2025/2/5+35.0

中型のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















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