JX金属(5016)のIPO情報と初値予想

 JX金属(5016)の東証プライムへの新規上場が承認されました。ここでは、JX金属のIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『半導体材料、情報通信材料の製造および販売、資源開発、金属の製錬、リサイクル』となっています。

会社名JX金属(5016)
所在地東京都港区虎ノ門二丁目10番4号
設立日2002年9月27日
従業員数10,426人
業種非鉄金属

【企業サイト】

https://www.jx-nmm.com/

事業解説
 会社の祖業である資源事業では、海外の銅鉱山やレアメタル鉱山への参画や国内の含金珪酸鉱鉱山の操業を行うほか、権益を保有するチリの優良鉱山では、レアメタル鉱山の調査・開発にも積極的に取り組んでいます。また、半導体事業では、シリコンウエハにナノレベルの膜を形成するために必要な高純度の金属材料「スパッタリングターゲット」なども生産しています。
JX金属の事業説明
(画像:JX金属HP

沿革 

JX金属のトップメッセージ

代表取締役社長 林 陽一

 私たちJX金属は、銅やレアメタルなどに関する先端素材のグローバルプレーヤーです。資源の確保からリサイクルまでの一貫したサプライチェーンのもと事業を展開しています。当社には、創業の日立鉱山時代から、自由闊達な議論を通じ一丸となって困難に立ち向かっていく「仕事本位」の気風があります。

(引用:JX金属HP
1905年12月
日立鉱山(茨城県)操業開始
1908年11月
大雄院製錬所(現 日立事業所、茨城県)操業開始
1912年9月
久原鉱業㈱設立
1916年9月
佐賀関製錬所(現 JX金属製錬㈱ 佐賀関製錬所、大分県)操業開始、金属製錬事業を拡張
1928年12月
久原鉱業㈱が日本産業㈱に商号変更
1929年4月
日本産業㈱の鉱山・製錬部門を分離・独立させ、日本鉱業㈱を設立
1948年2月
東邦商事㈱(現 JX金属商事㈱)設立
1964年10月
倉見工場(神奈川県)開設、金属加工事業に本格進出
1978年3月
日立事業所にリサイクル炉新設、リサイクル事業を開始
1981年9月
日立鉱山、鉱量枯渇により閉山
1985年5月
磯原工場(茨城県)開設、電子材料事業へ本格進出
1989年10月
ニッポン・マイニング台湾社(現 台湾日鉱金属股?有限公司)設立
1992年5月
(旧)日鉱金属㈱設立
1992年11月
日本鉱業㈱が金属資源開発部門、金属事業部門及び金属加工事業部門を(旧)日鉱金属㈱に譲渡
1992年12月
日本鉱業㈱が共同石油㈱を合併し、㈱日鉱共石に商号変更
1993年12月
㈱日鉱共石が㈱ジャパンエナジーに商号変更
1996年5月
GNFフィリピン社(現 JX METALS PHILIPPINES, Inc.)設立
1998年8月
(旧)日鉱金属㈱、東証第一部上場
1999年4月
㈱ジャパンエナジーの電子材料事業を分離・独立させ、㈱日鉱マテリアルズを設立
2000年10月
(旧)日鉱金属㈱と三井金属鉱業㈱の合弁により、パンパシフィック・カッパー㈱設立

財務データ 

 2024年3月期の事業売上は15,123億円で、構成比はセグメント別に、半導体材料8.1%情報通信材料12.4%基礎材料81.1%その他0.5%となっています。

 前期(24.3)はMLCCの株式譲渡に伴う連結範囲からの除外、エレクトロニクス関連市場の在庫調整に起因する減販等の一方で、為替評価益や減損損失の反転等により、前期比で売上は△8%減最終は1,026億円で着地しました。

 今期(25.3)は主にMLCC及びパンパシフィック・カッパー㈱の一部株式譲渡により両社の売上高が連結範囲から外れたことで、売上は△54%減最終は543億円を見込んでいます。1株利益は58.48円配当は103.55円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2020/32021/32022/32023/32024/3
売上高2,5273,0313,02516,38515,123
経常益346529722633787
最終益2773645693691,026
純資産3,4013,6043,7963,4013,604
総資産5,4477,0707,8765,4477,070
※単位は億円、23.3から連結決算

▌セグメント別の売上内訳(2024.3)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している非鉄金属34社の中央値と比較すると、収益力は自己資本利益率 が28.5%など、やや高い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、自己資本比率が54.4%となっており、平均的な状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 7,070 億円売上高 15,123 億円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 5.7(μ:4.8 Me:4.6
総資本営業利益率 = 6.5(μ:4.9 Me:4.6
自己資本利益率 = 28.5(μ:6.5 Me:6.3
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 147.1(μ:249.3 Me:189.6
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 114.4(μ:82.6 Me:88.8
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 54.4(μ:52.8 Me:50.5
成長性指標
売上高成長率 = -7.7(μ:19.5 Me:15.5

※カッコ内の数値は非鉄金属(34社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は928,463千株で、株式保有割合は、関係会社100.0%となっています。

 株式保有は安定株主が占めているため、初値や上場後の株価形成に際し、大きな懸念はありません。また、主要株主にロックアップが厳しめに入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
ENEOSホールディングス㈱100.00%180日
上記以外
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 928,463千株(2025年2月14日現在)

?

100.0
– 千株928,463.1 千株– 千株– 千株
※新株予約権による潜在株式なし。

2IPOの基本情報

公開株数 

 今回のIPOでは募集株式の全てが売出し株式で、主に関係会社(親会社)の株式放出によるものです。初値形成にはかなりネガティブといえます。

 上場する株式の時価総額は8,003.4億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の50.1%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は4,611億円で、IPOとしては中大型以上の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。0 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。0 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。534,934,100 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。465,160,100 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。69,774,000 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。534,934,100 株
※売出しは国内304.7百万株及び海外160.5百万株を目処。

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
8,003.4 億円 億円50.10
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

49.950.1
※新株予約権による潜在株式なし。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOでは大和証券が主幹事となっており、割当株数の14%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

 また、幹事証券になる楽天マネックスも割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
大和証券(主幹事)-%-株
みずほ証券-%-株
三菱UFJMS証券-%-株
MSMUFG証券-%-株
JPモルガン証券-%-株
野村證券-%-株
SMBC日興証券-%-株
水戸証券-%-株
めぶき証券-%-株
SBI証券-%-株
楽天証券-%-株
マネックス証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
CONNECT大和-株
auカブコム証券三菱-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

14%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
9%
個人-本
抽選
裁量
9%
個人-本
抽選
裁量
13%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日2月14日(金)
抽選申込期間3月3日(月)~3月7日(金)
当選発表日3月10日(月)
購入申込期間3月11日(火)~3月14日(金)
上場日3月19日(水)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
22322422522622722831
32333435363738
39310311312313314315
316317318319320321322
323324325326327328329

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 資源開発や金属の製錬事業等に特段の新規性はなく、注目度は低いです。事業内容的に売上の大きな伸びは期待できませんが、事業基盤は盤石で、利益率も比較的高いため、収益性は評価できます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては超大型案件で、株主は安定株主の親会社しかいないものの、需給はかなり緩いです。今期予想によるPERは14.7倍と業種平均88倍と比較して割安な水準です。また、予想配当利回り1.4%(期末配当は12円予想)は魅力的です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 7.0 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は非鉄金属(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は非鉄金属(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は非鉄金属(プライム)の単純PER(24.12末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は非鉄金属(プライム)の単純PBR(24.12末時点)。
4,611 億円-7.728.57.81.3
非鉄金属15.56.388.00.9
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格862円から+138円(+16.0%)高い1,000円と予想します。なお、AI予測値は952円となっており、これと同程度の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
1,000円(2/16予想)
+138円 / +16.0%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。862円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(2/16計算)

952円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+16.0+10.4+26.4+14.6
(想定価格比)(想定価格比)素材・資材中大型以上

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では21年6月に上場した日本電解(5759)の初値騰落率は0.0%でした。

 今回のIPOと同じ素材・資材関連関連に分類されるIPOは2007年以降90件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は65.6%、初値騰落率の平均は+26.4%(中央値+8.7%)となっています。

 また、今回と同じ中大型以上のIPOは2016年以降155件で、勝率は51.6%、初値騰落率の平均は+14.6%(中央値+1.1%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
日本電解0.0%178.014.9%44.8%

▌素材・資材関連のIPO実績
(化学・鉄鋼・金属、建設業など)

素材・資材勝率平均騰落率
90
(2007年以降)
65.6
(59件 / 90件)
+26.4
(Me:+8.7 %)

(2025/2/16 現在)

素材・資材関連の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
319A 技術承継機構2025/2/5+35.0
247A Aiロボティクス2024/9/27+42.8
231A CrossE2024/8/29-8.1
211A カドス2024/7/18+10.7
205A ロゴスHD2024/6/28±0.0

素材・資材のIPO騰落率分布

▌中大型以上のIPO実績
(中大型以上:供給額50億円以上のIPO)

中大型以上勝率平均騰落率
155
(2016年以降)
51.6
(80件 / 155件)
+14.6
(Me:+1.1 %)

(2025/2/16 現在)

中大型以上の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
285A キオクシアHD2024/12/18-1.0
299A dely2024/12/19-16.6
290A Syns2024/12/19+53.3
287A 黒田グループ2024/12/17+26.4
286A ユカリア2024/12/12-8.0

中大型以上のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報
















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