黒田グループ(287A)のIPO情報と初値予想【初値決定】

 黒田グループ(287A)の東証スタンダードへの新規上場が承認されました。ここでは、黒田グループのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『液晶ディスプレイ用印刷版、自動化設備、樹脂成形金型、HDD用部品、電力・電設資材、アルミダイカスト製品の製造・販売およびプリント回路基板の設計・受託開発。エレクトロニクス業界および自動車業界への電子部品、電気材料などの販売。』となっています。

会社名黒田グループ(287A)
所在地東京都品川区南大井五丁目17番9号
設立日2017年10月6日
従業員数2,491人
業種卸売業
事業解説
 製造事業では、国内5社、海外8社の事業会社を通じて、データストレージ業界、自動車業界、電設資材業界の顧客に対して、HDD用部品や電設関連資材、自動車向け大型樹脂成形金型などの生産に必要な部材を供給し、商社事業では、国内の黒田電気㈱のほか、海外12ヵ国に進出し、現地ニーズに合わせて電気材料、一般電子部品、半導体、機器・装置等を納入しています。
黒田グループの事業説明
(画像:黒田グループHP

沿革 

黒田グループのトップメッセージ

代表取締役社長執行役員 細川 浩一

 黒田電気株式会社は、主に電気材料及び電子部品を取り扱う専門商社として事業をスタートしましたが、1945年の創業から間もなく製造・加工事業も行い、今日の黒田グループの原形となっています。2020年4月1日より、商社、製造の各事業を並列に配置する体制がスタートしました。

(引用:黒田グループHP
2017年10月
当社(KMホールディングス㈱)を設立
2018年3月
黒田電気㈱の株式を取得し、完全子会社とする。(現 連結子会社)
2018年5月
エントロコンポーネント ソリューションズ シンガポールPTE. LTD.の株式を取得し、子会社とする
2018年6月
Z.クロダ(タイランド)CO., LTD.の商社事業を分離し、クロダ トレーディング(タイランド)CO.,LTD.を設立(現 連結子会社) クロダ エレクトリック (ベトナム)CO., LTD.を閉鎖、清算
2018年8月
黒田電気㈱のデータストレージ事業を分離し、黒田データストレージジャパン㈱を設立(現 連結子会社)
2018年9月
中国に黒田過濾系統技術(深セン)有限公司を設立(現 連結子会社)
2018年10月
黒田オートテックジャパン㈱を設立(現 連結子会社)
2018年12月
W. L. Gore & Associates, Inc.よりハードディスク・ドライブ・フィルター事業を譲受け
2019年4月
黒田電気㈱の本店所在地を大阪から東京へ移転
2020年2月
黒田電気㈱が、㈱天満トラストを吸収合併
2020年3月
エントロコンポーネント ソリューションズ シンガポールPTE. LTD.を閉鎖、清算
2020年4月
商号を黒田グループ㈱に変更黒田電気㈱からグループ全体の経営に関する管理・支援事業を新設分割し、黒田マネジメントサービス㈱を設立 タイにクロダテクノ ツーリングマシン(タイランド)CO., LTD.を設立(現 連結子会社)
2020年6月
子会社である黒田電気㈱が保有する黒田電气(香港)有限公司、Z.クロダ(タイランド)CO.,LTD.ほか16社の株式及び上海黒田貿易有限公司ほか4社の出資金を現物配当により取得し、当社直接保有の連結子会社とする組織再編を実施
2021年2月
子会社である黒田電气(香港)有限公司が保有する黒田虹日集団(香港)有限公司の株式及び黒田電子(深?)有限公司ほか1社の出資金を現物配当により取得し、当社直接保有の連結子会社とする組織再編を実施
2021年7月
合肥市精捷塑膠技術有限公司の全出資持分を譲渡したため、子会社から除外
2023年1月
PT トリミトラ チトラハスタの全株式持分を譲渡したため、子会社から除外
2023年4月
当社が、黒田マネジメントサービス㈱を吸収合併
2023年5月
ナンカイ エンバイロテック Corp.の全株式持分を譲渡したため、子会社から除外 ナンカイ メキシコ, S.A. de C.V.は、上記ナンカイ エンバイロテック Corp.の子会社であり、同社の株式を譲渡したため、子会社から除外
2024年1月
上海黒田貿易有限公司が、天津黒田貿易有限公司を吸収合併
2024年2月
黒田虹日集団(香港)有限公司の全株式持分を譲渡したため、子会社から除外 東莞虹日金属科技有限公司は、上記黒田虹日集団(香港)有限公司の子会社であり、同社の株式を譲渡したため、子会社から除外
2024年4月
㈱コムラテックが、黒田テクノ㈱を吸収合併
2024年9月
台湾黒田電器股?有限公司を閉鎖、清算

財務データ 

 2024年3月期の事業売上は1,267億円で、構成比はセグメント別に、製造23.5%商社76.5%となっています。

 前期(24.3)はエアコン関連部材や産業機器向け部材の受注が大幅に減少したほか、固定資産及びのれんの減損損失により、前期比で売上は△9%減最終は4億円で着地しました。

 今期(25.3)はアミューズメント用の中小型液晶、FA機器、エアコン等の各種部材の販売が減少するも、前期の減損から回復し、売上は△4%減最終は37億円を見込んでいます。1株利益は86円配当は60円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2020/32021/32022/32023/32024/3
売上高04411,3931,267
経常益△5△3364112
最終益△4△329264
純資産201199228346341
総資産7908038051,018983
※単位は億円、23.3から連結決算

▌セグメント別の売上内訳(2024.3)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している卸売業320社の中央値と比較すると、収益力は自己資本利益率 が1.2%など、かなり低い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、流動比率が99%となっており、かなり厳しい状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 983 億円売上高 1,267 億円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 1.6(μ:2.6 Me:3.3
総資本営業利益率 = 2(μ:4.4 Me:4.8
自己資本利益率 = 1.2(μ:5.1 Me:8
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 99(μ:212.1 Me:172.3
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 108.4(μ:73.8 Me:60.1
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 35.9(μ:49.4 Me:47.9
成長性指標
売上高成長率 = -9(μ:8.1 Me:7.4

※カッコ内の数値は卸売業(320社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は47,841千株で、株式保有割合は、関係会社88.7%経営陣2.5%その他8.8%となっています。

 株式保有は安定株主が占めているため、初値や上場後の株価形成に際し、大きな懸念はありません。また、主要株主にロックアップが厳しめに入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
ケイエム・ツー・エルピー97.09%180日
細川 浩一(社長)0.68%継続保有
森 安伸0.32%継続保有
鈴木 秀和0.22%継続保有
尹 棡洙0.22%
小林 郁夫0.22%
Cheng Jit Ann0.22%
執行役員0.22%
執行役員0.17%
従業員0.17%
上記以外0.47%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 47,841千株(2024年11月12日現在)

?

2.588.78.8
1,199.2 千株42,450 千株4,192.3 千株– 千株
※新株予約権による潜在株式(1,273.5千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 今回のIPOでは募集株式の全てが売出し株式で、主に関係会社(親会社)の株式放出によるものです。初値形成にはかなりネガティブといえます。

 上場する株式の時価総額は298億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の25.4%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は89.4億円で、IPOとしては中大型以上の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。0 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。0 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。13,970,400 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。12,148,200 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。1,822,200 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。13,970,400 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
298 億円 億円26.10
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

2.563.30.225.4
※新株予約権による潜在株式(1,273.5千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOではSMBC日興証券が主幹事となっており、割当株数の10%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
SMBC日興証券(主幹事)62.87%8,783,300株
野村證券33.22%4,640,800株
大和証券0.87%121,400株
三菱UFJMS証券0.87%121,400株
みずほ証券0.87%121,400株
SBI証券0.43%60,700株
楽天証券0.43%60,700株
マネックス証券0.43%60,700株
合計100%13,970,400株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
CONNECT大和1,300株
auカブコム証券三菱3,700株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

10%
個人59,902本
抽選8,432
裁量51,470
9%
個人39,308本
抽選4,362
裁量34,946
18%
個人942本
抽選214
裁量728
9%
個人935本
抽選107
裁量828
11%
個人1,037本
抽選132
裁量905
45%
個人526本
抽選270
裁量256
90%
個人546本
抽選546
裁量
90%
個人546本
抽選546
裁量
100%
個人13本
抽選13
裁量
100%
個人37本
抽選37
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日11月12日(火)
抽選申込期間11月29日(金)~12月4日(水)
当選発表日12月6日(金)
購入申込期間12月9日(月)~12月12日(木)
上場日12月17日(火)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
1117111811191120112111221123
1124112511261127112811291130
121122123124125126127
12812912101211121212131214
1215121612171218121912201221

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 各種生産財の製造・販売事業に特段の新規性はなく、注目度は低いです。ここ数年の売上は微減傾向でやや苦しい状況ですが、利益は安定的に確保しており、収益性は評価できます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては中大型案件で、株主には安定株主しかおらず、想定価格も低めの設定のため、需給に大きな不安はありません。来期予想によるPERは7.4倍と業種平均10.1倍と比較してやや割安です。また、予想配当利回りは9.4%とかなり高く、配当政策も累進配当としていることから、高配当銘柄としてかなり魅力です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 6.5 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

  供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。  成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は卸売業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は卸売業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は卸売業(スタンダード)の単純PER(24.10末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は卸売業(スタンダード)の単純PBR(24.10末時点)。
89.4 億円-9.01.279.00.9
卸売業7.48.010.10.7
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は公開価格700円から+100円(+14.3%)高い800円と予想します。なお、AI予測値は1,031円となっており、これより低い弱気の予想としています。

初値予想
(公開価格比)
800円(12/9予想)
+100円 / +14.3%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。640円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。640円 ~ 700円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。700円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
885円
+185円 / +26.4%

▌AIの予測値(12/9更新)

1,031円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+14.3+16.6+39.0+14.8
(公開価格比)(公開価格比)卸売業中大型以上

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では22年12月に上場したアルファパーチェス(7115)の初値騰落率は-1.3%でした。

 今回のIPOと同じ卸売業関連に分類されるIPOは2007年以降47件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は66.0%、初値騰落率の平均は+39.0%(中央値+13.3%)となっています。

 また、今回と同じ中大型以上のIPOは2016年以降147件で、勝率は52.4%、初値騰落率の平均は+14.8%(中央値+1.4%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
アルファパーチェス-1.3%19.617.0%16.7%
ヤシマキザイ+13.3%11.83.0%4.0%
オーウエル+14.0%13.10.5%5.0%

▌卸売業のIPO実績
(製品・食品などの仕入れ・販売など)

卸売業勝率平均騰落率
47
(2007年以降)
66.0
(31件 / 47件)
+39.0
(Me:+13.3 %)

(2024/11/13 現在)

卸売業の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
7120 SHINKO2023/3/22+2.3
7115 アルファパーチェス2022/12/26-1.3
7116 ダイワ通信2022/12/26-4.7
7114 フーディソン2022/12/16±0.0
7131 のむら産業2021/12/2-8.0

卸売業のIPO騰落率分布

▌中大型以上のIPO実績
(中大型以上:供給額50億円以上のIPO)

中大型以上勝率平均騰落率
147
(2016年以降)
52.4
(77件 / 147件)
+14.8
(Me:+1.4 %)

(2024/11/13 現在)

中大型以上の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
262A インターメス2024/10/18+25.0
261A 日水コン2024/10/16-6.2
260A オルツ2024/10/11+5.6
241A ROXX2024/9/25-8.0
215A タイミー2024/7/26+27.6

中大型以上のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報
















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