ライオン事務器(423A)のIPO情報と初値予想

 ライオン事務器(423A)の東証スタンダードへの新規上場が承認されました。ここでは、ライオン事務器のIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『文具・事務用品、オフィス家具及び事務機器の製造販売、オフィス環境のデザイン・施工・内装工事、ICT機器の文教市場向けの販売、並びにeコマース』となっています。

会社名ライオン事務器(423A)
所在地大阪府東大阪市長田中三丁目5番44号
設立日1921年9月27日
従業員数493人
業種卸売業

【企業サイト】
ライオン事務器公式サイト
https://www.lion-jimuki.co.jp/

事業解説
 全国の文具やオフィス用品等を取り扱う販売店に対して、文具・事務用品、オフィス家具、事務機器等を販売する販売店事業のほか、大手パートナー企業との協業や、法人ユーザーとの直接取引を行うエンタープライズ事業、公立の小中学校向けにICT機器(パソコン、タブレット等)の販売や保守業務等を行う文教事業を展開しています。
ライオン事務器の事業説明
(画像:ライオン事務器HP

沿革 

ライオン事務器のトップメッセージ

代表取締役社長 髙橋 俊泰

 弊社は、1792年(寛政4年)に今津屋小八郎(福井家祖)が大阪の地で筆墨商として創業して以来、時代の声に真摯に耳を傾け、新しい商品を提供し、事務の合理化と能率向上を提案してまいりました。

(引用:ライオン事務器HP
1792年ー月
創業 初代福井小八郎が今津屋の商号のもとに大阪における唯一の筆墨商を創めた。
1881年ー月
海外から文具・事務器の輸入を開始。ライオンマークの使用を始める。
1921年9月
資本金100万円を以て㈱福井商店を設立。
1937年ー月
自社での文具製造を開始。
1945年ー月
第二次世界大戦により大阪・東京の両社屋焼失。商号を福井商事㈱に改め、再建に乗り出す。
1953年11月
大阪市東区(現・中央区)平野町2丁目に本社社屋新築。
1956年12月
福井商事㈱を存続会社として㈱東京福井商店を吸収合併。
1961年6月
平野工場を分離独立。福井工業㈱(現㈱サンライテック・連結子会社)として設立。ペン先の製造を開始。東京で全商品を紹介するライオンオフィスフェアーを開催。「テープカッターNo.25」発売、「スチール業務用イス」発売、「スチール片袖デスク」発売。オフィスの総合メーカーへ。
1964年12月
ライオンファイリング㈱(現ライオンファイル㈱)を設立。フラットファイル(紙製ファイル)の製造を開始。
1971年3月
東大阪市の大阪紙文具流通センターに大阪店(現ライオン東大阪ビル)を開設。
1972年1月
アメリカ・カリフォルニア州にLION OFFICE PRODUCTS, INC.(連結子会社)を設立。
1972年2月
ライオン運送㈱(現㈱ライオンロジスティクス・連結子会社)を設立。首都圏の配送を行う。
1973年12月
㈱三和製作所(現㈱サンワブロードビジネス)をナンバリング、チェックライターの生産のための子会社とする。
1974年5月
大阪ライオン運送㈱(現㈱ライオンロジスティクス・連結子会社)を近畿圏の配送のための関係会社とする。
1980年10月
商号を㈱ライオン事務器と改める。
1981年6月
福井商事㈱を設立。子会社及び主要仕入先へ部材の供給を開始。
1989年4月
埼玉県大利根町に大利根物流センターを開設。
1989年12月
太陽工業㈱(現㈱サンライテック・連結子会社)をスチール書庫、ロッカーの生産のための子会社とする。
1991年8月
東京都中野区にライオン新宿ビル(プレゼンテーションセンター)(現本社ビル)を開設。
1996年8月
大阪ライオン運送㈱(現㈱ライオンロジスティクス・連結子会社)を子会社とする。
1997年10月
台湾の台北市に福獅事務機器股?有限公司(連結子会社)を設立。
1999年4月
中国の上海市に福獅?公用品貿易有限公司(連結子会社)を設立。
2001年6月
本社機能を東京都中野区本社ビルに移転。
2001年10月
大阪市港区に関西商品センターを開設。
2004年12月
東京都中央区のライオン小伝馬町ビルを閉鎖。東京本店を賃貸オフィス(現日本橋オフィス)に移転。
2005年1月
㈱マキシネットを設立。総務、経理関係業務の受託事業を開始。
2005年4月
福井工業㈱と太陽工業㈱が合併し、㈱サンライテックとなる。
2006年10月
西日本の物流拠点滋賀センター(滋賀県東近江市)を開設。
2008年4月
㈱大塚商会と資本業務提携契約を締結。(注)
2008年5月
㈱大塚商会を第三者割当先とする増資を実施。(注)
2009年3月
㈱大塚商会の配送センター全国5拠点に事務用品の物流アウトソーシングを行い、関西商品センターを閉鎖。
2009年4月
ECプラットフォーム「ナビリオン(NAVILION)」の運用を開始。
2010年7月
ライオン運送㈱と㈱ライオンロジスティクスの合併。(存続会社:ライオン運送㈱、合併と同時に㈱ライオンロジスティクス(連結子会社)に社名変更)
2014年1月
東京都新宿区に西新宿オフィスを開設。連結子会社であったライオンファイル㈱を、保有株式の売却により連結子会社から除外。
2016年12月
連結子会社であった㈱マキシネットを、清算結了により連結子会社から除外。
2019年3月
連結子会社であった福井商事㈱を、清算結了により連結子会社から除外。
2019年11月
連結子会社である㈱サンライテックが㈱サカエよりシュレッダー事業を譲受。
2024年3月
非連結子会社であった㈱サンワブロードビジネスを、保有株式の売却により当社グループ関係会社から除外。

財務データ 

 2024年9月期の事業売上は349億円で、構成比はセグメント別に、販売店事業42.4%エンタープライズ32.4%文教事業25.2%となっています。

 前期(24.9)はGIGAスクール構想(児童、生徒に1人1台のPCと、全国の学校に高速大容量の通信ネットワークを整備する国の方針)によるタブレットなどのICT機器の導入支援や端末の運用サポート/保守業務等が好調に推移し、前期比で売上は6%増最終は8億円で着地しました。

 今期(25.9)は電子黒板の更新や不審者対策としての学校内無線電話、インターフォンシステム、不登校対策システム等の導入など文教事業が引き続き好調に推移しており、売上は5%増最終は8億円を見込んでいます。1株利益は27.35円配当は5円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2020/92021/92022/92023/92024/9
売上高310479339330349
経常益716101112
最終益513788
純資産789299107114
総資産213260236233233
※単位は億円、20.9から連結決算

▌セグメント別の売上内訳(2024.9)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している卸売業320社の中央値と比較すると、収益力は総資本営業利益率が4.7%など、平均的な数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、流動比率が175.1%となっており、平均的な状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 233 億円売上高 349 億円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 3.1(μ:2.6 Me:3.3
総資本営業利益率 = 4.7(μ:4.4 Me:4.8
自己資本利益率 = 7(μ:5.1 Me:8
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 175.1(μ:212.1 Me:172.3
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 59.9(μ:73.8 Me:60.1
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 49.1(μ:49.4 Me:47.9
成長性指標
売上高成長率 = 5.8(μ:8.1 Me:7.4

※カッコ内の数値は卸売業(320社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は32,562千株で、株式保有割合は、その他95.9%経営陣4.1%となっています。

 株式保有は安定株主が占めているため、初値や上場後の株価形成に際し、大きな懸念はありません。また、主要株主にロックアップが入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
㈱大塚商会36.85%180日
福井 資4.22%180日
福井 靖3.66%180日
福井 務3.37%180日
㈱みずほ銀行2.59%
ライオン事務器社員持株会1.95%180日
勝又 祐一郎1.23%180日
㈱三井住友銀行1.20%
寺西 八1.12%180日
日本生命保険相互会社1.02%180日
上記以外42.79%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 32,562千株(2025年9月5日現在)

?

4.195.9
1,350 千株– 千株31,212 千株– 千株
※新株予約権による潜在株式(2,662千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は35.2%で、公募株式は、主に新規発行になります。初値形成にはニュートラルです。売出し分は、主にその他(金融機関等)の株式放出によるものです。

 上場する株式の時価総額は65.6億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の12.5%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は10.3億円で、IPOとしては中小型の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。1,500,700 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。1,469,000 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。31,700 株
売出株既存株主が売り出す株式。3,405,600 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。2,765,700 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。639,900 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。4,906,300 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
65.6 億円3.1 億円13.635.2
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

4.083.612.5
※新株予約権による潜在株式(2,662千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOではみずほ証券が主幹事となっており、割当株数の8%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

 また、幹事証券になる楽天マネックス松井も割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
みずほ証券(主幹事)-%-株
SBI証券-%-株
岡三証券-%-株
岩井コスモ証券-%-株
楽天証券-%-株
広田証券-%-株
松井証券-%-株
マネックス証券-%-株
丸三証券-%-株
水戸証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
岡三オンライン岡三-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

8%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
89%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日9月5日(金)
抽選申込期間9月29日(月)~10月3日(金)
当選発表日10月6日(月)
購入申込期間10月7日(火)~10月10日(金)
上場日10月15日(水)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
921922923924925926927
928929930101102103104
10510610710810910101011
1012101310141015101610171018
1019102010211022102310241025

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 文具・事務用品等の製造・販売事業に特段の新規性はなく、注目度は低いです。事業内容から今後飛躍的に成長することは期待しづらいですが、ここ数年売上は緩やかに増加しており、利益も安定的に確保していることから、事業の安定度はかなり高いといえます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては中小型案件で、株主には安定株主しかおらず、想定価格もかなり低めに設定されていることから、需給に不安はありません。今期利益予想によるPERは7.6倍と業種平均12.3倍(卸売・スタンダード)と比較してやや割安で、配当利回りは2.4%となっています。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 7.0 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は卸売業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は卸売業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は卸売業(スタンダード)の単純PER(25.8末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は卸売業(スタンダード)の単純PBR(25.8末時点)。
10.3 億円5.87.08.60.6
卸売業7.48.012.30.8
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格209円から+41円(+19.6%)高い250円と予想します。なお、AI予測値は290円となっており、これより低い弱気の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
250円(9/7予想)
+41円 / +19.6%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。209円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(9/7計算)

AI予測290円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+19.6+38.8+38.8+67.6
(想定価格比)(想定価格比)卸売業中小型

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では20年2月に上場したコーユーレンティア(7081)の初値騰落率は+32.8%でした。

 今回のIPOと同じ卸売業関連に分類されるIPOは2007年以降49件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は67.3%、初値騰落率の平均は+38.8%(中央値+14.0%)となっています。

 また、今回と同じ中小型のIPOは2016年以降232件で、勝率は88.4%、初値騰落率の平均は+67.6%(中央値+50.3%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
コーユーレンティア+32.8%21.717.8%15.9%

▌卸売業のIPO実績
(製品・食品などの仕入れ・販売など)

卸売業勝率平均騰落率
49
(2007年以降)
67.3
(33件 / 49件)
+38.8
(Me:+14.0 %)

(2025/9/7 現在)

卸売業の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
287A 黒田グループ2024/12/17+26.4
280A TMH2024/12/4+41.9
7120 SHINKO2023/3/22+2.3
7115 アルファパーチェス2022/12/26-1.3
7116 ダイワ通信2022/12/26-4.7

卸売業のIPO騰落率分布

▌中小型のIPO実績
(中小型:供給額10~20億円未満のIPO)

中小型勝率平均騰落率
232
(2016年以降)
88.4
(205件 / 232件)
+67.6
(Me:+50.3 %)

(2025/9/7 現在)

中小型の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
386A みのや2025/7/18+64.4
343A IACEトラベル2025/4/7-13.6
340A ジグザグ2025/3/31+35.3
330A TalentX2025/3/18+36.8
324A ブッキングR2025/2/21+25.0

中小型のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















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