オーバーラップホールディングス(414A)のIPO情報と初値予想

 オーバーラップホールディングス(414A)の東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、オーバーラップホールディングスのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『ライトノベル・コミック・アニメにおける作品の企画・編集・プロデュース』となっています。

会社名オーバーラップホールディングス(414A)
所在地東京都品川区西五反田八丁目1番5号
設立日2022年5月19日
従業員数85人
業種情報・通信業

【企業サイト】
オーバーラップホールディングス公式サイト
https://hd.over-lap.co.jp/

事業解説
 小説投稿サイトやSNSを通じて、すでにユーザーの注目があるアマチュア作品の中から優れたコンテンツIPの原石を発掘するなどゼロから作品を生み出し、その生み出した作品について最適な作品展開(マンガ・ノベル・アニメ・ゲーム・WEBなど)を組み合わせ、コンテンツIPの価値を最大化させることで売上を高めていきます。

沿革 

オーバーラップホールディングスのトップメッセージ

代表取締役社長 永田 勝治

 2011年創業と歴史の浅いオーバーラップは、業界の常識や1つのメディアに縛られることなく、最適なメディアでIPを創り出し、メディアミックスによって作品世界をさらに拡大・波及させていくことが、我々のミッションと考え、日々尽力しています。

(引用:オーバーラップホールディングスHP
2011年11月
㈱オーバーラップを設立
2013年4月
オーバーラップ文庫創刊
2015年5月
オーバーラップノベルス創刊
2016年12月
Web漫画誌「コミックガルド」創刊
2020年4月
「オーバーラップノベルスf」創刊
2021年3月
ユーザー向けのマンガの配信事業等を行う目的で、100%出資子会社㈱オーバーラップ・プラスを設立
2022年5月
㈱オーバーラップが、㈱日本企業成長投資がアドバイザーとして関与するNIC5ファンドから出資を受け入れることとなり、NIC5ファンドが当社(㈱Musa)、及び、当社の100%出資で旧㈱オーバーラップホールディングスを設立
2022年7月
旧㈱オーバーラップホールディングスが、㈱オーバーラップの全株式を取得
2024年12月
当社が旧㈱オーバーラップホールディングスを吸収合併し、商号を㈱オーバーラップホールディングスに変更

財務データ 

 2024年8月期の事業売上は8,403百万円で、構成比はセグメント別に、エンタメ事業100%となっています。

 前期(24.8)は原作を保有するアニメ作品が5作品放映開始となるなど、保有するIPをもとにしたメディアミックス展開への取り組みに注力し、前期比で売上は8%増最終は1,147百万円で着地しました。

 今期(25.8)は過年度における資本構成の変更後、これまで発生していた費用(主に無形資産の償却費等)が発生しなくなることなどが利益を押し上げ、売上は2%増最終は2,060百万円を見込んでいます。1株利益は103円配当は未定としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2020/82021/82022/82023/82024/8
売上高4,2745,3937,0527,7818,403
経常益1,3111,6693,2421,2811,773
最終益7248582,0928061,147
純資産2,4733,3312,4946,8176,766
総資産4,3806,5655,91419,34618,223
※単位は百万円、23.8から連結決算

▌セグメント別の売上内訳(2024.8)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している情報・通信業595社の中央値と比較すると、収益力は売上高営業利益率が25.6%など、かなり高い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、固定比率が178.7%となっており、かなり厳しい状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 18,223 百万円売上高 8,403 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 25.6(μ:6.5 Me:8.3
総資本営業利益率 = 11.8(μ:7.1 Me:8.1
自己資本利益率 = 17(μ:2.1 Me:9.6
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 168.7(μ:347.4 Me:271.4
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 178.7(μ:69.4 Me:39.4
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 37.1(μ:60.5 Me:64.3
成長性指標
売上高成長率 = 8(μ:12.3 Me:8.4

※カッコ内の数値は情報・通信業(595社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は21,903千株で、株式保有割合は、ベンチャーキャピタル(VC)54.3%その他32.5%経営陣13.2%となっています。

 VCが一定割合の株式を保有しているため、初値や上場後の株価形成に際し、ロックアップから外れた段階で売り圧力が強まるリスクがあります。また、主要株主にロックアップが厳しめに入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
NIC Fund II Cayman, LP15.86%180日
Cerasus Fund II Cayman, LP13.35%180日
Wisteria Fund II Cayman, LP12.91%180日
Camellia Fund II Cayman, LP12.17%180日
㈱小学館9.13%180日
㈱ポケモン9.13%180日
KKN合同会社5.48%180日
永田 勝治(社長)5.48%180日
OSK合同会社4.57%180日
岩﨑 篤史4.57%180日
上記以外7.35%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 21,903千株(2025年8月28日現在)

?

13.232.554.3
2,900 千株– 千株7,112.6 千株11,890.2 千株
※新株予約権による潜在株式(1,902.8千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 今回のIPOでは募集株式の全てが売出し株式で、主にベンチャーキャピタル(VC)の株式放出によるものです。初値形成にはかなりネガティブといえます。

 上場する株式の時価総額は320億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の36.5%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は147.2億円で、IPOとしては中大型以上の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。0 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。0 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。9,200,000 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。8,000,000 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。1,200,000 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。9,200,000 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
320 億円 億円400
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

13.232.118.136.5
※新株予約権による潜在株式(1,902.8千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOではみずほ証券が主幹事となっており、割当株数の8%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

 また、幹事証券になる楽天マネックスも割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
みずほ証券(主幹事)-%-株
三菱UFJMS証券-%-株
MSMUFG証券-%-株
SMBC日興証券-%-株
SBI証券-%-株
大和証券-%-株
野村證券-%-株
マネックス証券-%-株
楽天証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
auカブコム証券三菱-株
CONNECT大和-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

8%
個人-本
抽選
裁量
9%
個人-本
抽選
裁量
13%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
18%
個人-本
抽選
裁量
9%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日8月28日(木)
抽選申込期間9月17日(水)~9月24日(水)
当選発表日9月25日(木)
購入申込期間9月26日(金)~10月1日(水)
上場日10月3日(金)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
979899910911912913
914915916917918919920
921922923924925926927
928929930101102103104
10510610710810910101011

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 ライトノベル等を中心としたコンテンツIP事業には新規性があり、また、オーバーラップ文庫の知名度も高く、注目度は比較的高いといえます。ここ数年で売上は緩やかに伸びており、利益も安定的に確保していることから、成長性と収益性は評価できます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては大型案件で、株主の多くをVCが占めており、また、募集株式の全てが売出しとなることから、需給は緩めになることが予想されます。今期利益予想によるPERは15.5倍と業種平均65倍(情報通信・グロース)と比較して割安な水準です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 6.5 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は情報・通信業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は情報・通信業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は情報・通信業(グロース)の単純PER(25.7末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は情報・通信業(グロース)の単純PBR(25.7末時点)。
147.2 億円8.017.027.94.7
情報・通信8.49.665.03.9
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格1,600円から+400円(+25.0%)高い2,000円と予想します。なお、AI予測値は2,110円となっており、これと同程度の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
2,000円(8/29予想)
+400円 / +25.0%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。1,600円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(8/29計算)

AI予測2,110円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+25.0+31.9+77.5+15.2
(想定価格比)(想定価格比)情報・通信中大型以上

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では14年10月に上場したアルファポリス(9467)の初値騰落率は+93.2%でした。

 今回のIPOと同じ情報・通信業(その他)関連に分類されるIPOは2007年以降68件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は83.8%、初値騰落率の平均は+77.5%(中央値+50.9%)となっています。

 また、今回と同じ中大型以上のIPOは2016年以降163件で、勝率は53.4%、初値騰落率の平均は+15.2%(中央値+1.5%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
アルファポリス+93.2%27.240.7%36.5%

▌情報・通信業(その他)のIPO実績
(情報・通信業のうち他に分類されないもの)

情報・通信勝率平均騰落率
68
(2007年以降)
83.8
(57件 / 68件)
+77.5
(Me:+50.9 %)

(2025/8/29 現在)

情報・通信業(その他)の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
340A ジグザグ2025/3/31+35.3
336A ダイナミクマップ2025/3/27+27.5
335A ミライロ2025/3/24+144.8
323A フライヤー2025/2/20+73.2
290A Syns2024/12/19+53.3

情報・通信のIPO騰落率分布

▌中大型以上のIPO実績
(中大型以上:供給額50億円以上のIPO)

中大型以上勝率平均騰落率
163
(2016年以降)
53.4
(87件 / 163件)
+15.2
(Me:+1.5 %)

(2025/8/29 現在)

中大型以上の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
402A アクセルスペース2025/8/13+100.3
368A 北里コーポ2025/6/25+49.3
367A プリモGHD2025/6/24-6.4
350A デジタルグリッド2025/4/22+17.5
339A プログレス2025/3/28+1.5

中大型以上のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















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