老後資金はいくら必要?【投信 vol.2】
- 2022/6/5
- 投資信託
1老後資金を考える
『人生100年時代』。日本人の平均寿命は2020年には男性が81.64歳、女性が87.74歳。女性が8年連続、男性が9年連続の更新で、このペースで伸び続ければ100歳を超える人生が当たり前の時代になるのはそう遠くない未来かもしれません。
寿命が延びることはそれだけ人生を彩り豊かにする機会を増やすもので、歓迎すべきことかもしれません。ですが「老後」が長くなるという点では、不安なこともあります。そうです、『お金の問題』です。生きている限りお金が必要なことは言うまでもありませんが、豊かな老後を送ろうと思えば尚更です。
では「お金の問題」に対して私たちができること、すべきことは何でしょうか?一緒に考えていきましょう。
老後資金
▌老後を不安なく過ごすには、どれだけのお金が必要?
総務省の「家計調査報告(2018年)」によると、高齢者世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯)の1ヵ月あたりの消費支出平均額は、26万4,707円となっています。一方で、同世帯の収入平均額は22万2,834円となっています。無職世帯の収入のほとんどは年金などの社会保障給付となります。
これらの支出は食費や光熱費など生活に必要な消費に対する支出の平均額なので、たとえば、年に数回は旅行に行きたい、趣味でカルチャースクールに通いたい、さらには子どもや孫にお年玉やプレゼントをしたいということになると、支出額はこれよりもっと増えることになります。
※総務省「家計調査」(2018年)より作成。
※夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯が対象。
また、収入についても自営業者の場合は会社員に比べて年金額が少なくなりますし、そもそも現在の年金制度が今後もずっと続く保障はありません。特に、人口減少、超高齢化社会が既に始まっている現在の日本を考えれば、今の年金制度が続くと考えるのはあまりに楽観的かもしれません。むしろ、将来的に自分が貰える年金(社会保障給付)は現在の給付金額よりずっと少ないかもしれないと考えるほうが自然かもしれません。
▌豊かな老後を送るために必要な貯蓄額は、いくら?
ここで上記の数値をもとに、65歳で退職して95歳まで生きると仮定した場合、退職するまでにいくらの貯蓄が必要になるか具体的に計算してみましょう。なお、計算を簡便にするため、ここでは毎月の支出額を27万円、収入額を22万円として計算します。
( 22万円 – 27万円 ) × 12ヵ月 × 30年 = ▲1,800万円
上記の計算によれば、リタイアするまでに1,800万円の貯蓄が必要ということになります。ただし、この金額は現在の年金制度が維持されることを前提に計算した最低限必要な貯蓄額ということになります。実際には、年金制度の変更で将来的に年金支給額が減ったり、消費税のさらなる引き上げなどで支出が予想以上に増えることを想定すると、必要な貯蓄額はもっと大きいかもしれません。
そして何よりも、『豊かな老後』を送りたいと考えるなら、最低限必要な1,800万円にプラスαとして200万円くらいの余裕は必要かもしれません。そうなると、リタイアするまでに2,000万円の貯蓄が必要となってきます。これが、最近話題となっている『老後2,000万円問題』と言われるものです。
では、2,000万円あれば大丈夫かと言われると、実際にはこれでもまだまだ不安がなくなることはありません。消費税の増税以外にも物価上昇(インフレ)が起こるかもしれませんし、病気にかかり医療費が予想以上に増えることもあるでしょう。そうなると、豊かな老後を送るためには、やはり2,000万円~3,000万円がリタイアまでに準備しておきたい貯蓄額の目安となってきます。
2豊かな老後のために
これまで見てきたように、人生100年時代を迎えるにあたって、『お金の問題』は避けては通れないものです。私たちに課せられた大きくて重い課題、『老後までに2,000万円』。これを解決するために、私たちが今からすべきことは何でしょうか。
それは、できるだけ早く老後に『備える』ことです。もちろん、老後に必要なお金はすべて公的年金に任せて、貯金ゼロでも大丈夫と思ってる人はいないと思います。ですが、具体的に老後にどれだけのお金が必要で、そのために今から何をすればいいのかまで考え、実際に行動している人は多くはありません。
『備える』という点でいえば、できるだけ『早く』そして『長く』備えた人ほど、より豊かな老後を迎えることができます。10万円余計に貯めれば老後の国内旅行が1回分、100万円で世界旅行といったように、貯蓄額が増えるたびに、あなたの老後が彩より豊かなものになります。
お金を計画的に貯めていくこと、さらには殖やしてくこと行動こそが、『人生100年時代』を豊かに送るために必要不可欠なことではないでしょうか。