デジタルグリッド(350A)のIPO情報と初値予想

 デジタルグリッド(350A)の東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、デジタルグリッドのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『電力および環境価値取引プラットフォーム『DGP(デジタルグリッドプラットフォーム)』の運営、分散型電源のアグリケーションサービスおよび脱炭素関連学習コンテンツの提供』となっています。

会社名デジタルグリッド(350A)
所在地東京都港区赤坂一丁目7番1号
設立日2017年10月16日
従業員数70人
業種電気・ガス業

【企業サイト】
デジタルグリッド公式サイト
https://www.digitalgrid.com/

事業解説
 『DGP』は電気を使う企業が主体的に電力を調達する取引プラットフォームで、電力会社が決めたプランではなく、電気を使う企業が電源や価格、調達方法を決め、それぞれの企業にあったエネルギー調達方法で、理想的なコスト削減や再エネの導入を実現します。DGPでは、人工知能技術の研究開発を手掛ける東京大学と共同開発したAIモデルを活用したアルゴリズム、複雑な需給管理の全自動化とマーケットの知見により市場競争力のある価格でサービスを提供します。

沿革 

デジタルグリッドのトップメッセージ

代表取締役社長CEO 豊田 祐介

 再生可能エネルギーが主役になる時代を支えるためにデジタルグリッドは立ち上がりました。発電量がそのときの天気によって変動する再生可能エネルギー電源を、 デジタル技術により今後のエネルギー供給の主役とし、 人類をエネルギー制約から解放するのが我々のチャレンジです。

(引用:デジタルグリッドHP
2017年10月
デジタルグリッドプラットフォーム㈱(現当社、資本金3百万円)を東京都千代田区に設立
2017年12月
デジタルグリッド㈱に社名変更
2018年3月
環境省実証事業にてP2P電力取引実証事業を実施
2018年5月
環境省実証事業にて「ブロックチェーン技術を活用した再エネCO2排出削減価値創出モデル事業」を実施
2019年12月
DGPを通じて電力取引運営のために必要な許認可(小売電気事業者登録)を経済産業省資源エネルギー庁より取得
2020年2月
需要家主体で電力取引ができるDGPを商用リリース
2020年6月
DGPの特許取得(「電力取引システム、電力取引方法および電力取引プログラム」第6782479号)
2020年12月
DGPを通じたオフサイトPPAサービスの提供開始
2021年4月
DGPを通じた自己託送サービスの提供開始
2021年11月
非化石証書代理調達サービス「エコのはし」をリリース
2022年3月
東京都千代田区から東京都港区へ本社を移転
2022年7月
2022年4月の特定卸供給事業者(アグリゲーター)制度開始に伴い、アグリゲーターライセンスを取得
2022年8月
「Green Purchase Agreement(GPA)」の特許取得(「環境価値取引対価算出装置、環境価値取引対価算出方法および環境価値取引対価算出プログラム」第7266259号)
2022年9月
FIP制度を利用したバーチャルPPAサービス「GPA」をリリース
2023年4月
企業向けの脱炭素教育サービス「GX navi」をリリース
2023年7月
バーチャルPPA特化型マッチングプラットフォーム「RE Bridge」をリリース
2024年8月
蓄電所の開発・保有・運営と、これらに関する出資(共同投資を含む)行うため、デジタルグリッドアセットマネジメント㈱(連結子会社)を設立
2024年12月
蓄電池のアグリゲーションサービス開始

財務データ 

 2024年7月期の事業売上は3,515百万円で、構成比はセグメント別に、電力PF90.1%再エネPF5.3%その他4.6%となっています。

 前期(24.7)は2020年2月に商用運転が開始したDGPの取引量が引き続き堅調に拡大し、前期比で売上は108%増最終は972百万円で着地しました。

 今期(25.7)は主力サービスであるDGPを通じた電力取引の増加に伴い、売上は59%増最終は1,556百万円を見込んでいます。1株利益は256.2円配当は0円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2020/32021/32022/72023/72024/7
売上高1901861,2101,6913,515
経常益△665△362364431,253
最終益△670△37026657972
純資産2729522,5993,2564,228
総資産4811,4653,4455,96311,476
※単位は百万円、25.予から連結決算

▌セグメント別の売上内訳(2024.7)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している電気・ガス業25社の中央値と比較すると、収益力は売上高営業利益率が44%など、かなり高い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、固定比率が16.7%となっており、比較的良好な状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 11,476 百万円売上高 3,515 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 44(μ:2.2 Me:2.7
総資本営業利益率 = 13.5(μ:2.1 Me:1.7
自己資本利益率 = 23(μ:-0.9 Me:4.1
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 155(μ:149.7 Me:147.5
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 16.7(μ:331.9 Me:244.6
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 36.8(μ:32.1 Me:31.9
成長性指標
売上高成長率 = 107.9(μ:20.2 Me:16.5

※カッコ内の数値は電気・ガス業(25社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は7,394千株で、株式保有割合は、その他68.8%経営陣17.7%ベンチャーキャピタル(VC)13.5%となっています。

 VCが一定割合の株式を保有しているため、初値や上場後の株価形成に際し、ロックアップから外れた段階で売り圧力が強まるリスクがあります。また、主要株主にロックアップが入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
㈱東芝11.27%180日
WiL Fund Ⅱ L.P.9.02%180日
豊田 祐介(社長)7.70%180日
三菱商事㈱4.65%
フーバー・インベストメント㈱4.51%180日
㈱FD4.51%180日
近清 拓馬4.24%180日
合同会社OTS3.38%180日
東急不動産㈱3.38%180日
嶋田 剛久3.27%180日
上記以外44.07%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 7,394千株(2025年3月18日現在)

?

17.768.813.5
1,307.7 千株– 千株5,086.7 千株1,000 千株
※新株予約権による潜在株式(1,461千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は13.7%と低く、売出される株式は、主にその他、ベンチャーキャピタル(VC)の株式放出によるものです。初値形成にはややネガティブといえます。公募株式は、主に新規発行になります。

 上場する株式の時価総額は282.6億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の23.9%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は96.0億円で、IPOとしては中大型以上の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。250,000 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。250,000 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。1,851,000 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。1,577,000 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。274,000 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。2,101,000 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
282.6 億円11.4 億円29.513.7
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

17.151.67.423.9
※新株予約権による潜在株式(1,461千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOでは大和証券が主幹事となっており、割当株数の14%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

 また、幹事証券になる楽天マネックス松井も割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
大和証券(主幹事)-%-株
みずほ証券-%-株
SMBC日興証券-%-株
SBI証券-%-株
東海東京証券-%-株
楽天証券-%-株
松井証券-%-株
マネックス証券-%-株
岡三証券-%-株
極東証券-%-株
丸三証券-%-株
水戸証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
CONNECT大和-株
岡三オンライン岡三-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

14%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
13%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
66%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
89%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日3月18日(火)
抽選申込期間4月7日(月)~4月11日(金)
当選発表日4月14日(月)
購入申込期間4月15日(火)~4月18日(金)
上場日4月22日(火)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
3303314142434445
46474849410411412
413414415416417418419
420421422423424425426
427428429430515253

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 電力取引プラットフォーム事業には新規性があり、注目度は高いです。DGP取引の開始以降、売上は急激に伸びており、利益も安定的に確保していることから、成長性及び収益力はかなり評価できます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては中大型案件で、株主に一部VCが入っているもののロックアップは厳しめのため、需給に大きな不安はありません。今期利益予想によるPERは17.8倍と業種平均25.5倍(電力ガス・グロース)と比較してやや割安な水準です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 9.5 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は電気・ガス業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は電気・ガス業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は電気・ガス業(グロース)の単純PER(25.2末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は電気・ガス業(グロース)の単純PBR(25.2末時点)。
96.0 億円107.923.029.15.3
電気・ガス16.54.125.54.0
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格4,570円から+1,430円(+31.3%)高い6,000円と予想します。なお、AI予測値は5,530円となっており、これと同程度の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
6,000円(3/19予想)
+1,430円 / +31.3%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。4,570円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(3/19計算)

AI予測5,530円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+31.3+21.0+18.9+14.7
(想定価格比)(想定価格比)運輸・公共中大型以上

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では24年4月に上場したレジル(176A)の初値騰落率は+0.4%でした。

 今回のIPOと同じ運輸・公共事業関連に分類されるIPOは2007年以降15件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は73.3%、初値騰落率の平均は+18.9%(中央値+11.2%)となっています。

 また、今回と同じ中大型以上のIPOは2016年以降156件で、勝率は51.9%、初値騰落率の平均は+14.7%(中央値+1.3%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
レジル+0.4%64.057.7%21.6%
イーレックス+11.2%51.523.2%23.6%

▌運輸・公共事業のIPO実績
(陸運・海運・空運、電気・ガス事業など)

運輸・公共勝率平均騰落率
15
(2007年以降)
73.3
(11件 / 15件)
+18.9
(Me:+11.2 %)

(2025/3/19 現在)

運輸・公共事業の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
9023 東京メトロ2024/10/23+35.8
176A レジル2024/4/24+0.4
9204 スカイマーク2022/12/14+8.7
9522 RJ2021/12/22-7.6
9145 ビイングHD2020/12/15+47.9

運輸・公共のIPO騰落率分布

▌中大型以上のIPO実績
(中大型以上:供給額50億円以上のIPO)

中大型以上勝率平均騰落率
156
(2016年以降)
51.9
(81件 / 156件)
+14.7
(Me:+1.3 %)

(2025/3/19 現在)

中大型以上の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
325A TENTIAL2025/2/28+30.0
285A キオクシアHD2024/12/18-1.0
299A dely2024/12/19-16.6
290A Syns2024/12/19+53.3
287A 黒田グループ2024/12/17+26.4

中大型以上のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















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