ダイナミックマッププラットフォーム(336A)のIPO情報と初値予想

 ダイナミックマッププラットフォーム(336A)の東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、ダイナミックマッププラットフォームのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『自動運転・先進運転支援システムなどに利用される高精度3次元地図データ(HDマップ)の生成・販売および、HDマップ関連技術を用いた(自動運転以外の)多用途での高精度位置情報・ソリューションの提供』となっています。

会社名ダイナミックマッププラットフォーム(336A)
所在地東京都渋谷区渋谷二丁目12番4号ネクストサイト渋谷ビ
設立日2016年6月13日
従業員数225人
業種情報・通信業
事業解説
 HDマップ日系自動車メーカー10社の要求を満たしつつ、車両システムに必要な「実在地物(標識や区画線のように実在する物)」と「仮想地物(車線リンクのように実在しない物)」を収録。cm級の絶対精度を実現しています。また、高精度3次元点群データは、国内の最先端かつ高度な「計測技術」を用いたモービルマッピングシステムにより、全国の高速道路と自動車専用道路を計測しています。

沿革 

ダイナミックマッププラットフォームのトップメッセージ

代表取締役社長 CEO 吉村 修一

 当社は「デジタル社会のインフラとして高精度位置情報基盤をグローバルに構築し、自動運転をはじめとする新しい未来を拓く」というPurposeのもと事業に取り組んでいます。

(引用:ダイナミックマッププラットフォームHP
2016年6月
HDマップを研究開発する目的で、当社の前身であるダイナミックマップ基盤企画㈱(資本金300百万円)を設立
2017年1月
HDマップのサンプルデータを出荷(国内高速道路及び自動車専用道路の上下線計500km)
2017年6月
HDマップの研究開発を行う実行組織として事業会社化。ダイナミックマップ基盤㈱に社名変更
2017年9月
General Motors Companyのハンズフリー運転支援システムである“Super Cruise ? ”にUshr Inc.(現・連結子会社Dynamic Map Platform North America, Inc.)のHDマップが初採用
2017年10月
公共測量計画機関(注1)の認定を国土交通省より取得
2019年3月
国内高速道路及び自動車専用道路(29,205Km)の整備を完了
2019年4月
北米を中心としてHDマップを開発・整備・販売するUshr Inc.(現・連結子会社 Dynamic Map Platform North America, Inc.)を子会社化
2019年9月
国内で初めてHDマップを搭載した自動車(日産自動車㈱“ProPILOT 2.0”搭載『スカイライン』)の発売が開始され、当社のHDマップが採用
2021年2月
海外事業資金調達を特別目的とする会社としてD2NA合同会社を設立(2023年1月に当社へ吸収合併)
2021年3月
世界初の自動運転レベル3(注2)の運転支援機能を搭載した自動車(本田技研工業㈱”Honda SENSING Elite”搭載『レジェンド』) の発売が開始され、当社のHDマップが採用
2021年12月
欧州地域事業の統括を目的とするDMP Europe GmbH(現・連結子会社 Dynamic Map Platform Europe,GmbH)を設立
2022年4月
日産自動車㈱“ProPILOT 2.0”搭載『アリア』に当社HDマップが採用
2022年10月
Dynamic Map Platform Korea, LLC、また㈱三菱UFJ銀行との合弁会社として㈱DMP Axyz(現・連結子会社 ダイナミックマッププラットフォームAxyz㈱)を設立
2023年2月
ダイナミックマッププラットフォーム㈱に社名変更、また本社を東京都渋谷区に移転
2023年7月
中東地域における自動走行用高精度3次元道路地図の開発を目的としてDynamic Map Platform Arabia Limitedを設立
2023年10月
アラブ首長国連邦における自動走行用高精度3次元道路地図の開発を目的としてDYNAMIC MAP PLATFORM DATA-L.L.Cを設立
2023年11月
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2023年度「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業(実証要件適合性等調査)」に採択
2023年12月
内閣府の「研究開発成果とSociety 5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)」の施策の一つである経済産業省による「標準活用加速化支援事業(高精度3次元地図データに関する国際標準化)」の事業を受託
2024年1月
内閣府の課題解決プログラム「BRIDGE」の研究開発事業を受託
2024年7月
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業/デジタルライフラインの先行実装に資する基盤に関する研究開発」における「自動運転支援道」事業の実施予定先として採択

財務データ 

 2024年3月期の事業売上は56億円で、構成比は地域別に、国内30.4%海外69.6%となっています。

 前期(24.3)は車載搭載台数が増加した他、空間情報を一意に特定するプロジェクト等に参画し、車載向け以外の案件も取り込んだ一方で、受注案件の費用計上・先行投資実施等により、前期比で売上は51%増最終は△40億円で着地しました。

 今期(25.3)は海外でのHDマップの車載搭載台数が増加しており、3Q累計は売上は前期並みで推移しています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2020/32021/32022/32023/32024/3
売上高5663756
経常益△18△16△18△35△25
最終益△18△16△198△41△40
純資産203190288849
総資産22122887185142
※単位は億円、23.3から連結決算

▌地域別の売上内訳(2024.3)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している情報・通信業595社と比較すると、まず、収益力については赤字決算のため、現状では比較することができません。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、固定比率が29.2%となっており、平均的な状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 142 億円売上高 56 億円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = -45.9(μ:6.5 Me:8.3
総資本営業利益率 = -17.9(μ:7.1 Me:8.1
自己資本利益率 = -81.6(μ:2.1 Me:9.6
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 257.3(μ:347.4 Me:271.4
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 29.2(μ:69.4 Me:39.4
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 34.1(μ:60.5 Me:64.3
成長性指標
売上高成長率 = 51.4(μ:12.3 Me:8.4

※カッコ内の数値は情報・通信業(595社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は21,623千株で、株式保有割合は、その他85.4%ベンチャーキャピタル(VC)8.7%経営陣5.9%となっています。

 VCが一定割合の株式を保有しているため、初値や上場後の株価形成に際し、ロックアップから外れた段階で売り圧力が強まるリスクがあります。また、主要株主にロックアップが入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
㈱INCJ40.88%90日/3倍
㈱海外交通・都市開発事業支援機構16.09%90日/1.5倍
三菱電機㈱7.21%180日
三菱HCキャピタル㈱4.62%90日/1.5倍
三井物産㈱3.29%90日/1.5倍
吉村 修一(社長)2.64%180日
SBI4&5LPS2.35%90日/1.5倍
㈱ゼンリン2.22%180日
㈱パスコ2.22%180日
アイサンテクノロジー㈱1.85%180日
上記以外16.63%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 21,623千株(2025年2月19日現在)

?

5.985.48.7
1,278.6 千株– 千株18,468.1 千株1,876 千株
※新株予約権による潜在株式(2,807.8千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は93.1%と高く、公募株式は、主に新規発行になります。初値形成にはややポジティブといえます。売出し分は、主にその他の株式放出によるものです。

 上場する株式の時価総額は261.7億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の18.0%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は60.6億円で、IPOとしては中大型以上の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。4,344,000 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。4,344,000 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。1,019,700 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。320,100 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。699,600 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。5,363,700 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
261.7 億円49.1 億円20.193.1
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

4.969.97.218.0
※新株予約権による潜在株式(2,807.8千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOではSMBC日興証券が主幹事となっており、割当株数の10%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

 また、幹事証券になる楽天マネックス松井も割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
SMBC日興証券(主幹事)-%-株
大和証券-%-株
みずほ証券-%-株
SBI証券-%-株
野村證券-%-株
岩井コスモ証券-%-株
マネックス証券-%-株
楽天証券-%-株
松井証券-%-株
岡三証券-%-株
あかつき証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
CONNECT大和-株
岡三オンライン岡三-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

10%
個人-本
抽選
裁量
18%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
9%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
89%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日2月19日(水)
抽選申込期間3月11日(火)~3月17日(月)
当選発表日3月18日(火)
購入申込期間3月19日(水)~3月25日(火)
上場日3月27日(木)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
32333435363738
39310311312313314315
316317318319320321322
323324325326327328329
3303314142434445

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 高精度3次元データ事業は、自動運転/先進運転支援システムやデジタルマップに活用が見込まれ、注目度は非常に高いといえます。現状、売上の伸びは小幅ながらも、高精度3次元データの将来的な潜在需要は強く、成長性は期待できます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては中大型案件で、株主にVCが多く入っているもののロックアップは入っており、需給に大きな不安はありません。なお、筆頭株主のINCJ(政府系投資会社)は、2025年3月末までを同社の活動期間としているため、活動期間終了に伴う保有株式の全部又は一部が短期間で売却される場合、上場後に強い売り圧力が生じる可能性があります。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 7.0 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は情報・通信業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は情報・通信業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は情報・通信業(グロース)の単純PER(25.1末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は情報・通信業(グロース)の単純PBR(25.1末時点)。
60.6 億円51.4-81.62.8
情報・通信8.49.672.23.6
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格1,130円から+270円(+23.9%)高い1,400円と予想します。なお、AI予測値は1,755円となっており、これより低い弱気の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
1,400円(2/21予想)
+270円 / +23.9%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。1,130円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(2/21計算)

AI予測1,755円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+23.9+55.3+78.0+14.6
(想定価格比)(想定価格比)情報・通信中大型以上

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では23年4月に上場したジェノバ(5570)の初値騰落率は+348.1%でした。

 今回のIPOと同じ情報・通信業(その他)関連に分類されるIPOは2007年以降64件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は82.8%、初値騰落率の平均は+78.0%(中央値+50.9%)となっています。

 また、今回と同じ中大型以上のIPOは2016年以降155件で、勝率は51.6%、初値騰落率の平均は+14.6%(中央値+1.1%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
ジェノバ+348.1%4.110.5%18.0%

▌情報・通信業(その他)のIPO実績
(情報・通信業のうち他に分類されないもの)

情報・通信勝率平均騰落率
64
(2007年以降)
82.8
(53件 / 64件)
+78.0
(Me:+50.9 %)

(2025/2/21 現在)

情報・通信業(その他)の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
290A Syns2024/12/19+53.3
281A インフォメティス2024/12/9-8.1
248A キッズスター2024/9/26-13.7
184A 学びエイド2024/5/28+32.2
148A ハッチ・ワーク2024/3/26+30.3

情報・通信のIPO騰落率分布

▌中大型以上のIPO実績
(中大型以上:供給額50億円以上のIPO)

中大型以上勝率平均騰落率
155
(2016年以降)
51.6
(80件 / 155件)
+14.6
(Me:+1.1 %)

(2025/2/21 現在)

中大型以上の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
285A キオクシアHD2024/12/18-1.0
299A dely2024/12/19-16.6
290A Syns2024/12/19+53.3
287A 黒田グループ2024/12/17+26.4
286A ユカリア2024/12/12-8.0

中大型以上のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報
















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