テクセンドフォトマスク(429A)のIPO情報と初値予想【仮条件決定】

 テクセンドフォトマスク(429A)東証プライムへの新規上場が承認されました。ここでは、テクセンドフォトマスクのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『フォトマスクの製造・販売』となっています。

会社名テクセンドフォトマスク(429A)
所在地東京都港区東新橋一丁目5番2号
設立日2021年12月13日
従業員数1,899人
業種その他製品

【企業サイト】
テクセンドフォトマスク公式サイト
https://www.photomask.com/

事業解説
 フォトマスクは、表面の遮光膜にごく微細な回路パターンをエッチングした透明なガラス板できており、半導体製造工程において回路をシリコンウェハに焼き付ける際に用いられる原版として重要な役割を果たしています。フォトマスク市場は内作(自社生産)市場と外販市場に分けられ、外販市場でシェアNo.1(38.9%)を獲得しています。

沿革 

テクセンドフォトマスクのトップメッセージ

代表取締役社長執行役員 CEO 二ノ宮 照雄

 2024年11月1日をもって、私たちは「㈱トッパンフォトマスク」から「テクセンドフォトマスク㈱」へと社名を変更いたしました。120年以上の歴史を持つTOPPANグループの一員として、これからも半導体産業の発展と成長に貢献してまいります。

(引用:テクセンドフォトマスクHP
1961年ー月
シリコントランジスタ製造用フォトマスクの試作成功
1968年3月
朝霞工場精密部品棟にクリーンルームが完成 シリコントランジスタマスクの量産を開始
1970年9月
滋賀精密工場竣工
1974年12月
朝霞精密電子第一工場を竣工 最新鋭設備と高性能クリーンルームを完備
1986年2月
朝霞精密電子第二工場を竣工
1997年3月
中華映管股?有限公司、揚博科技股分有限公司と合弁で、中華凸版電子股?有限公司(現:中華科盛德光罩股?有限公司)を設立
1998年8月
滋賀工場でフォトマスク新棟が竣工
2003年2月
朝霞第三工場竣工
2005年4月
DuPont Photomasks, Inc. の 株 式 取 得 に 関 す る 手 続 き 完 了 。 Toppan Photomasks, Inc.( 現 :Tekscend Photomask US Inc.)が始動
2014年5月
中国科学院上海微系統与信息技術研究所が保有する上海凸版光掩模有限公司(現:上海徐匯科盛徳半導体有限公司)の持分28.5%を買取り、完全子会社化
2015年3月
中華映管股?有限公司が保有する中華凸版電子股?有限公司(現:中華科盛德光罩股?有限公司)の株式を取得し、子会社化
2015年4月
上海凸版光掩模有限公司が新工場を建設 製造ラインを拡充しフォトマスクの生産能力を増強
2019年8月
Toppan Photomasks Round Rock, Inc.(現:Tekscend Photomask Round Rock Inc.)を設立 GlobalFoundriesの内製マスクライン生産設備を購入、移設し、米国内のGlobalFoundriesウェハ工場向けにフォトマスクを供給
2022年4月
㈱トッパンフォトマスク(現:テクセンドフォトマスク㈱)が凸版印刷㈱よりフォトマスク事業を承継 当社株式の49.9%を凸版印刷㈱からインテグラルグループが取得
2023年7月
本社を汐留シティセンターに移転
2024年11月
商号をテクセンドフォトマスク㈱に変更

財務データ 

 2025年3月期の事業売上は1,180億円で、構成比は地域別に、日本6.9%中国29.2%台湾16%米国17.3%その他30.6%、となっています。

 前期(25.3)は台湾・米国・欧州等のフォトマスク需要が盛り上がりを見せるなど堅調に推移した一方で、海外現地法人の繰延税金資産取り崩しに伴う多額の税金が発生し、前期比で売上は10%増最終は99億円で着地しました。

 今期(26.3)はフォトマスク市場の回復・成長基調が継続する一方で、中国で当局の支援を受けた現地フォトマスクサプライヤーとの価格競争が激化し、収益率の悪化を見込んでおり、売上は6%増最終は189億円を見込んでいます。1株利益は197.65円配当は54.39円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期-/--/-2023/32024/32025/3
売上高1,0081,0711,180
経常益294229308
最終益22216199
純資産1,1061,3771,164
総資産1,5801,8991,678
※単位は億円、23.3から連結決算

▌地域別の売上内訳(2025.3)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場しているその他製品111社の中央値と比較すると、収益力は売上高営業利益率が23.9%など、かなり高い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、自己資本比率が69.2%となっており、平均的な状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 1,678 億円売上高 1,180 億円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 23.9(μ:5.7 Me:4.8
総資本営業利益率 = 16.8(μ:5.7 Me:4.5
自己資本利益率 = 8.5(μ:6 Me:6
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 192.4(μ:290 Me:219.9
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 89.1(μ:79.5 Me:67.6
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 69.2(μ:59.3 Me:58.9
成長性指標
売上高成長率 = 10.2(μ:5.5 Me:4.3

※カッコ内の数値はその他製品(111社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は97,416千株で、株式保有割合は、ベンチャーキャピタル(VC)50.1%関係会社47.5%その他1.7%経営陣0.7%となっています。

 VCが一定割合の株式を保有しているため、初値や上場後の株価形成に際し、ロックアップから外れた段階で売り圧力が強まるリスクがあります。また、主要株主にロックアップが厳しめに入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
TOPPANホールディングス㈱47.46%180日
Iceインテグラル2LPS21.01%180日
Infinity Gamma Ice L.P.8.50%180日
Initiative Delta Ice L.P.7.36%180日
Insight Beta Ice L.P.6.68%180日
Innovation Alpha Ice L.P.5.65%180日
Iceインテグラル1LPS0.92%180日
二ノ宮 照雄(社長)0.15%180日
Michael G. Hadsell0.09%180日
糸雅 誠一0.05%180日
上記以外2.13%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 97,416千株(2025年9月22日現在)

?

0.747.51.750.1
639 千株46,237.9 千株1,699.5 千株48,839.8 千株
※新株予約権による潜在株式(5,125千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は17.7%と低く、売出される株式は、主にベンチャーキャピタル(VC)の株式放出によるものです。初値形成にはややネガティブといえます。公募株式は、主に新規発行になります。

 上場する株式の時価総額は2,869.5億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の37.9%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は1,317億円で、IPOとしては中大型以上の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。7,000,000 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。7,000,000 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。38,552,600 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。32,611,000 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。5,941,600 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。45,552,600 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
2,869.5 億円202.3 億円39.917.7
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

0.644.31.615.537.9
※新株予約権による潜在株式(5,125千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOではSMBC日興証券が主幹事となっており、割当株数の10%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
SMBC日興証券(主幹事)-%-株
野村證券-%-株
三菱UFJMS証券-%-株
MSMUFG証券-%-株
BofA証券-%-株
みずほ証券-%-株
大和証券-%-株
SBI証券-%-株
マネックス証券-%-株
松井証券-%-株
岡三証券-%-株
岩井コスモ証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
auカブコム証券三菱-株
CONNECT大和-株
岡三オンライン岡三-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

10%
個人-本
抽選
裁量
9%
個人-本
抽選
裁量
9%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
18%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
89%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日9月22日(月)
抽選申込期間9月30日(火)~10月6日(月)
当選発表日10月8日(水)
購入申込期間10月9日(木)~10月14日(火)
上場日10月16日(木)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
921922923924925926927
928929930101102103104
10510610710810910101011
1012101310141015101610171018
1019102010211022102310241025

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 フォトマスクの製造・販売に特段の新規性はなく、注目度は低いです。半導体関連事業は景気に左右されやすく、特に売上シェアの高い中国の先行きが不透明なのがやや気掛かりです。ただ、売上は緩やかに回復傾向にあり、利益も安定的に確保していることから、事業の安定度は高いといえます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては超大型案件で、株主にはVCが複数入っており、ロックアップは厳しめに入っているものの、募集株数は多く、価格水準も高いことから、需給は緩くなりやすいです。今期利益予想によるPERは14.6倍と業種平均17.5倍(その他製品・プライム)と比較してやや割安で、配当利回りは1.9%となっています。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格割れの可能性もあるため、リスクを回避したい人はIPO抽選に『不参加』とすることも選択肢になります。

期待度評価点
 6.0 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段はその他製品(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段はその他製品(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段はその他製品(プライム)の単純PER(25.8末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段はその他製品(プライム)の単純PBR(25.8末時点)。
1,317 億円10.28.528.82.1
その他製品4.36.017.51.4
※実績値で計算、下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格2,890円から+110円(+3.8%)高い3,000円と予想します。なお、AI予測値は3,105円となっており、これと同程度の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
3,000円(9/23予想)
+110円 / +3.8%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。2,890円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。2,900円 ~ 3,000円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。未発表
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
/

▌AIの予測値(9/23更新)

AI予測3,105円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+3.8+7.4+33.5+15.2
(想定価格比)(想定価格比)製造・機械中大型以上

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では23年9月に上場したジェイ・イー・ティ(6228)の初値騰落率は-4.5%でした。

 今回のIPOと同じ製造・機械関連関連に分類されるIPOは2007年以降109件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は63.3%、初値騰落率の平均は+33.5%(中央値+7.7%)となっています。

 また、今回と同じ中大型以上のIPOは2016年以降163件で、勝率は53.4%、初値騰落率の平均は+15.2%(中央値+1.5%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
ジェイ・イー・ティ-4.5%74.521.0%14.4%
オプトラン+66.8%120.9-2.5%13.8%

▌製造・機械関連のIPO実績
(機械、電気機器、その他製品など)

製造・機械勝率平均騰落率
109
(2007年以降)
63.3
(69件 / 109件)
+33.5
(Me:+7.7 %)

(2025/9/23 現在)

製造・機械関連の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
402A アクセルスペース2025/8/13+100.3
368A 北里コーポ2025/6/25+49.3
7790 バルコス2025/2/3+0.1
285A キオクシアHD2024/12/18-1.0
278A テラドローン2024/11/29-8.0

製造・機械のIPO騰落率分布

▌中大型以上のIPO実績
(中大型以上:供給額50億円以上のIPO)

中大型以上勝率平均騰落率
163
(2016年以降)
53.4
(87件 / 163件)
+15.2
(Me:+1.5 %)

(2025/9/23 現在)

中大型以上の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
402A アクセルスペース2025/8/13+100.3
368A 北里コーポ2025/6/25+49.3
367A プリモGHD2025/6/24-6.4
350A デジタルグリッド2025/4/22+17.5
339A プログレス2025/3/28+1.5

中大型以上のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















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