パワーエックス(485A)のIPO情報と初値予想

 パワーエックス(485A)東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、パワーエックスのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『大型蓄電池の製造・販売、EVチャージステーションのサービス展開、船舶用蓄電システムの開発・製造、再生可能エネルギー等の電力供給』となっています。

会社名パワーエックス(485A)
所在地岡山県玉野市田井六丁目9番1号
設立日2021年3月22日
従業員数180人
業種電気機器

【企業サイト】
パワーエックス公式サイト
https://power-x.jp/

事業解説
 主力のBESS事業では、主に大型定置用蓄電池「PowerX Mega Power」、中型定置用蓄電池「PowerX Cube」の販売を行っており、特に「PowerX Cube」は設置面積が小さく、工場やビルなどに設置された太陽光発電の余剰発電量を蓄電池に蓄えることで、夜間電力などに活用することができます。また、EVCS事業では、公共充電における短時間充電が可能な超急速充電設備(100kWh以上)の不足を解決するための製品を販売しています。
パワーエックスの事業説明
(画像:パワーエックスHP

沿革 

パワーエックスのトップメッセージ

取締役 代表執行役社長 CEO 伊藤 正裕

 日本のエネルギー自給率はわずか12.6%と低く、海外への依存が続いています。自給率を高めるには国産エネルギーの拡大と、それを支える蓄電池が欠かせません。私たちは蓄電池の普及と、電力の安定供給を支える技術を通じて、持続可能な未来の実現を目指しています。

(引用:パワーエックスHP
2021年3月
自然エネルギーの普及、蓄電・送電技術の進化のため新規事業を展開することを目的として、東京都港区虎ノ門一丁目10番5号KDX虎ノ門一丁目ビルに㈱パワーエックスを設立
2022年6月
本社を東京都港区赤坂九丁目7番1号ミッドタウン・タワー43階に移転
2022年8月
蓄電池型急速EV充電システム「PowerX Hypercharger」と大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」の受注開始
2022年10月
国内最速級のEVユーザー向け充電サービス「PowerX Charge Station」を発表・開始
2023年4月
蓄電池製品及びその関連製品の製造を目的として、岡山県玉野市に完全子会社となる㈱PowerX Manufacturingを新設分割により設立
2023年5月
高圧受電不要で、簡単導入と低コスト運用を実現した商用EV向け充電システム「PowerX Hypercharger for Fleet」の受注を開始
2023年6月
岡山県玉野市に蓄電池製造工場「Power Base」を建設
2023年7月
「PowerX Hypercharger」が国際標準規格CHADeMOの最新プロトコルであるCHAdeMO 2.0.1の認証取得
2023年11月
電力小売の新サービス「X-PPA」を発表
2024年2月
電気運搬船の開発・販売及び海上電力輸送関連事業の企画運営を目的として、完全子会社㈱海上パワーグリッドを設立
2024年2月
産業用の中型定置用蓄電システム「PowerX Cube」と蓄電池から設置施設にも給電可能な蓄電池型急速EV充電システム「PowerX Hypercharger Pro」を発表、受注開始
2024年9月
定置用蓄電システムの新製品2機種「PowerX Mega Power 2700L」及び「PowerX Mega Power 2500」を発表、受注開始
2024年10月
環境省より産業廃棄物の広域認定を取得
2024年11月
EVCS(EV Charge Station)事業において、安価な従量制充電料金や最大75分の利用時間等の特長を備えた会費制の新サービス「PowerX First」の提供を開始
2025年1月
「PowerX Cube」の販売・施工を担う認定販売施工会社制度を開始
2025年2月
「PowerX Hypercharger Pro」の販売・施工を担う認定販売事業パートナー制度を公表
2025年2月
EVCS事業において、社用車向け急速EV充電法人プラン「PowerX EV充電法人プラン」の提供を開始
2025年6月
登記上の本社所在地を岡山県玉野市田井六丁目9番1号に移転
2025年10月
「PowerX Mega Power 2700A」及び「PowerX Mega Power 2500」について、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が定めるIoT製品向けセキュリティ制度「JC-STAR」の適合ラベル(レベル1)を取得

財務データ 

 2024年12月期の事業売上は6,161百万円で、構成比は製品別に、定置用蓄電池68.2%EV急速充電器28.2%その他3.6%となっています。

 前期(24.12)は国や地方自治体の補助金施策などを背景に、大型定置用蓄電システムやカーディーラー向けに蓄電池型急速EV充電システムの納品が進んだ一方で、水冷モジュール製造設備の減損損失など特別損失2,300百万円を計上したことから、前期比で売上は1784%増最終は△8,013百万円で着地しました。

 今期(25.12)は大型の定置用蓄電システムの需要高まりを背景に、主に「PowerX Mega Power」の納品が順調に推移しており、売上は207%増最終は△1,790百万円を見込んでいます。1株利益は-55.87円配当は0円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期-/-2021/122022/122023/122024/12
売上高003276,161
経常益△272△2,004△5,737△5,702
最終益△272△2,255△6,166△8,013
純資産1,3875,9675,2441,670
総資産1,5017,8848,49910,830
※単位は百万円、23.12から連結決算

▌製品別の売上内訳(2024.12)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している電気機器237社と比較すると、まず、収益力については赤字決算のため、現状では比較することができません。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、固定比率が275.7%となっており、かなり厳しい状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 10,830 百万円売上高 6,161 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = -80.2(μ:5.5 Me:6.5
総資本営業利益率 = -45.6(μ:4 Me:5.1
自己資本利益率 = -479.8(μ:1.1 Me:7
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 112.2(μ:336.7 Me:253.3
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 275.7(μ:65.6 Me:56.9
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 15.4(μ:60.1 Me:60.7
成長性指標
売上高成長率 = 1784.1(μ:4.4 Me:4.2

※カッコ内の数値は電気機器(237社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は38,387千株で、株式保有割合は、その他60.3%経営陣35.1%ベンチャーキャピタル(VC)4.7%となっています。

 VCが一定割合の株式を保有しているため、初値や上場後の株価形成に際し、ロックアップから外れた段階で売り圧力が強まるリスクがあります。また、主要株主にロックアップが入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
㈱FAROUT12.95%180日
アキュメン㈱12.91%180日
伊藤 正裕(社長)8.85%継続所有
今治造船㈱5.69%180日
日本瓦斯㈱2.97%180日
日本郵船㈱2.39%180日
伊藤忠商事㈱2.34%180日
FRONTIVE X LIMITED2.29%180日
㈱三菱UFJ銀行2.23%継続所有
Spiral Capital Japan Fund2号LPS2.01%180日
上記以外45.37%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 38,387千株(2025年11月21日現在)

?

35.160.34.7
13,464 千株– 千株23,135 千株1,788 千株
※新株予約権による潜在株式(6,255千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は49.7%で、公募株式は、主に新規発行になります。初値形成にはニュートラルです。売出し分は、主にその他(出資企業等)の株式放出によるものです。

 上場する株式の時価総額は435.6億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の19.7%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は115.8億円で、IPOとしては中大型以上の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。4,166,700 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。4,166,700 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。5,479,800 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。4,221,600 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。1,258,200 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。9,646,500 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
435.6 億円50 億円23.149.7
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

29.946.44.019.7
※新株予約権による潜在株式(6,255千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOでは三菱UFJMS証券が主幹事となっており、割当株数の7%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

 また、幹事証券になるマネックス松井も割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
三菱UFJMS証券(主幹事)-%-株
MSMUFG証券-%-株
SMBC日興証券-%-株
野村證券-%-株
みずほ証券-%-株
SBI証券-%-株
マネックス証券-%-株
松井証券-%-株
中銀証券-%-株
岡三証券-%-株
岩井コスモ証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
auカブコム証券三菱-株
岡三オンライン岡三-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

7%
個人-本
抽選
裁量
13%
個人-本
抽選
裁量
9%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
89%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日11月21日(金)
抽選申込期間12月3日(水)~12月9日(火)
当選発表日12月10日(水)
購入申込期間12月11日(木)~12月16日(火)
上場日12月19日(金)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
1123112411251126112711281129
1130121122123124125126
1271281291210121112121213
1214121512161217121812191220
1221122212231224122512261227

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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Rating
IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 大型蓄電池の製造・販売に特段の新規性はないものの、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの普及拡大に伴い、電力安定化に不可欠な調整力に対する需要は増加しており、国内の大型蓄電池市場も拡大していることから、注目度は高いです。ここ数年で売上は急激に拡大しており、今期の損失も大幅に縮小見込みであることから、今回のIPO資金で工場を増設することで、早期の黒字転換も十分に期待できます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては大型案件で、既存株主の経営陣や出資企業にはロックアップが厳しめに入っているものの、募集株式がかなり多いため、需給はやや緩めです。また、公募比率が低いのはマイナス材料です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 6.0 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は電気機器(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は電気機器(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は電気機器(グロース)の単純PER(25.10末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は電気機器(グロース)の単純PBR(25.10末時点)。
115.8 億円1,784.1-479.87.0
電気機器4.27.02.8
※実績値で計算、下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格1,200円から+200円(+16.7%)高い1,400円と予想します。なお、AI予測値は1,686円となっており、これより低い弱気の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
1,400円(11/24予想)
+200円 / +16.7%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。1,200円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(11/24計算)

AI予測1,686円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+16.7+40.5+33.4+15.6
(想定価格比)(想定価格比)製造・機械中大型以上

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では14年3月に上場した日立マクセル(6810)の初値騰落率は-4.8%でした。

 今回のIPOと同じ製造・機械関連関連に分類されるIPOは2007年以降110件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は63.6%、初値騰落率の平均は+33.4%(中央値+8.3%)となっています。

 また、今回と同じ中大型以上のIPOは2016年以降170件で、勝率は54.1%、初値騰落率の平均は+15.6%(中央値+1.8%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
日立マクセル-4.8%765.9-9.4%0.4%
ダブル・スコープ-8.0%81.635.5%9.5%

▌製造・機械関連のIPO実績
(機械、電気機器、その他製品など)

製造・機械勝率平均騰落率
110
(2007年以降)
63.6
(70件 / 110件)
+33.4
(Me:+8.3 %)

(2025/11/24 現在)

製造・機械関連の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
429A テクセンド2025/10/16+19.0
402A アクセルスペース2025/8/13+100.3
368A 北里コーポ2025/6/25+49.3
7790 バルコス2025/2/3+0.1
285A キオクシアHD2024/12/18-1.0

製造・機械のIPO騰落率分布

▌中大型以上のIPO実績
(中大型以上:供給額50億円以上のIPO)

中大型以上勝率平均騰落率
170
(2016年以降)
54.1
(92件 / 170件)
+15.6
(Me:+1.8 %)

(2025/11/24 現在)

中大型以上の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
446A ノースサンド2025/11/21+7.1
429A テクセンド2025/10/16+19.0
438A インフキュリオン2025/10/24-7.1
431A ユーソナー2025/10/17+17.5
414A オーバーラップ2025/10/3-7.1

中大型以上のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報















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