ZenmuTech[ゼンムテック](338A)のIPO情報と初値予想

 ZenmuTech[ゼンムテック](338A)の東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、ZenmuTech[ゼンムテック]のIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『暗号技術の応用である秘密分散技術を利用したセキュリティソリューション、および、秘密計算ソリューションの開発・販売』となっています。

会社名ZenmuTech[ゼンムテック](338A)
所在地東京都中央区銀座八丁目17番5号
設立日2014年3月4日
従業員数35人
業種情報・通信業

【企業サイト】
ZenmuTech[ゼンムテック]公式サイト
https://zenmutech.com/

事業解説
 自社開発の秘密分散技術「ZENMU-AONT」は、「データ自体を無意味なものとして扱う」という新しい発想のセキュリティであり、データを暗号化したうえで複数の意味のないデータに変換・分散することで、暗号鍵やパスワードによる管理を必要とすることなく、データを守ることを実現しています。データサイズは最小で32バイトで、ネットワークやストレージに大きな負荷をかけることがなく、分散処理や復元処理の高速化が可能になります。

沿革 

ZenmuTech[ゼンムテック]のトップメッセージ

代表取締役社長 CEO 田口 善一

 情報は盗まれるものです。人間は過ちを犯す生き物です。それを防ごうとするので、大変になります。当社のテクノロジーは、今までのものとは真逆のテクノロジーであり、セキュリティを根幹から変えるものとして情報の盗難および漏洩は無くなります。

(引用:ZenmuTech[ゼンムテック]HP
2014年3月
東京都渋谷区において「シンクライアント用仮想USBデバイス統合管理ソフト VUMS」(2018年をもって新規販売を終了)、シンクライアント用「Windows Embedded OSのカスタマイズ」、「シンクライアント基盤最適化コンサルティング」の3つを事業の中核とし、㈱シンクライアント・ソリューション総合研究所設立
2014年6月
東京都渋谷区においてVUMSの特許権管理など知財ビジネスを目的に当社創業者である田口善一および岡積正夫の出資により㈱ICT・パテント・マネンジメントを設立
2015年2月
略称として認知されてきた「TCSI」に正式名称を統一するため、㈱TCSIへ社名変更
2015年8月
秘密分散技術を利用したPC向け情報漏洩対策ソリューション「PASERI for PC」のサービス提供開始
2016年1月
㈱ICT・パテント・マネジメントを当社が吸収合併
2016年4月
東京都品川区に本社を移転
2017年1月
当社事業の認知度向上と企業ブランドの確立を図るため、秘密分散ソリューションの名称を「PASERI」から「ZENMU」へ変更するともに㈱ZenmuTechへ商号変更
2018年4月
国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産業技術総合研究所という。)と、「秘密分散技術ZENMU-AONTに関する安全性評価」に関する共同研究開始以後、戦略的創造研究推進事業チーム型研究「CREST」において「(プライバシー保護データ解析技術の社会実装」に関する協業(2019年4月~2022年3月)及び、AIP加速課題(秘密計算による安全な組織間データ連携技術の社会実装)での協業を2022年4月より実施2023年10月より共同研究契約の当事者を産業技術総合研究所子会社である㈱AISTSolutionsに変更して本書提出日現在まで継続中
2018年4月
秘密分散処理ソフトウエア開発キット「ZENMU Engine」のサービス提供開始
2018年11月
内閣府科学技術・イノベーション推進事務局による戦略的イノベーション創造プログラムにおいて、「「光・量子を活用したSociety5.0実現化技術」の研究課題の一つである「量子暗号技術と量子セキュアクラウド技術に関する研究開発」に共同研究機関として参加(2023年2月プロジェクト終了)
2019年6月
PC向け情報漏洩対策ソリューション「ZENMU Virtual Desktop」のサービス提供開始
2020年3月
東京都中央区銀座に本社を移転
2021年2月
データを秘匿したまま演算処理を実行することのできる秘密計算ソリューション「QueryAhead」の提供開始
2021年11月
「ZENMU Virtual Desktop」の利便性をさらに高めたPC向け情報漏洩対策ソリューション「ZENMU Virtual Drive Enterprise Edition」のサービス提供開始
2023年8月
㈱AIST Solutionsから、AISolスタートアップとして認定

財務データ 

 2023年12月期の事業売上は441百万円で、構成比は地域別に、秘密分散85.5%秘密計算11.3%その他3.2%となっています。

 前期(23.12)は大手協同組合から大型受注が成約になったことで、前期比で売上は90%増最終は73百万円で着地しました。

 今期(24.12)は主にZVDのライセンス数増加により、売上は93%増最終は159百万円を見込んでいます。1株利益は126.65円配当は0円予想としています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2019/122020/122021/122022/122023/12
売上高13591209232441
経常益△105△118△50△11357
最終益△115△121△50△11573
純資産38△84△40△156157
総資産325199218129577
※単位は百万円、単体決算

▌地域別の売上内訳(2023.12)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している情報・通信業595社の中央値と比較すると、収益力は自己資本利益率 が46.5%など、やや高い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、流動比率が133.3%となっており、やや厳しい状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 577 百万円売上高 441 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 10.7(μ:6.5 Me:8.3
総資本営業利益率 = 8.1(μ:7.1 Me:8.1
自己資本利益率 = 46.5(μ:2.1 Me:9.6
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 133.3(μ:347.4 Me:271.4
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 26.3(μ:69.4 Me:39.4
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 27.2(μ:60.5 Me:64.3
成長性指標
売上高成長率 = 90.1(μ:12.3 Me:8.4

※カッコ内の数値は情報・通信業(595社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は1,189千株で、株式保有割合は、その他65.5%ベンチャーキャピタル(VC)17.4%経営陣17.1%となっています。

 VCが一定割合の株式を保有しているため、初値や上場後の株価形成に際し、ロックアップから外れた段階で売り圧力が強まるリスクがあります。また、主要株主にロックアップが入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
岡積 正夫12.21%180日
セグエグループ㈱10.06%180日
田口 善一(社長)7.06%180日
四国電力㈱5.48%180日
㈱Win45.34%180日
㈱テクノスジャパン5.17%180日
TNPスレッズオブライトLPS4.49%90日/1.5倍
松倉 泉3.71%180日
北陸電力ビジネス・インベストメント合同会社3.68%180日
ミツイワ㈱3.36%180日
上記以外39.44%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 1,189千株(2025年2月21日現在)

?

17.165.517.4
203.6 千株– 千株779.2 千株206.4 千株
※新株予約権による潜在株式(116.4千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は83.3%と高く、公募株式は、主に新規発行になります。初値形成にはややポジティブといえます。売出し分は、主にその他の株式放出によるものです。

 上場する株式の時価総額は19.3億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の20.2%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は4.9億円で、IPOとしては超小型の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。240,000 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。240,000 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。91,200 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。48,000 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。43,200 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。331,200 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
19.3 億円3.5 億円21.983.3
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

14.251.214.420.2
※新株予約権による潜在株式(116.4千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOでは岡三証券が主幹事となっており、割当株数の58%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

 また、幹事証券になるマネックス松井も割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
岡三証券(主幹事)-%-株
SBI証券-%-株
松井証券-%-株
アイザワ証券-%-株
岩井コスモ証券-%-株
マネックス証券-%-株
むさし証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
岡三オンライン岡三-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

58%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日2月21日(金)
抽選申込期間3月10日(月)~3月14日(金)
当選発表日3月17日(月)
購入申込期間3月18日(火)~3月24日(月)
上場日3月27日(木)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
32333435363738
39310311312313314315
316317318319320321322
323324325326327328329
3303314142434445

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 情報セキュリティ関連のIPOは比較的人気が集まりやすく、「秘密分散技術」という新しい発想の情報セキュリティには新規性もあり、注目度は高いといえます。今期(24.12)は売上・利益ともに前期比で倍増予想で、成長性及び収益力は期待十分です。

▌需給・価格評価

 IPOとしては超小型案件で、株主にVCが入っているものの主要株主のロックアップは厳しめで、需給に不安はありません。今期の業績予想によるPERは11.6倍と業種平均72.2倍(情報通信・グロース)と比較して割安な水準です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは一定程度の初値上昇が期待できるため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 9.5 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は情報・通信業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は情報・通信業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は情報・通信業(グロース)の単純PER(25.1末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は情報・通信業(グロース)の単純PBR(25.1末時点)。
4.9 億円90.146.521.63.3
情報・通信8.49.672.23.6
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格1,470円から+1,030円(+70.1%)高い2,500円と予想します。なお、AI予測値は3,310円となっており、これより低い弱気の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
2,500円(2/22予想)
+1,030円 / +70.1%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。1,470円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(2/22計算)

AI予測3,310円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+70.1+125.2+110.8+177.4
(想定価格比)(想定価格比)情報セキュ超小型

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では21年12月に上場した網屋(4258)の初値騰落率は+6.6%でした。

 今回のIPOと同じ情報セキュリティ関連に分類されるIPOは2007年以降13件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は84.6%、初値騰落率の平均は+110.8%(中央値+87.9%)となっています。

 また、今回と同じ超小型のIPOは2016年以降96件で、勝率は90.6%、初値騰落率の平均は+177.4%(中央値+143.4%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
網屋+6.6%23.37.1%26.6%
HENNGE+42.9%15.627.3%13.3%
アークン+262.1%7.126.7%38.2%
FFRI+176.6%5.121.9%24.7%

▌情報セキュリティのIPO実績
(セキュリティソフトの開発、コンサルなど)

情報セキュ勝率平均騰落率
13
(2007年以降)
84.6
(11件 / 13件)
+110.8
(Me:+87.9 %)

(2025/2/22 現在)

情報セキュリティの直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
173A ハンモック2024/4/11+4.9
153A カウリス2024/3/28+87.9
5599 S&J2023/12/15-2.3
4258 網屋2021/12/22+6.6
4417 Gセキュリ2021/12/20+43.6

情報セキュのIPO騰落率分布

▌超小型のIPO実績
(超小型:供給額5億円未満のIPO)

超小型勝率平均騰落率
96
(2016年以降)
90.6
(87件 / 96件)
+177.4
(Me:+143.4 %)

(2025/2/22 現在)

超小型の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
7790 バルコス2025/2/3+0.1
5241 日本オーエー2024/12/23+9.1
304A フォルシア2024/12/26+108.0
7118 伸和HD2024/10/21-7.3
242A リプライオリ2024/9/25-8.0

超小型のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報
















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