日水コンの初値は公開価格を６％下回る、今後の株価展望は？

　きょう東証スタンダード市場に新規上場した日水コン<261A>は、公開価格と同じ1,430円のウリ気配でスタートし、その後気配値を切り下げ、9時5分頃に公開価格を89円(-6.2％)下回る1,341円で初値をつけました。

　初値を付けた直後から買いが集まり、一時1,470円まで買われるも、その後は売られ、最終的に終値1,366円で上場初日の取引を終えました。また、この日の出来高は154万株でした。

　本日初値を付け、無事上場を果たした日水コンですが、株価が今後上昇していくのか、それとも下落するのか、簡単に予想していきたい思います。

　一般的にIPO銘柄は上場後に値下がりすることが多いと言われていますが、実は上場後に株価が大きく上昇していく銘柄も多くあります。ここでは特に、過去に上場した同種のIPO銘柄の値動きから、日水コンの今後の株価について探っていきます。

　初値の水準(初値騰落率)は上場後の株価に大きな影響を与えます。株価は投資家の将来への『期待』に左右されますが、その『期待』の影響を最も受けた状態で付いた株価が初値とするならば、初値が高騰した場合は投資家の『期待』は過熱気味のため、上場後は熱が冷めるように換金売りが殺到し、急落することが多くあります。

　日水コンの初値は公開価格比で-6.2％になりましたが、2012年以降のIPOで初値が公開価格比で0％未満だった135銘柄の１年後の騰落率(初値日終値基準)を見ると、平均(μ)は+33.9％、中央値(Me)で+9.4％となっています。また、１年後に初値日終値より上昇していた銘柄の割合(勝率)は58.5％と、セカンダリーではかなり良好なパフォーマンスが期待できます。

　業種や事業内容も上場後の株価に大きな影響を与えます。IPOでは事業の新規性や話題性、規模が初値の決定に大きな影響を与えますが、上場後は事業が地味でも業績が堅調に拡大していたり、大型株でも配当を出すような安定銘柄であれば株価は緩やかに上昇していきます。

　日水コンと同じサービス業（その他）の銘柄(2012年以降上場の103銘柄)に限定して１年後の騰落率(初値日終値基準)を見ると、平均(μ)は+12％、中央値(Me)で-17.6％となっています。また、１年後に初値日終値より上昇していた銘柄の割合(勝率)は35.9％と、セカンダリーではやや苦戦している状況です。１年後に最も上昇したのは19年6月上場のユーピーアール(7065)で+401.3％、最も下落したのは22年11月上場のウェルプレイド・ライゼスト(9565)で-82.1％です。

　過去のIPOのセカンダリー状況を見る限り、比較的良好なパフォーマンスが期待できます。また、初値が公開価格割れとなったことでさらなる値下がりリスクは限定的といえます。

　今期(24.9)予想は、売上は5.8％増の231億円、最終益は24.4％増の14億円となっています。事業内容的に売上の大きな成長は難しいですが、利益は安定的に確保していることから、収益の安定度は高いです。初値でPER11.6倍は業種平均15.1倍(サービス・スタンダード)と比べてやや割安な水準で、配当利回り4.3％はかなり魅力的です。

　以上を踏まえると、短期的な値動きはともかく、向こう１年という期間で考えれば、初値から3割程度上昇の1,700円前後で推移していくものと予想します。