ビジュアル・プロセッシング・ジャパン(334A)のIPO情報と初値予想

 ビジュアル・プロセッシング・ジャパン(334A)の東証グロースへの新規上場が承認されました。ここでは、ビジュアル・プロセッシング・ジャパンのIPOに関する基本情報から投資分析AIによる初値予測など、詳細なデータをどこよりも早く公開します!!

0目次

  1. 企業の基本情報
    1. 企業概要(事業解説)
    2. 沿革(代表者)
    3. 財務データ(業績、売上内訳、比率分析)
    4. 株主の状況(現在の株式総数と株主構成)
  2. IPOの基本情報
    1. 公開株数(上場後の株式総数と株主構成)
    2. 幹事証券と抽選本数(引受株式、抽選割合)
    3. スケジュール
  3. IPOの評価と初値予想
    1. IPO所感(評価、抽選スタンス)
    2. 初値予想と結果(条件、初値予想、AI予測)
    3. 過去のIPO(類似案件、分類・規模別実績)

1企業の基本情報

企業概要 

 事業内容は、『DAM(デジタル資産管理)を中核に、企業の事業活動における媒体(WEB、EC、SNS、カタログ、映像、出版)そしてコンテンツの制作・管理・配信を支援するDX事業』となっています。

会社名ビジュアル・プロセッシング・ジャパン(334A)
所在地東京都渋谷区恵比寿四丁目20番7号恵比寿ガーデンプ
設立日1994年1月6日
従業員数62人
業種情報・通信業

【企業サイト】

https://www.vpj.co.jp/

事業解説
 「CIERTO」は国内唯一のDAM(デジタルアセット管理)とPIM(商品情報管理)を統合したソリューションで、DAMとPIMを切り口とし、ECサイト、Webサイト、動画、SNS、カタログ、パンフレットといった媒体・コンテンツの制作業務を支援します。CIERTO導入により、媒体・コンテンツ制作における生産性向上、ブランドマネジメント、シームレスなマルチメディア配信を実現します。

沿革 

ビジュアル・プロセッシング・ジャパンのトップメッセージ

代表取締役社長 三村 博明

 当社は、現代表取締役社長・三村博明と、本人の前職(現日本ヒューレット・パッカード合同会社)の営業幹部メンバーによって設立されました。当初は、コンピュータグラフィックス技術の知見を背景として、マスメディア向けコンテンツ制作会社に対するプロダクションワーフローに関するソリューションの提供が中心でした。

(引用:ビジュアル・プロセッシング・ジャパンHP
1994年1月
東京都渋谷区渋谷にて当社設立。
1994年2月
日本シリコングラフィックス㈱と、印刷・出版業界及び放送・映像業界での画像処理及び制作用ワークフローサーバーにかかる販売代理店契約を締結し、OS間(UnixとMacintosh)での相互通信を可能とするシステムインテグレーションビジネスを開始。
1995年3月
印刷出版業界のDTPシステムにおけるMacintoshの負荷削減と情報共有を実現する自社ブランド「DTPターボサーバー」の販売を開始。
1996年6月
Adobe,Inc.と同社の映像部門向けのソフトウェアにおける販売代理店契約を締結。
1997年8月
Archetype,Inc.がDTP向けのDAMシステム「MediaBank」を開発し、当社が日本国内向けにローカライズ対応のうえ販売開始。
2002年5月
広告・出版・印刷業界向けのクリエイティブデータ管理並びにDTPシステムのワークフロー生産性向上を主眼とし、「MediaBank」の後継として、Xinet,LLC「Xinet WebNative Venture」をDAMシステムとして国内販売開始。
2003年3月
Apple,Inc.と業務提携し、同社よりVideo・CG業界向けのVFXにかかるApple Solution Partner に認定される。
2005年7月
大阪市中央区に大阪オフィスを開設。
2006年8月
沖縄県浦添市にデータセンターを開設し、「Xinet WebNative Venture」のASPビジネスを開始。
2008年10月
一般企業向けのDAMシステムとして、ユーザーインターフェースを重視した自社開発ソリューション「thiiDa2」の販売を開始。
2009年5月
新聞社等の出版業界へアプローチを強化する目的で、オランダWoodWing Sdn,Bhdと業務提携し、WoodWing Studioの販売を開始。
2009年7月
沖縄オフィスを沖縄県国頭郡宜野座村に開設。
2010年7月
当社Video/CG部門を分社化し、子会社ビジュアル・グラフィックス㈱を設立。
2011年9月
Aproove SAと業務提携。オンラインプルーフィングソリューション「APROOVE」を販売開始。
2012年11月
DAMビジネスへ経営資源を集中するために、ビジュアル・グラフィックス㈱の全株式を㈱朋栄に譲渡。
2016年3月
自社開発DAMソリューションの開発拠点として、フィリピン・マニラにCierto Communication Corp.を子会社として設立。
2016年10月
「CIERTO DAM」を次世代の自社開発DAMソリューションとして販売開始。
2016年12月
沖縄オフィスを沖縄県うるま市(沖縄IT津梁パーク)へ移転。
2019年3月
沖縄オフィスを沖縄県中頭郡北谷町へ移転。

財務データ 

 2023年12月期の事業売上は1,056百万円で、構成比はサービス別に、クラウド46.5%オンプレミス5.1%保守20.5%開発11.8%その他16%、となっています。

 前期(23.12)は流通企業や製造業へのCIERTO納入や海外パートナー製品の大手新聞社英字新聞制作部門への採用などが起因し、前期比で売上は16%増最終は90百万円で着地しました。

 今期(24.12)は主力製品のDAMシステムであるCIERTOを中心に順調に推移しており、3Q累計は売上・利益ともに前期を上回るペースで推移しています。

▌主要な経営指標等の推移

決算期2019/122020/122021/122022/122023/12
売上高7538027289121,056
経常益335156144140
最終益2532397590
純資産445474509581667
総資産5627508249251,082
※単位は百万円、単体決算

▌サービス別の売上内訳(2023.12)

▌BPS(1株純資産) / EPS(1株利益)の推移

※株式分割/併合がある場合は遡及し算定。

▌比率分析

 企業の『収益力』や『安全性』を上場している情報・通信業595社の中央値と比較すると、収益力は売上高営業利益率が13.2%など、かなり高い数値となっています。

 また、安全性の観点から資産負債構成を見ると、固定比率が35.4%となっており、平均的な状態といえます。

貸借対照表 B/S損益計算書 P/L
総資産 1,082 百万円売上高 1,056 百万円

流動資産
固定資産
流動負債
固定負債
純資産
売上原価
販管費
営業利益
売上高
営業損失
収益性指標
売上高営業利益率 = 13.2(μ:6.5 Me:8.3
総資本営業利益率 = 12.9(μ:7.1 Me:8.1
自己資本利益率 = 13.5(μ:2.1 Me:9.6
安全性指標
流動比率「流動資産 ÷ 流動負債」で計算され、企業の短期的な財務安全性(支払い能力)を測定する指標。 = 204(μ:347.4 Me:271.4
固定比率「固定資産 ÷ 純資産」で計算され、長期間に活用される固定資産がどれだけ純資産で調達されているかを測定する指標。一般的には100%以下が目安とされる。 = 35.4(μ:69.4 Me:39.4
自己資本比率「自己資本 ÷ 総資本」で計算され、企業の中長期的な財務安全性を測定する指標。100%は無借金経営。 = 61.7(μ:60.5 Me:64.3
成長性指標
売上高成長率 = 15.8(μ:12.3 Me:8.4

※カッコ内の数値は情報・通信業(595社)の平均値(μ)及び中央値(Me)です。

株主の状況 

 現在の発行済株式総数は1,466千株で、株式保有割合は、経営陣78.0%その他22.0%となっています。

 株式保有は安定株主が占めているため、初値や上場後の株価形成に際し、大きな懸念はありません。また、主要株主にロックアップが厳しめに入っているのは安心材料になります。

株主名持株比率ロックアップ
㈱シエルトコミュニケーションズ43.66%180日
三村 博明19.10%180日
VPJ社員持株会16.92%180日
関 郷12.69%180日
吉川 美幸1.83%180日
三村 俊介1.36%180日
松本 勝裕0.55%継続保有
川畑 耕史0.41%継続保有
鈴木 優0.27%継続保有
谷本 真基0.27%継続保有
上記以外2.94%
(LPS:投資事業有限責任組合)

▌現在の株式総数と株主構成

株式総数 1,466千株(2025年2月17日現在)

?

78.022.0
1,142.8 千株– 千株323.2 千株– 千株
※新株予約権による潜在株式(66千株)を含む。

2IPOの基本情報

公開株数 

 IPOの公募比率は60.3%で、公募株式は、主に新規発行になります。初値形成にはニュートラルです。売出し分は、主に経営陣の株式放出によるものです。

 上場する株式の時価総額は23.7億円で、今回募集する株式は上場時発行済株式の24.6%分に相当します。募集株式に対する投資家の資金供給額は7.0億円で、IPOとしては小型の案件になります。

公募株資金調達などを目的に企業が新たに投資家を募集する株式。255,000 株
内訳(新規発行) 公募株のうち、上場により新たに発行する株式。255,000 株
(自己株式) 公募株のうち、自社で保有する自社株式。0 株
売出株既存株主が売り出す株式。231,400 株
内訳(買取引受) 売出株のうち、証券会社が株主から買い取って投資家に販売する分。168,000 株
(OA) 売出株のうち、公募・売出しの数量を超える需要があった場合、証券会社が対象企業の大株主等から一時的に株券を借りて、公募・売出しと同一条件で追加的に投資家に販売する分。公募・売出し数量の15%が上限。63,400 株
公開株新たに証券取引所に上場される企業の株式。OA分の株式を含む上場される株式の上限。486,400 株

(IPO指標)

  時価総額 上場時の想定時価総額。上場時の発行済み株式数と想定価格から算出。  資金調達 IPOにより企業が新たに調達する資金額。公募株数と想定価格から算出。資金調達額が大きいほど事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。 OR オファリング・レシオ(OR)。発行済み株式数のどの程度を株式市場に放出するかを示す指標。一般的にORが低いほど株式の「レア度」が高まり、初値が高くなりやすい。20~30%が平均値。  公募比率 公募・売出し総株数に占める公募株の割合(OR分除く)。公募比率が高いほどIPOが事業拡大にプラスに働くため、IPOの評価は高くなる。
23.7 億円3.6 億円25.660.3
※時価総額と資金調達額は「想定価格」より算出。

▌上場後の株式総数と株主構成

???

56.618.824.6
※新株予約権による潜在株式(66千株)を含む。

幹事証券と抽選本数 

 今回のIPOでは岡三証券が主幹事となっており、割当株数の58%程度が個人向け抽選に配分されると予想されます。

 また、幹事証券になる楽天マネックス松井も割当株数の大半が個人向け抽選に配分されるため、狙い目になります。

▌幹事証券の引受株式数

証券会社割当率割当株数
岡三証券(主幹事)-%-株
SBI証券-%-株
三菱UFJMS証券-%-株
松井証券-%-株
マネックス証券-%-株
楽天証券-%-株
岩井コスモ証券-%-株
合計100%-株

委託販売による取扱株数(予想)

証券会社委託元取扱株数
岡三オンライン岡三-株
auカブコム証券三菱-株
※取扱株数は過去実績を元に推定。

▌IPOの抽選割合と当選本数(予測)

58%
個人-本
抽選
裁量
45%
個人-本
抽選
裁量
9%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
90%
個人-本
抽選
裁量
11%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
100%
個人-本
抽選
裁量
※抽選割合は過去実績を元に推定。1本=1単元。

スケジュール 

上場承認日2月17日(月)
抽選申込期間3月6日(木)~3月12日(水)
当選発表日3月13日(木)
購入申込期間3月14日(金)~3月19日(水)
上場日3月25日(火)
※証券会社によってスケジュールは異なります。
SUNMONTUEWEDTHUFRISAT
22322422522622722831
32333435363738
39310311312313314315
316317318319320321322
323324325326327328329

( 抽選申込 当選発表 購入申込 上場日 )

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IPOの評価と初値予想

▌注目度・業績評価

 業務効率に資するシステム開発のIPOは比較的人気が集まりやすく、注目度はまずまずです。ここ数年で売上は緩やかに拡大しており、利益も安定的に確保していることから、収益性は評価できます。

▌需給・価格評価

 IPOとしては小型案件で、株主には安定株主しかおらずロックアップも厳しめのため、需給に不安はありません。想定価格でPER26.3倍(前期ベース)は業種平均72.2倍(情報通信・グロース)と比較して割安な水準です。

▌IPO抽選へのスタンス

 今回のIPOは初値が公開価格を上回る可能性が高いため、IPO抽選には当選を狙って『参加』したいところです。

期待度評価点
 9.5 /15点
4以上 積極参加 2~3 参加 1 不参加

《IPOの評価指標》

 供給額 投資家がIPOで吸収する金額。公開株数(公募+売出)と想定価格から算出。小さいほど初値は上昇しやすい。 成長率 直近の売上高成長率(売上高の前年比)。下段は情報・通信業(全市場)における成長率の中央値。 ROE 直近の自己資本利益率(=最終益/純資産)。下段は情報・通信業(全市場)におけるROEの中央値。 PER 想定価格を基準にした株価収益率。下段は情報・通信業(グロース)の単純PER(25.1末時点)。 PBR 想定価格を基準にした株価純資産倍率。純資産はIPOによる増資分を含む。下段は情報・通信業(グロース)の単純PBR(25.1末時点)。
7.0 億円15.813.526.32.4
情報・通信8.49.672.23.6
※下段は業種別の数値(成長率とROEは中央値)。
aaa

初値予想と結果 

 上記のIPO評価を踏まえた上で、初値は想定価格1,430円から+270円(+18.9%)高い1,700円と予想します。なお、AI予測値は2,835円となっており、これより低い弱気の予想としています。

初値予想
(想定価格比)
1,700円(2/18予想)
+270円 / +18.9%
想定価格正式には想定発行価格。企業の成長戦略や業績、類似企業の株価などを参考に、発行企業と主幹事証券によって設定される。公開価格を決定していくプロセスの目安となる。1,430円
仮条件公開価格がブックビルディング方式で決められる際、引受証券会社があらかじめ提示する価格帯。機関投資家や他の幹事証券会社等のヒアリング結果を勘案し、主幹事証券と発行企業によって決定される。-円 ~ -円
公開価格株式を新規に公開した際の公募・売り出し価格。-円
初値 証券取引所に上場後、最初に取引が成立した値段。
(公開価格比)
-円
(-円 / -%)

▌AIの予測値(2/18計算)

2,835円AI予測の詳細

▌初値騰落率の目安

+18.9+98.3+113.1+123.2
(想定価格比)(想定価格比)業務効率小型

過去のIPO 

 最後に過去の類似IPOの状況ですが、直近では24年12月に上場したGVA TECH(298A)の初値騰落率は+1.4%でした。

 今回のIPOと同じ業務効率関連に分類されるIPOは2007年以降29件で、初値が公開価格を上回った割合(勝率)は93.1%、初値騰落率の平均は+113.1%(中央値+101.1%)となっています。

 また、今回と同じ小型のIPOは2016年以降194件で、勝率は94.8%、初値騰落率の平均は+123.2%(中央値+113.3%)となっています。

▌類似案件のIPO実績

銘柄名騰落率 %供給額成長率 %ROE %
GVATECH+1.4%10.373.7%-129.3%
アジアクエスト+130.5%10.415.2%32.1%
フレクト+127.8%12.8-11.2%-80.2%
ファブリカ+15.0%32.429.3%32.1%

▌業務効率のIPO実績
(DXなど自動化・効率化を目的としたサービス)

業務効率勝率平均騰落率
29
(2007年以降)
93.1
(27件 / 29件)
+113.1
(Me:+101.1 %)

(2025/2/18 現在)

業務効率の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
298A GVATECH2024/12/26+1.4
145A エルイズビー2024/3/26+30.7
5585 エコナビスタ2023/7/26+153.8
5137 スマートドライブ2022/12/15+23.5
4261 アジアクエスト2021/12/27+130.5

業務効率のIPO騰落率分布

▌小型のIPO実績
(小型:供給額5~10億円未満のIPO)

小型勝率平均騰落率
194
(2016年以降)
94.8
(184件 / 194件)
+123.2
(Me:+113.3 %)

(2025/2/18 現在)

小型の直近IPO

コード/銘柄上場日初値騰落率
303A visumo2024/12/26+34.5
269A Sapeet2024/10/29+52.3
265A エイチエムコム2024/10/28+32.7
259A ケイ・ウノ2024/10/8-8.0
246A アスア2024/9/26+47.6

小型のIPO騰落率分布

(データ引用:日本証券取引所 新規上場会社情報
















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