【コラム】IPO不調のJX金属は長期投資には狙い目の銘柄!?

 今年最大のIPOとなるJX金属の仮条件が予想を下回り、意外と人気がないと感じた人も多いかもしれません。しかし、実際にはJX金属の人気が低いことは、逆にチャンスだと考えることもできます。

 多くの投資家は、IPOに参加して公開価格で購入し、初値で売却することで利益を得たいと考えています。そのため、JX金属のような大規模な株式の場合、初値の上昇はあまり期待できず、場合によっては初値が公開価格を下回ることもあるため、投資家から敬遠されがちです。確かにその通りで、仮にJX金属のIPOに参加して公開価格で購入できたとして、初値で売却しても大きな利益にはならないでしょう。

 しかし、純粋な「投資」、特に長期的な視点で見ると、JX金属株は意外にも悪くなく、むしろ非常に魅力的な投資先に見えてきます。過去のIPOを振り返ると、実は超大型株の上場後のパフォーマンスは、全体のIPOパフォーマンスを上回ることが多いのです。

 2012年以降に上場し、時価総額が1,000億円以上で東証プライム(旧東証1部)に上場した25社(上場廃止のLINEを除く)の3月5日時点の株価を調べたところ、上場時の初値を上回っているのは16社で勝率は64%と、IPO銘柄としては非常に高い結果となっています。

 さらに、これらの大型株の中には上場以来配当を継続して出している企業も多く、単なる株価の上昇だけでなく、安定した配当収入を得ることもできます。

▌超大型株のパフォーマンス

※現在値及び初値は株式分割等調整後の株価

銘柄名 / 業種時価総額上場日株式分割現在値(3/5)
(初値)
騰落率
(金額差)
日本航空
(空運業)
6,910 億円2012/09/191:22,614
(1,905)
+37.2 %
(+709 円)
サントリーBF
(食料品)
9,641 億円2013/07/03–4,852
(3,120)
+55.5 %
(+1,732 円)
めぶきFG
(銀行業)
1,466 億円2013/12/19–642.8
(451)
+42.5 %
(+192 円)
マクセル
(電気機器)
1,051 億円2014/03/18–1,892
(1,971)
-4 %
(-1,971 円)
JDI
(電気機器)
4,625 億円2014/03/19–18
(769)
-97.7 %
(-769 円)
西武HD
(陸運業)
5,474 億円2014/04/23–3,312
(1,600)
+107 %
(+1,712 円)
すかいらーくHD
(小売業)
2,331 億円2014/10/09–2,677
(1,200)
+123.1 %
(+1,477 円)
リクルートHD
(サービス業)
18,197 億円2014/10/161:39,185
(1,057)
+769 %
(+8,128 円)
日本郵政
(サービス業)
73,395 億円2015/11/04–1,596.5
(1,631)
-2.1 %
(-1,631 円)
かんぽ生命保険
(保険業)
17,574 億円2015/11/04–2,934
(2,929)
+0.2 %
(+5 円)
ゆうちょ銀行
(銀行業)
75,600 億円2015/11/04–1,492.5
(1,680)
-11.2 %
(-1,680 円)
ベル24HD
(サービス業)
1,081 億円2015/11/20–1,282
(1,478)
-13.3 %
(-1,478 円)
九州旅客鉄道
(陸運業)
4,960 億円2016/10/25–3,639
(3,100)
+17.4 %
(+539 円)
SGHD
(陸運業)
6,084 億円2017/12/131:21,630.5
(950)
+71.6 %
(+681 円)
オプトラン
(機械)
1,081 億円2017/12/20–1,611
(2,436)
-33.9 %
(-2,436 円)
ソフトバンク
(情報・通信業)
70,036 億円2018/12/191:10215.1
(146.3)
+47 %
(+69 円)
PHCHD
(電気機器)
3,812 億円2021/10/14–1,051
(3,120)
-66.3 %
(-3,120 円)
ネットプロHD
(その他金融業)
1,329 億円2021/12/15–410
(1,378)
-70.2 %
(-1,378 円)
ソシオネクスト
(電気機器)
1,291 億円2022/10/121:52,109
(767)
+175 %
(+1,342 円)
大栄環境
(サービス業)
1,626 億円2022/12/14–2,744
(1,710)
+60.5 %
(+1,034 円)
楽天銀行
(銀行業)
3,156 億円2023/04/21–5,526
(1,856)
+197.7 %
(+3,670 円)
KOKUSAI
(電気機器)
4,875 億円2023/10/25–2,809.5
(2,116)
+32.8 %
(+694 円)
東京地下鉄
(陸運業)
9,470 億円2024/10/23–1,748
(1,630)
+7.2 %
(+118 円)
リガク
(精密機器)
2,715 億円2024/10/25–1,070
(1,205)
-11.2 %
(-1,205 円)
キオクシアHD
(電気機器)
7,763 億円2024/12/18–2,388
(1,440)
+65.8 %
(+948 円)

 いざ実際に投資を考えるとなると、JX金属の値下がりリスクが気になるのは当然です。そこで、過去の超大型IPOの中でどの銘柄が値下がりしているのか、具体的に見てみましょう。

 3月5日時点で、初値から20%以上下落している企業は以下の4社です。ジャパンディスプレイ(△97.7%)、オプトラン(△33.9%)、PHC(△66.3%)、ネットプロテクションズ(△70.2%)。

 この中でオプトランを除く3社は、上場時またはその後に一時的に赤字に転落しています。つまり、大企業であっても赤字になると株価は大きく下がるということです。

 一方、オプトランは初値から約3割下落しているものの、上場以来ずっと黒字を維持し、安定した配当を出しているため、今後株価が上昇する可能性は十分にあります。

 JX金属の業績について再確認したいと思います。売上が前期と比べて半分以下になっていますが、これは連結子会社であったパンパシフィック・カッパー(PPC)の株式を一部売却し、同社が持ち分法適用会社となったことが要因で、業績が悪化したわけではありません。

 実際、JX金属は資本効率が低い鉱山や製錬事業を段階的に縮小し、半導体製造向けの素材など先端素材の開発・生産に経営資源を集中させる方針に大きく舵を切っています。今後の業績は、この構造転換が成功するかどうかにかかっています。

 ちなみに、現在、半導体製造向け素材「スパッタリングターゲット」では世界シェアの首位を誇っており、今後はこうした分野に注力していくことが期待されています。

▌売上・利益の推移

▌売上内訳の変化

■半導体材料 ■情報通信材料 ■基礎材料

 JX金属は長期的な投資先としてかなり魅力的な銘柄ですが、最近の超大型IPOの動向を考えると、実は短期的にも株価が上昇する可能性が高いことがわかります。

 前述の25社の中で、2022年以降に上場したのは7社ですが、その中でもソシオネクスト、大栄環境、楽天銀行、キオクシアの4社は、すでに初値を大きく超える水準で取引されています。

 特にソシオネクストとキオクシアは、上場時の初値が公開価格とほぼ同じであったにもかかわらず、現在ではかなりの人気を集めており、株価は上場以降、大きな上昇を見せています。

 JX金属のIPOの状況を見ると、業績は非常に安定しているものの、市場の状況が悪いのか、あるいは地味な事業内容が影響しているのか、人気はありまりないようです。しかし、これが逆にチャンスになるかもしれません。

 もしJX金属のIPO抽選に当選して公開価格で購入できる人は、初値で機械的に売却するのではなく、また抽選に外れた人も初値で購入を検討するなど、長期的な視点でJX金属のIPOを考えると、意外にも投資妙味のある銘柄といえるのではないでしょうか。




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