カドスの初値は公開価格を１１％上回る、今後の株価展望は？

　きょう東証スタンダード市場に新規上場したカドス・コーポレーション<211A>は、公開価格と同じ2,900円のカイ気配でスタートし、その後気配値を切り上げ、9時15分頃に公開価格を310円(+10.7％)上回る3,210円で初値をつけました。

　初値を付けた直後は売り買い拮抗し、一時3,345円まで買われるも、その後は換金売りに押され、最終的に終値2,970円で上場初日の取引を終えました。また、この日の出来高は123万株でした。

　本日初値を付け、無事上場を果たしたカドス・コーポレーションですが、株価が今後上昇していくのか、それとも下落するのか、簡単に予想していきたい思います。

　一般的にIPO銘柄は上場後に値下がりすることが多いと言われていますが、実は上場後に株価が大きく上昇していく銘柄も多くあります。ここでは特に、過去に上場した同種のIPO銘柄の値動きから、カドス・コーポレーションの今後の株価について探っていきます。

　初値の水準(初値騰落率)は上場後の株価に大きな影響を与えます。株価は投資家の将来への『期待』に左右されますが、その『期待』の影響を最も受けた状態で付いた株価が初値とするならば、初値が高いほど投資家の『期待』は既に高い状態のため、高値警戒感から上場後は値下がりする可能性が高くなります。

　カドス・コーポレーションの初値は公開価格比で+10.7％になりましたが、2012年以降のIPOで初値が公開価格比で10~50％未満だった231銘柄の１年後の騰落率(初値日終値基準)を見ると、平均(μ)は+11.4％、中央値(Me)で-10.1％となっています。また、１年後に初値日終値より上昇していた銘柄の割合(勝率)は40.7％と、セカンダリーではやや苦戦している状況です。

　業種や事業内容も上場後の株価に大きな影響を与えます。IPOでは事業の新規性や話題性、規模が初値の決定に大きな影響を与えますが、上場後は事業が地味でも業績が堅調に拡大していたり、大型株でも配当を出すような安定銘柄であれば株価は緩やかに上昇していきます。

　カドス・コーポレーションと同じ素材・資材関連の銘柄(2012年以降上場の61銘柄)に限定して１年後の騰落率(初値日終値基準)を見ると、平均(μ)は+20.5％、中央値(Me)で+5.5％となっています。また、１年後に初値日終値より上昇していた銘柄の割合(勝率)は54.1％と、セカンダリーでは比較的良好なパフォーマンスといえます。１年後に最も上昇したのは15年12月上場のインベスターズクラウド(1435)で+166.4％、最も下落したのは13年6月上場のリプロセル(4978)で-74.1％です。

　過去のIPOのセカンダリー状況を見る限り、今後の株価は比較的楽観的な状況といえいます。ただ、公開価格が高かったことで初値が小幅上昇でも株価水準が高いため、大きな値上がりもさほど期待できません。

　本日発表された今期(24.7)の予想では、売上は11.3％増の63億円、最終益は5.2％増の3.9億円を見込んでいます。初値でPER6倍は業種平均13倍(建設・スタンダード)と比べてもかなり割安で、値下がりリスクは限定的といえます。また、配当予想85円で配当利回り2.6％は魅力的です。

　以上を踏まえると、短期的な値動きはともかく、向こう１年という期間で考えれば、初値から2割程度上昇の4,000円前後で推移していくものと予想します。